朝、勝手口のドアを開けて娘が「来て!」と叫ぶ。
行ってみると、栗の木の下の草むらに三毛子がいた。
「ヘビを三毛子が狙ってる。あのヘビは毒を持ってるんじゃないの?」
と娘が言う。
三毛子の視線の先を見るとたしかにヘビがいた。
体に鮮やかな赤い色が混じっている。マムシじゃないと思った。
この辺りで毒蛇と言えば、私はマムシしか知らなかった。
「毒蛇じゃないから大丈夫。」と言って部屋に戻り念のためネット検索。
「ヤマカガシ」であることがすぐ判明。
ヤマカガシは毒蛇でマムシ以上に猛毒を持っていて、咬まれたら
すぐ救急車を呼んで病院へ行き血清療法を受ける必要がある。
しかし、そういう事があまりないので血清を置いていない病院が
多いというような事が書かれていた。
これは大変だ。放っておいたら三毛子が咬まれてしまう。
それにこれから栗の収穫時期。栗拾いに行って夫が咬まれでもしたら・・・。
(朝寝の夫はまだ起きてこない)
これは私が退治するしかない!しかし、嫌だなあ。
田舎育ちだけど、人生このかた、この手でヘビを殺したことは無い。
娘は虫も殺せず、小学校の魚釣り大会では、「魚がかわいそう」と言って
全く釣りをせず帰って来たほど命に関して繊細な面がある。
「殺したらダメ。殺さないで!」と娘は私を制止する。
「見ないで、家の中に入りなさい!」と悲壮な決心をした私。
どうやって退治すればよいだろう。
三毛子や夫の命を守るため、私が退治するしかない!
近くに夫が農作業で使う鍬(くわ)が置いてあった。
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いざとなったら女は(も)強い。
ごめんね。ヤマカガシさん。
人生初の蛇退治。
後味が悪い。