■□■カムイミンタラ■□■

旅の話、仕事の話、色々と書いてます。。。

徘徊

2006-10-10 15:09:57 | 病院のシゴト
ここんところ徘徊患者を抱えています。

昼間は働くスタッフも多いので大丈夫なのですが、問題は夜間よ夜間。

ウチの病院は以前、入院中の宮司を誰かが忍び込んで殺したっちう病院と

同じようにステーションの前を通らなくてもいかようにでも動き回れる。

早い話が誰が何処で何をしようと目が行き届かないのである。

もう、入りで来たときから既におばぁちゃんAが「ああ~、どうしよう、産まれるよ~。

産気づいちゃったよ~。」と騒ぎ出した。笑。「なんでよ~、Aさん、今、何歳よ~?」と

聞くと「はたち~」と答える。うそこけ。92歳じゃんよ。このAさん、昨晩は3回も男性部屋に

忍び込んでいる。「夜中にふっと気が付くとよぉ、俺の隣にボ~っとばぁさんが立ってんだよ。

驚いたよ~。真っ暗な中だしさぁ、怖いよ~。」と男性患者に言われた。

Aさんが立ち上がってウロウロし始めたのでどっかに行かれたら困ると思い車いすに座らせた。

少し連れ回して気を紛らわせる。が、「産まれるよ~。産まれそうだよ~。どうにかしておくれよ~。」

と騒ぐ。「産んでいいよ~」と答えるが「ここじゃ産めないよ~」と答える。

「じゃぁさ、ベットに戻って産もうか。ベットの上の方が産みやすいでしょ。」「そうだねぇ、そうしよう」

もう、ずっとこの調子。ご飯を食べても、折り紙でややを折っても「産まれないよ~。産まれそうなのに。

ああ、困った~。」と騒ぎっぱなし。一晩中コレかと思うと初っぱなから気が重い。

そしてもうひとり。訳の分からん事を言ってうろつくおばぁBさん。二人ともふらつきがるから

怖いのは転倒、怪我。それだけはなんとしても防ぎたい。ちょうど、新しいナースのオリエン夜勤

なのでいつもより一人スタッフが多い。ラウンドをこまめに行う。ウロウロしているのを

見つけてはベットに戻す。23時頃、なんとなく気になってBさんのベットを覗く。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!? ・・・・・・・・いない!!

何処よ?! あわてて回りを見回す。 え?! ちょっと~、なにやってんのよ~!!

驚いたんだけど、反面、うけちゃってナースコールを押して援護を頼んだ。

なんと、隣の患者のベッドで寝ていた。足下の柵を外してもぐり込んだようで、先住の患者の

足下にBさんの顔がくるように互い違いになって寝ていた。しかも、布団をはぎ取って

「さむい、さむい、なに笑ってんのよ。さむい、さむい。」と言っている。

先住の患者は眠剤で寝ていたので全く気がつかない。まぁ、気が付いたとしても自分で

助けを呼ぶことは出来ない。これ以上、Bさんを放置すると他の患者が怪我をしても

困ると思い、急遽、外来で点滴用に使う部屋にベットごと移動させることにした。

そこの方がまだ目が届く。ゆたんぽを3つほど抱えさせ注射で眠らせる。

とりあえず一安心と夜中3時、少し横になりましょうとスタッフも休憩体勢に入る。

体も頭もピークに眠りに入った午前4時、他のナースの「ああ~、ちょっと、どうしたの~?」の

声で飛び起きる。靴下はいてないけど、眼鏡は走りながら掛ける。Aさんだよ~、徘徊。

無事ベットに戻し、もう少しだけ横になる。私たちは外来の点滴用のベットを使って横になるの

だけど、Bさんの隣で寝ていた新人ちゃんが「まだ、夜中の4時だからもう少し寝ようね」と

Bさんに話し出した。どうやらBさんが起き出した様子。最初は放っておいたんだけど20分も

続いたらもう諦めた。起きよう。Bさんを車いすに乗せ抑制しておむつ交換も連れて歩く。

日勤者が出勤するまでこのまま。いやぁ、疲れる。それでも私たちは最悪、抑制という

早い話が縛り付ける処置が同意書の元、出来るけど、特養などの福祉の世界では抑制禁止に

なったはず。徘徊棟では働けないなぁ。

朝の食事介助でもぐり込まれた方の患者に昨晩の事を覚えているかと聞くと、覚えていないという。

事の様子を話すと、「ええ~!? 酔っぱらいかい~?」と聞くので「そうなのよ~」と答える。

「いやぁ~ねぇ~。女性だからまだいいけど~」ってオイ! 酔っぱらいがいるわけないじゃん。笑。