日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

剣 月山貞一 明治七年 Sadakazu Ken

2019-10-11 | その他
剣 月山貞一 明治七年


剣 月山貞一 明治七年

 如何なる理由があるのだろうか、あるいは何を手本としたのだろうか、廃刀令の発せられたころ、月山貞一は異形の剣を製作している。片面の中央に鎬が立ち、一方は平の造り。刃長が四寸八分で、元幅一寸強、とにかく身幅が広い。異風に尽きるが、地鉄は綾杉鍛が奇麗だ。詰み澄んで抑揚を成し、その肌目が刃中で繊細な働きを生み出している。月山古作も肌目に伴ってほつれや金線が生じているのだが、ここでは地鉄が特に奇麗であるがためそれが強調され、刃肌とまでになっている。素剣の彫物も整っていて美しい。この身幅であれば、平の面に素剣が活きてくる。幅広ながら良く計算された作である。時代背景から戦場で使うという意識はないだろう。精神面での守りと考えて良さそうだ。