パースの定義によれば彼のいう規範学とはヘーゲルの現象学が「何があるか」を研究するのに対して、規範学は「何があるべきか」を研究する。すなわち、規範学は「現象が目的に対して有する普遍的・必然的関係を研究する」と言う。パースは規範学を論理学、倫理学、美学の三つに分類するが、それぞれに対応する「目的」が真、善、美である。真、善、美がそれぞれの目的と捉えるのは人間のエゴであるが、エゴの体系という規範もまた面白い。パースにおいては認識可能性と存在は同じものである。この立場は現代の物理学と同じである。
パースは何があるかというヘーゲル的現象学がもはや意味をなさないsolenの次元で論理学を展開した、その一部が規範論である。物理学にsolenは無い。おそらくパースの最終的目的は宇宙と人間の関係を理解するための方法論の整序だったのだろう。規範学という説は、エゴの研究として面白い。無限に多様化するエゴは無限に宇宙を選択している。普遍は個物に入れることはできない。
プラグマティズムのイメージが強すぎるが立派な数学者である。
真、善、美を突き詰めて普遍的価値を求めることは人間の死を意味する。意志や美の偶像は危険なのでほどほどにするのが良い。規範それ自体がもともと個別的エゴなのだから、個物に普遍を押し込んではいけない。認識可能性が目的に規定されたものしか人間は観ないという癖があるので、規範論は成り立っている。「世界は私の表象である。」ショーペンハウアーは言った。パースならば、「世界は私に関係する記号である。」と言ったかもしれない。
チャールズ・サンダース・パース(英: Charles Sanders Peirce、1839年9月10日 - 1914年4月19日)は、アメリカ合衆国の哲学者、論理学者、数学者、科学者であり、プラグマティズムの創始者として知られる。マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。パースは化学者としての教育を受け、米国沿岸測量局に約三十年間、科学者として雇われていた。「アメリカ合衆国の哲学者たちの中で最も独創的かつ多才であり、そしてアメリカのもっとも偉大な論理学者」ともいわれる。存命中はおおむね無視されつづけ、第二次世界大戦後まで二次文献はわずかしかなかった。莫大な遺稿の全ては今も公表されていない。パースは自分をまず論理学者とみなし、さらに論理学を記号論(semiotics)の一分野とみなした。
認識可能であれば、真も善も人間のエゴ。美もまたエゴである。
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