朝日カルチャーセンター「野口体操講座」の前回のレッスンから、iPS細胞についてテーマにしている。
『iPS細胞とはなにか』朝日新聞大阪本社科学医療グループ 講談社BLUE BACKS B1727 を読んだことがきっかけだった。
30年もたたないうちに、日本の医療・治療の様相が、劇的な変化をとげるだろう、と衝撃を受けたからだ。細部に映像が浮かぶわけではない。ボンヤリしたイメージでしかない。しかし、とんでもなく変化することだけは明確な輪郭をもってせまってきた。
iPS細胞の実用化は、臓器移植が行われるようになって起こった問題を解決する一つの変革である事は間違いない。例えば、臓器売買の南北問題、免疫問題、etc.
そしてなにより、今、現在、治療法がなく病に苦しんでいる患者にとっては、光が見え始めたことに違いない。
だからこそ私たちが、からだについて、病について、生命について、生きる価値観について、考えておかなければならないことが山積していると思う。
今までに経験したことがない、むしろ「神の領域」踏み込んでいく問題だから、すっきりした結論はだせなくともとにかく問題提起だけはしておきたいと思う。
そこで、昨日は、久しぶりにMac Book Airとスーパードライバー(DVD再生用)とPC携帯用BOSEのスピーカーを持参した。
『DVDブック アーカイブス野口体操 野口三千三+養老孟司』のなかに収録しなかった一部をみていただいた。
養老先生が語られた「臓器がどのようにつくられるか」から「臓器移植」についての話の部分で、一般には思いもつかない発想だ。
ということで、昨日のレジュメをここに添付しておきたい。
********
2012年10月27日(土)朝日カルチャー
■テーマ*「iPS細胞2」 臓器移植と「ES細胞・iPS細胞」から人工臓器を作る実用化の問題。
※『野口三千三授業記録1991年1月 《 野口体操を解剖する 》 養老孟司氏を迎えて ……生 と死のコラージュ ……』DVD記録から 養老孟司 ソロ『「解剖」を語る』より
*臓器はバラバラにできることを医者が気づいてしまった。
*野口三千三語録
『生物と無生物の別なく、すべての自然現象は、それ自体(自分自身)を生成発展させようとすることと、破壊滅亡させようとすることと、この相反する現象の間の「ただよひ(ゆり、ふり、ゆらぎ、揺、振、震、漂、)である。この原理は、今、ここにある自分自身のからだの裏で、からだを包むすぐ外側で、また遠い遠い湾岸の地方でも……、メービウスの環の多重構造のように働いている』注:湾岸戦争の年に行われた公開講座
※『この一冊でiPS細胞が全部わかる』青春出版 石浦章一監修 金子隆一 新海裕美子著
「151㌻~ 3D臓器をつくる」より
「組織培養技術でつくられるものは平面に広がる細胞シートのみである」
*iPS細胞を誘導して臓器をつくろうとするとき立体的な臓器にはならない。そこで3D臓器をつくる、インクジェットプリンターで“臓器を印刷”?!とは。パソコン用のインクジェットプリンターと同じ印刷機をつかってさまざまな種類の細胞を培養地に吹き付ける。印刷を重ねていくと最終的に立体的な臓器をつくりあげるという技術。2001年富山大学生命工学科教授中村真人。市販のインクジェットプリンターのノズルの直径がヒトの赤血球の大きさとほぼ同じであることに気づいた。インクの代わりに赤血球を培養した液で字が書けるかを試作。
※生命倫理の議論、法整備、全てが後回しで、実用化ばかりが先行する社会になるおそれを感じるが、それでいいのか?
※北村昌陽さんからのメールと添付資料
*『「出逢いの演出家」に徹して脳の発生を再現』笹井芳樹 ES細胞を使って、神経系の組織を試験管内で再生する研究者。科学雑誌『nature』日本語版。以下、いただいたメールを添付↓
羽鳥先生
北村です。こんにちは。
科学雑誌natureの日本語版に、iPS細胞と関連がある
非常におもしろい日本人研究者の話が載っていました。
PDFを送りますのでご覧ください。
この人は、ES細胞を使って、神経系の組織を
試験管内で再生する研究をしているのですが、
海外のライバルたちが、細胞の挙動をなんとかして
制御しようという発想で実験を組み立てるのに対して、
彼は、いかに細胞の本性を邪魔しないか、と考えているそうです。
細胞の中には、生き物の形を作り出す性質が宿っていて、
うまく育つ環境さえ準備すれば、あとは自然にうまくいく、と。
科学者の中にも、日本人特有のこんな世界観が
息づいていたのかと、非常におもしろく読みました。
そう思ってみるからかもしれませんが、この先生の顔や姿は
とても肩の力が抜けて、しなやかに見えます。
北村
******
このテーマは、しばらく続けてみたいと思っています。
『iPS細胞とはなにか』朝日新聞大阪本社科学医療グループ 講談社BLUE BACKS B1727 を読んだことがきっかけだった。
30年もたたないうちに、日本の医療・治療の様相が、劇的な変化をとげるだろう、と衝撃を受けたからだ。細部に映像が浮かぶわけではない。ボンヤリしたイメージでしかない。しかし、とんでもなく変化することだけは明確な輪郭をもってせまってきた。
iPS細胞の実用化は、臓器移植が行われるようになって起こった問題を解決する一つの変革である事は間違いない。例えば、臓器売買の南北問題、免疫問題、etc.
