![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/e4/7c49f6f8be7c839edb05d97aacbfd68a.jpg)
10人足らずの仲間が寄って「仙人をめざす会」というのを作っている。
清廉かつ厳粛な人格を有することが、メンバーになるための必須条件である。
僕は、言うまでもなく、その条件を完璧に満たすメンバーの1人である。
毎年夏になると、奈良県にある大峯山(修験場があり、女人禁制で有名)へ修行に行く。朝早くから山頂へ登り、昼ごろ下山して、なじみの旅館で風呂に入り、ビールを飲み、昼寝をして帰るというまことに厳しい修行を積む。何年かに一度は、四国の剣山や石鎚山へも遠征したりする。
その「仙人をめざす会」の幹事が、このたび修行の場として選んだのが、四国香川県の高松市、「讃岐うどん巡り大修行」であった。これの何が「修行」なのかは、参加したメンバーにもよくわからなかったが、あまりそういうことで悩んだりすると、仙人にはなれないのである。
…そんなことで、11月のある爽やかに晴れた土曜日、「仙人をめざす会」の5人が、讃岐うどんめぐり修行に出たのであった。
大阪を朝6時半に出発し、明石大橋から淡路島を通過して、9時半には高松市内へ着いた。市立駐車場に車を置き、一行は県庁などを横に見ながら歩き始め、間もなく、めざす1軒目の讃岐うどん「丸山製麺所」へ到着した。
小さな店だ。営業時間は朝の6時から午後2時までとある。
朝食にうどんを食べる人が多いのだろう。
丸山製麺所 (11月10日撮影。以下同じ)
僕たちは全員かけうどんを注文した。すべてセルフサービスである。
鉢にうどんの玉だけ入ったものを受け取り、自分で湯がき、ひしゃくでだし汁をすくって鉢に注ぐ。そして、備え付けのネギと天かすをパラっとかけて出来上がり。
「ちゅるちゅるツルツル・ちゅるちゅるツルツル…」
うどんのコシもだし汁も、なかなかのものである。
かけうどん一杯くらいは3分程度で食べ終える。
ちなみに代金は、ひとり分が140円であった。
「よろしいかな? では…」
幹事の号令により、我らはすぐに立ち上がり、次のうどん店へ向かう。
5分も歩かないうちに、次の店に到着した。
「松下製麺所」という、ここも、ごく小さな店である。
松下製麺所
ここでも同じように自分でうどんを湯がき、ダシを入れ、ネギと天かすを放り込む。店内は、地元の人や観光客ふうの人で込み合っている…というより、狭いので、10人も入れば満員である。
「ちゅるちゅるツルツル・ちゅるちゅるツルツル…」
先ほどのうどんとは微妙に硬さが違うし、ダシは少し濃い目である。
う~ん。ツルツル。ふむふむ…。ツルツル。
店によって、それぞれに特徴があるが、甲乙つけがたい味わいだ。。
「では、次へ参ります」
またも幹事の号令で、一同席を立ち、鉢をカウンタに戻して外へ出る。
2杯くらいでは、まだまだ満腹にはならない。
わりに食べられるもんだなぁ…と思いながら次の店をめざす。
幹事役が地図を見ながら歩くのだが、次の店(塩田麺業)はシャッターが閉まっていて休みだった。
「土・日曜日はお休みです」
と張り紙がされていた。
「んりゃりゃりゃりゃ~…?」
と、仙人をめざす5人に動揺の色は隠せなかったものの、そこは百戦錬磨の修行を積んできたツワモノどもである。すぐに気を取り直し、
「ほんなら、次行こか」とせわしなく幹事を促す。
「では、次は…。え~っと、次は~ねぇ…」
と、幹事はまた地図に目をやり、午前中最後の修行場を指で示し、
「ここからだいぶ歩かなあきまへんで」
と言い、香川県庁のほうへ歩き出した。
4人は金魚のフンのように、幹事の後ろを付いて歩く。
全員、幹事から地図を配られているのだが、誰も見ようとしない。
ぞろぞろ歩き始めたそのときであった。
ついにメンバーの一人が、あまりの修行の厳しさに音を上げた。
「まだ行くんか? わしはもう、うどんは食べられへんでぇ」
最年長(70歳)のヤマさんが、お腹をなでる仕草をした。
「腹いっぱいやがな~。おまえら、よう食えるなぁ…」
年齢のせいか、胃袋が小さくなっているのだな…お気の毒に。
情けは人の為ならず…
みんなはヤマさんの声を無視して、黙々と先を急いだ。
