剣 月山貞一 明治七年
剣 月山貞一 明治七年
如何なる理由があるのだろうか、あるいは何を手本としたのだろうか、廃刀令の発せられたころ、月山貞一は異形の剣を製作している。片面の中央に鎬が立ち、一方は平の造り。刃長が四寸八分で、元幅一寸強、とにかく身幅が広い。異風に尽きるが、地鉄は綾杉鍛が奇麗だ。詰み澄んで抑揚を成し、その肌目が刃中で繊細な働きを生み出している。月山古作も肌目に伴ってほつれや金線が生じているのだが、ここでは地鉄が特に奇麗であるがためそれが強調され、刃肌とまでになっている。素剣の彫物も整っていて美しい。この身幅であれば、平の面に素剣が活きてくる。幅広ながら良く計算された作である。時代背景から戦場で使うという意識はないだろう。精神面での守りと考えて良さそうだ。
剣 月山貞一 明治七年
如何なる理由があるのだろうか、あるいは何を手本としたのだろうか、廃刀令の発せられたころ、月山貞一は異形の剣を製作している。片面の中央に鎬が立ち、一方は平の造り。刃長が四寸八分で、元幅一寸強、とにかく身幅が広い。異風に尽きるが、地鉄は綾杉鍛が奇麗だ。詰み澄んで抑揚を成し、その肌目が刃中で繊細な働きを生み出している。月山古作も肌目に伴ってほつれや金線が生じているのだが、ここでは地鉄が特に奇麗であるがためそれが強調され、刃肌とまでになっている。素剣の彫物も整っていて美しい。この身幅であれば、平の面に素剣が活きてくる。幅広ながら良く計算された作である。時代背景から戦場で使うという意識はないだろう。精神面での守りと考えて良さそうだ。