三康図書館
港区芝公園4−7−4 増上寺の裏手、東京タワー下に三康図書館はあります。
旧大橋図書館(明治を代表する出版社・博文館創業者の大橋左平 設立)の蔵書を継承して1964年に発足した公益財団法人の個人図書館です。
先週末だったか、東京新聞に「発禁本と閲覧禁止本」8月のミニ展示の記事を読んで、今日になって行ってきました。
展示は、9月2日までなので明後日までです。
ロビーには、『改造』や『蟹工船』などガラスケースの中に展示されていました。
お願いすると、司書の方が書庫内を案内してくれます。
約18万冊の蔵書の一部を見ることができます。
戦前の大衆雑誌から児童書、江戸期の写本や巻物など、多岐にわたる本があつめられ、整理・保管されています。
増上寺の境内に位置することもあり、歴代の管長が寄贈した仏教書も豊富。
竹田宮家の和綴本など、本好きにはたまらない図書館です。
古い本に囲まれて、虫除け・カビ除けの香が炊き込められた空間に身を置くと、独特の雰囲気に浸ることができて、ひとしきり日常を忘れられます。
さて、私は、発禁本と閲覧禁止本の書架から数冊を借り出して、その中から『ソヴエートロシアの芸術 1931 』を閲覧し、その中からグラビア写真と「第三章 ソヴエート演劇」の部分をコピーしてもらいました。
この本の奥付には、昭和5年12月29日印刷 昭和6年1月7日発行 白揚社 とあります。
世界大戦後のロシア演劇について書かれていますが、モスクワ藝術座の項には、スタニスラフスキーについての記述があり、いい資料が手に入りました。
戦前、戦中のプロレタリア演劇を志した人が、真剣に読んだのではないだろうか、と思えるような書き込みもあって、この時代のリアルな匂いを感じています。
こうして発禁本や閲覧禁止本を隠し持って、逃げ回っていた知識人の姿も見えてくるような気がします。
野口先生を演劇界に紹介した岡倉士朗さんも、そうしたお一人だった!
というようなわけで帰りも行きと同様に、増上寺と東京プリンスホテルの間の道、大きな樹木のかげになって涼しい散歩道を歩いて帰途につきました。