3軒目の店「さか枝」は、これまでで一番大きくて観光客も多く、少し俗化されたような雰囲気があった。ここのうどんは量が多く、さすがに食べ終えたときは満腹になったけれど、ほかのメンバーはちくわの天ぷら(一個80円)なども皿に入れて食べていた。たいした食欲である。ヤマさんだけは何も食べず、隅っこのほうでつまらなそうに立っていた。
さ か 枝
3軒のうどん修行を終えた一行は、そのあと、予定通り琴平電鉄に乗って源平古戦場として有名な屋島へ行き、南嶺にある屋島寺まで登った。不整脈の手術以来、激しい運動を控えていた僕は、みんなに気遣ってもらいながら、ゆっくりゆっくりと登ったけれど、頂上に着いて、展望台から瀬戸内海の青々とした風景を見ると、久しぶりに心が勇壮感に満たされていくのを感じた。
登りきったところに屋島寺がある(四国八十八ヵ所第八十四番札所)
元の道を下ったところに、四国村というのがあって、その入口部分に「わら家」という大きなうどん屋がある。ここが、本日最後の修行の場となるのだ。
大きなたらいに5人分のうどんがドドド~ンと入っている。
一行はまた「うまい、うま~い」と叫び、美味なツユに浸けながらツルツルと麺を吸い込んでいったのである。
僕は、ここではうどんはあまり食べなかった。
最後の超人的な苦行に挑戦するためである。
その血も凍りつくような最後の難行・荒行である「生ビール一気飲み」で、僕は、グビグビグビ~っと、目にも留まらぬ早業で飲み干したのだ。
そして、お代わりを注文した。みんなジョッキの中の半分も減っていない。
「のんさん。あんた、不整脈で調子悪い…言うてたん、ほんまかいな?」
と、みんなから怪しまれた。
言われてみれば、そうである。
夏に入る前から、これまでずっと、いろんな誘いをほとんど断ってきた。
飲み会であろうが、歩く会であろうが、登山であろうが…
「体調を崩していますので」と、ことごとく断り続けた。
だから、最後の苦行で見せた僕の一気飲みには、みんな驚いたようだ。
しかし、我々は「仙人をめざす会」なのである。
これくらいの「変わり身」を見せずして、何が仙人であろうか。
7年ほど前、夫と金比羅山に旅行に行き、讃岐うどんを堪能したのを思い出しました。一時期、東京でも讃岐うどんのブームになり、近所にも讃岐うどんのお店があるのですが、やっぱり本場にはかなわないような気がしています。
のんさん、これからも修行がんばってくださいね。
是非とも本場の讃岐うどんを食べに行きたいものです。
それにしても朝5時台にupされたブログに次の朝5時台にコメントするとは
豆腐屋みたいな親子ですね(全国の豆腐屋さんゴメンなさい)
実は僕にもわかりません。
歩いて食べて飲んで風呂に入る…
やっていることはそれだけです。
これでは仙人になれませんか?
こういう説もあります。
↓
才女・じゃいさんが、こんなことを言っておられました。
仙人になるためには…
千人の先人たる専任コーチを選任して修行を積まれよ…と。
また、こんなことも…
彼女は仙○に住んでおられるので…
「私は仙人には及びませんが、生粋の仙○人です」
さすがにじゃいさん。言い得て妙ですね。
仙人が無理ならば、仙○に住んで仙○人になりましょう ♪
な~んだ、キミか。
いや、これは失礼。
コメントありがとう。
キミは小さい頃からうどんが好きだったね。
モミィもそれに似て、うどんを見ると、
「チュルチュル、チュルチュル」
と指をさし、身を乗り出して騒ぎます。
ぜひ、家族で讃岐うどん巡りをしてください。
僕はまた、2月に同じメンバーで行く予定です。
ところで…
朝の5時台にコメントを見ましたが、書き込むのは控えました。
まもなく7時です。もう書き込んでもよろしかったでしょうか?
「えええっ~!」(サザエさんのマスオさんの声。)
うどんって仙人の食べ物なの?
かすみじゃないの?
うどんだと、お坊さん修行のようですが・・・なはは。いや~なんでも、四国のうどんめぐりはうまそうですな。
うどんめぐり、楽しかったですよ。
世の中も変わってきましてね…
最近の仙人は、かすみを食べて生きていけないそうです。
そもそも、現代社会では、仙人という存在自体がかすみかけており、
かすみを食べると、本当にかすんで見えなくなるのを怖れているようです。
友達の仙人がそう言っておりました。
だから、仙人は最近はグルメ志向になっちゃって、
うどんは讃岐、そばは信州、タコは明石などと味にうるさくなってきているそうです。なはは。