「Fascia」について専門的な講演と実習を通して得たひとつの結論を言ってしまう。
野口三千三のすぐれた感覚と大胆でしかも緻密な論理思考に脱帽している。
つまり、野口がFasciaについての知識をもっていなくても、『原初生命体としての人間』の発想をしたことがスゴイ、と思った。1960年代後半には、すでに言語化しているのだから。
Fasciaの構造と機能は、『原初生命体』の具体的な裏付けの一つであったことに気づかされたのである。
繰り返すが、野口が生きた時代には、Fascia」についてほとんど知るよしもなかったにもかかわらず、有名な言葉を残してる。
『生きている人間のからだは、皮膚という生きている袋の中に、液体的なものが入っていて、その中に骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる』
その実験として「寝にょろ」「にょろ転」等々の動きから「上体のぶら下げ」における骨盤を含む胴体の”揺れの動き”が導きだされる。
そして、もうひとつは「感覚こそ力」という発想である。
ここで「Fascia」とは何か。私自身の備忘録として記しておきたい。
「Fascia」は日本語で「筋膜」と訳されている。
この訳語に関して、國廣哲也さんは、まったくの間違いだとはいわないが、単純に「Fascia」は訳すことが非常に難しい、という観点から講義をされた。
つまり、「Fascia」とは、筋肉だけでなく内臓や血管や神経にまで及び、まるごと全体の身体の組織(構造)と機能なのである。
東大名誉教授の跡見順子さんも同様な発言をされている。
『Fasciaとは何か、「筋膜」というのは違う。主要な組織を包む、あるいは「組織をつなげてゆくタンパク質繊維から成る膜系のこと」を指す。動きとの連携から見ると圧倒的に筋膜が多いので、「筋膜」と言いたくなるが、概念としては、もっと広く一般的な言葉である』(跡見順子)
私たちが身近で接しているFasciaは、食卓にあがる鶏肉である。
その存在に気づくのは、歯に挟まってしまう、とか噛み切れないことがある経験だ。
肉に挟まっている”薄い膜”がそれだ。
ということもあって、「筋膜」と訳されてしまうのも仕方がないことかもしれない。
では「Fascia」の日常語は何か。
バンド状をなすものの意で、帯、ひも、包帯のことである。
イギリスでは自動車の計器盤、ダッシュボードの意味がある。
解剖学用語としては「筋肉と内臓を分離または接合させる繊維状の接合組織のシートまたは帯」と説明される。
語源は、インドヨーロッパ語(印欧語)に辿ることができる。
直接にはラテン語で「fascia」で、帯 バンドの意 ギリシャ語ではfaskiaである。
大本は、束 包み かたまり 大金 集団 群 楽団 集まった人 等々をあらわす。
ここで、私自身の備忘録として先日の講義をまとめておきたい。
定義:連続性が途切れない結合組織の三次元組織構造
成分:殆どが液体
一般的な役割:支持作用……骨や靱帯、腱等々を被って、身体を支持する働き。
保持作用……心臓や肝臓、腎臓等の臓器を保持する働き。
動きに関連して……筋と筋の摩擦を軽減しスムーズにすべらせることを可能にする働き。
代謝物質交換・輸送……老廃物を排泄しバクテリアを退治する(リンパ管免疫細胞の存在)働き (感染防御・創傷修復)
痛感覚……発痛物質に反応し痛みを感じる知覚を司る働き。
筋活動との関連……筋肉の収縮とは別に単独で収縮し、筋肉の緊張を高める働き。
筋に適度な圧力を加えて反応しやすい状態をつくる働き。
姿勢の保持……耳の前庭器官などの感覚器と共に作動し姿勢や動きを記憶する働き。
特徴:感覚……情報を素早くキャッチする働き。
張力……バランスをしっかり保つ働き。Fasciaの張力と×骨(圧縮力)で、バランスを保っている。
弾性……ゴムのように弾力性がある。
可塑性……やわらかい⇄かたい 変化に富んだ性質をもつ。
フランスの研究チームがマイクロスコープ撮影に成功して、無数の神経細胞(受容器や自由神経終末)が分布していることを発見した報告ある。
これによりFasciaは生きている(自立している)ということが証明された。
前庭器官と連携して、筋肉の約10倍の動きを感知するセンサーが多く存在していることがわかっている。
本日の朝日カルチャー土曜日クラスでは、このテーマにそって、「ギリシャの海綿」と「偕老同穴(六放海綿)」を持って行きます。直接は「Fascia」ではありませんが、イメージをふくらませるためです。
海綿が水を含んだ時の感触と絞り上げた時の感触の違いを味わっていただく。
