10月20日に開かれたプロ野球ドラフト会議を受け、多くの滋賀県ゆかりの選手がプロの世界に足を踏み入れる。
ドラフト指名された近江高校3選手が脚光を浴びているいるが「育成」で指名された2選手についても中日新聞が取材しているので以下に紹介する。
鈴木蓮内野手(18)=滋賀学園高校(東近江市)=がDeNAから育成2位に、水口創太投手(23)=京都大医学部人間健康科学科4年、滋賀県立膳所高校(大津市)出身=はソフトバンク育成7位にそれぞれ指名された。
2人にプロ入りに向けた意気込みなどを聞いた。
「両親に恩返しを」 内野手DeNA育成2位、滋賀学園高・鈴木選手
↑写真:中日新聞より
鈴木内野手は、会議から一夜明けた21日の滋賀学園高での記者会見で「まだあまり実感は無いが、選ばれて良かった」と率直に述べた。
20日夜は同校内でタブレット端末を使って会議の中継を確認。自分の名が呼ばれたのを聞いて「はー」と大きく息を吐き、緊張の糸が切れたように体の力を抜いてほほ笑んだ。「既に指名を終了した球団もあったので、呼ばれないことを想像するとすごく怖かった。すごくホッとした」
出身は大阪府門真市。身長183cm、体重83kgで、遠投120m、高校通算29本塁打。1年の夏からベンチ入りし、以降は強肩強打の内野手として活躍した。
今夏の滋賀県大会は初戦で伊吹高に敗れたが、試合中に勝ち越しの適時2塁打を放った。
21日の会見ではプロでの目標に楽天・浅村栄斗選手を挙げ「どの方向にも本塁打が打てる選手になりたい」と話した。守備位置にはこだわらず「どこでも勝負したい」という。
会見後、大阪府から駆けつけた両親には「ここから少しずつでも恩返ししたい」と感謝を伝えた。野球部の同期から胴上げで祝福された。
「評価されうれしい」 ソフトバンク育成7位、膳所高出身の京大・水口投手
↑写真:中日新聞より
水口投手は会議当日、京都大(京都市左京区)の会見場で近田怜王監督らと吉報を待った。指名後に「プロ入りするかは半々」としながらも「評価してもらえたことがうれしい」と笑顔を見せた。
支配下以外のプロ入りを考えてこなかったこともあり、本指名が終わると発表を見続けるかどうかを迷う場面もあった。それでも、名前が呼ばれると安心した表情となった。
194cm、100kgの恵まれた体格から最速152kmを投げる。「自分の武器は身長を生かした角度のある真っすぐと、落ちる変化球」
ソフトバンクは近田監督の出身チーム。水口投手は「育成のうまい球団。強くて日本の球界を引っ張っている」と印象を語る半面、プロ入りには「これから周りの人の意見を聞きながら自分でしっかり考えたい」。
膳所高での3年間を「野球の基礎を学べた。監督にも恩返しできたら」と話し「地元の滋賀でも、子どもたちの目標としてもらえる選手になりたい」と思いを込めた。
隣で見守った近田監督も「育成能力が高い球団で、今から伸びる彼に合っている」と指名を喜んだ。
「武器伸ばして活躍を」 膳所高で水口選手を指導、上品さん
膳所高で水口選手を指導した当時の監督、上品充朗さんは「育成でも期待して指名してくれる時代。自分の武器を伸ばして活躍してほしい」と笑顔を見せた。
20日夜は教頭を務める膳所高校でドラフト会議の様子をインターネット中継で見守った。水口選手の名前が画面に表示されると「よっしゃー」とガッツポーズを見せた。
高校時代から力強い直球が持ち味だった水口選手。高校最後の夏の滋賀県大会は3回戦でエースとして先発し、打ち込まれて敗退した。野球と勉強を両立し、一浪して京都大に入学した。
「体も大きくて手足も長い。魅力的な素材だった」と水口選手を評価する上品さん。「ドラフトで指名された他の選手に比べれば、野球漬けではなく、勉強も頑張る高校時代を過ごした。そういう選手が憧れる存在になってほしい」と話した。
<中日新聞より>