そしてなにより、今、現在、治療法がなく病に苦しんでいる患者にとっては、光が見え始めたことに違いない。
だからこそ私たちが、からだについて、病について、生命について、生きる価値観について、考えておかなければならないことが山積していると思う。
今までに経験したことがない、むしろ「神の領域」踏み込んでいく問題だから、すっきりした結論はだせなくともとにかく問題提起だけはしておきたいと思う。
そこで、昨日は、久しぶりにMac Book Airとスーパードライバー(DVD再生用)とPC携帯用BOSEのスピーカーを持参した。
『DVDブック アーカイブス野口体操 野口三千三+養老孟司』のなかに収録しなかった一部をみていただいた。
養老先生が語られた「臓器がどのようにつくられるか」から「臓器移植」についての話の部分で、一般には思いもつかない発想だ。
ということで、昨日のレジュメをここに添付しておきたい。
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2012年10月27日(土)朝日カルチャー
■テーマ*「iPS細胞2」 臓器移植と「ES細胞・iPS細胞」から人工臓器を作る実用化の問題。
※『野口三千三授業記録1991年1月 《 野口体操を解剖する 》 養老孟司氏を迎えて ……生 と死のコラージュ ……』DVD記録から 養老孟司 ソロ『「解剖」を語る』より
*臓器はバラバラにできることを医者が気づいてしまった。
*野口三千三語録
『生物と無生物の別なく、すべての自然現象は、それ自体(自分自身)を生成発展させようとすることと、破壊滅亡させようとすることと、この相反する現象の間の「ただよひ(ゆり、ふり、ゆらぎ、揺、振、震、漂、)である。この原理は、今、ここにある自分自身のからだの裏で、からだを包むすぐ外側で、また遠い遠い湾岸の地方でも……、メービウスの環の多重構造のように働いている』注:湾岸戦争の年に行われた公開講座
※『この一冊でiPS細胞が全部わかる』青春出版 石浦章一監修 金子隆一 新海裕美子著
「151㌻~ 3D臓器をつくる」より
「組織培養技術でつくられるものは平面に広がる細胞シートのみである」
*iPS細胞を誘導して臓器をつくろうとするとき立体的な臓器にはならない。そこで3D臓器をつくる、インクジェットプリンターで“臓器を印刷”?!とは。パソコン用のインクジェットプリンターと同じ印刷機をつかってさまざまな種類の細胞を培養地に吹き付ける。印刷を重ねていくと最終的に立体的な臓器をつくりあげるという技術。2001年富山大学生命工学科教授中村真人。市販のインクジェットプリンターのノズルの直径がヒトの赤血球の大きさとほぼ同じであることに気づいた。インクの代わりに赤血球を培養した液で字が書けるかを試作。
※生命倫理の議論、法整備、全てが後回しで、実用化ばかりが先行する社会になるおそれを感じるが、それでいいのか?
※北村昌陽さんからのメールと添付資料
*『「出逢いの演出家」に徹して脳の発生を再現』笹井芳樹 ES細胞を使って、神経系の組織を試験管内で再生する研究者。科学雑誌『nature』日本語版。以下、いただいたメールを添付↓
羽鳥先生
北村です。こんにちは。
科学雑誌natureの日本語版に、iPS細胞と関連がある
非常におもしろい日本人研究者の話が載っていました。
PDFを送りますのでご覧ください。
この人は、ES細胞を使って、神経系の組織を
試験管内で再生する研究をしているのですが、
海外のライバルたちが、細胞の挙動をなんとかして
制御しようという発想で実験を組み立てるのに対して、
彼は、いかに細胞の本性を邪魔しないか、と考えているそうです。
細胞の中には、生き物の形を作り出す性質が宿っていて、
うまく育つ環境さえ準備すれば、あとは自然にうまくいく、と。
科学者の中にも、日本人特有のこんな世界観が
息づいていたのかと、非常におもしろく読みました。
そう思ってみるからかもしれませんが、この先生の顔や姿は
とても肩の力が抜けて、しなやかに見えます。
北村
******
このテーマは、しばらく続けてみたいと思っています。