
T字路は対向車がいないから、青になればいつでも右折できる。そう思っていた時期が僕にもありました。
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その交差点は、ナビ上では十字路に見えていた。僕はそこを右折するつもりだった。その交差点の赤信号で停車。右折レーンはない。僕は先頭だった。十字路だと思っていたが、向こう側の道路は左にずれていた。十字路だと思っていたが、実際はT字路だったのだ。それなら右折も楽だ。信号が青になり、右のウインカーを点滅させて、僕は車を少し前に出した。
すると、左にずれた向こうの道路からこちらに入ってくる車の運転手が僕に向かって手を振り回している。僕に何かを訴えているかのように、口もパクパクしている。何言ってんだこのおじさんは?
ふと視線を上げると、あまり見たことのないような複雑な青い標識が目に入った。右折禁止の標識 (正式には指定方向外進行禁止というらしい) の変な形のやつ。このずれた交差点の形を表しているようだが、矢印は僕がT字路だと思っていた所を左折し、すぐ右折して向こう側の道路へ向かっていた。

要するに、そのT字路っぽい交差点は右折禁止だった。対向車からは、こちらが右折禁止だという標識はないから、この不思議な右折禁止T字路を知っている地元の人なのだろう。
T字路は右左折自由だと思い込んでいると、青い標識を見落とすので、皆さん気を付けましょう。おじさんの身ぶり手振りでやっと気付いた僕は、慌てて向こう側の道路へ進んだのでした。