偕老同穴(人間の髪の毛ほどの細さの繊維状ガラス)の美しい構造を見ていただく。
野口三千三のすぐれた感覚と大胆でしかも緻密な論理思考に脱帽している。
つまり、野口がFasciaについての知識をもっていなくても、『原初生命体としての人間』の発想をしたことがスゴイ、と思った。1960年代後半には、すでに言語化しているのだから。
Fasciaの構造と機能は、『原初生命体』の具体的な裏付けの一つであったことに気づかされたのである。
繰り返すが、野口が生きた時代には、Fascia」についてほとんど知るよしもなかったにもかかわらず、有名な言葉を残してる。
『生きている人間のからだは、皮膚という生きている袋の中に、液体的なものが入っていて、その中に骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる』
その実験として「寝にょろ」「にょろ転」等々の動きから「上体のぶら下げ」における骨盤を含む胴体の”揺れの動き”が導きだされる。
そして、もうひとつは「感覚こそ力」という発想である。
ここで「Fascia」とは何か。私自身の備忘録として記しておきたい。
「Fascia」は日本語で「筋膜」と訳されている。
この訳語に関して、國廣哲也さんは、まったくの間違いだとはいわないが、単純に「Fascia」は訳すことが非常に難しい、という観点から講義をされた。
つまり、「Fascia」とは、筋肉だけでなく内臓や血管や神経にまで及び、まるごと全体の身体の組織(構造)と機能なのである。
東大名誉教授の跡見順子さんも同様な発言をされている。
『Fasciaとは何か、「筋膜」というのは違う。主要な組織を包む、あるいは「組織をつなげてゆくタンパク質繊維から成る膜系のこと」を指す。動きとの連携から見ると圧倒的に筋膜が多いので、「筋膜」と言いたくなるが、概念としては、もっと広く一般的な言葉である』(跡見順子)
私たちが身近で接しているFasciaは、食卓にあがる鶏肉である。
その存在に気づくのは、歯に挟まってしまう、とか噛み切れないことがある経験だ。
肉に挟まっている”薄い膜”がそれだ。
ということもあって、「筋膜」と訳されてしまうのも仕方がないことかもしれない。
では「Fascia」の日常語は何か。
バンド状をなすものの意で、帯、ひも、包帯のことである。
イギリスでは自動車の計器盤、ダッシュボードの意味がある。
解剖学用語としては「筋肉と内臓を分離または接合させる繊維状の接合組織のシートまたは帯」と説明される。
語源は、インドヨーロッパ語(印欧語)に辿ることができる。
直接にはラテン語で「fascia」で、帯 バンドの意 ギリシャ語ではfaskiaである。
大本は、束 包み かたまり 大金 集団 群 楽団 集まった人 等々をあらわす。
ここで、私自身の備忘録として先日の講義をまとめておきたい。
定義:連続性が途切れない結合組織の三次元組織構造
成分:殆どが液体
一般的な役割:支持作用……骨や靱帯、腱等々を被って、身体を支持する働き。
保持作用……心臓や肝臓、腎臓等の臓器を保持する働き。
動きに関連して……筋と筋の摩擦を軽減しスムーズにすべらせることを可能にする働き。
代謝物質交換・輸送……老廃物を排泄しバクテリアを退治する(リンパ管免疫細胞の存在)働き (感染防御・創傷修復)
痛感覚……発痛物質に反応し痛みを感じる知覚を司る働き。
筋活動との関連……筋肉の収縮とは別に単独で収縮し、筋肉の緊張を高める働き。
筋に適度な圧力を加えて反応しやすい状態をつくる働き。
姿勢の保持……耳の前庭器官などの感覚器と共に作動し姿勢や動きを記憶する働き。
特徴:感覚……情報を素早くキャッチする働き。
張力……バランスをしっかり保つ働き。Fasciaの張力と×骨(圧縮力)で、バランスを保っている。
弾性……ゴムのように弾力性がある。
可塑性……やわらかい⇄かたい 変化に富んだ性質をもつ。
フランスの研究チームがマイクロスコープ撮影に成功して、無数の神経細胞(受容器や自由神経終末)が分布していることを発見した報告ある。
これによりFasciaは生きている(自立している)ということが証明された。
前庭器官と連携して、筋肉の約10倍の動きを感知するセンサーが多く存在していることがわかっている。
本日の朝日カルチャー土曜日クラスでは、このテーマにそって、「ギリシャの海綿」と「偕老同穴(六放海綿)」を持って行きます。直接は「Fascia」ではありませんが、イメージをふくらませるためです。
海綿が水を含んだ時の感触と絞り上げた時の感触の違いを味わっていただく。
偕老同穴(人間の髪の毛ほどの細さの繊維状ガラス)の美しい構造を見ていただく。