公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

助言者

2010-10-14 21:43:39 | ドラッカー
マキャベッリとドラッカーの共通点は広い意味で両者は共にコンサルタントであったという経歴ぐらい。それ以外はほとんど共通点が無い。
唯一共通している助言は、『誰も助けてはくれない』ということだ。

 これほど明確な助言は無い。

 良き助言者は、甘い加勢/助成の見通しは言わないものだ。
 
 国防にあっては傭兵幻想に乗じた軍事寄生者を抱え、国家財政にあっては国富幻想に乗じた助成分配寄生者を抱え、古今の事例に明白であるように傭兵(実際には幻想)にたよった國は政治的に繁栄継続しない。と同様に、過去の国富の寄生者による一時的経済は継続せず、価値創造を忘れた民族には繁栄は二度と戻らない。便利なものや価値観を無批判にただ輸入しているだけの国家や、信じる価値を他国に示す事の無い国家は同盟も繁栄も起こらない。
 企業のレベルでも事業を通じた価値創造においても、継続的な顧客創造をする爲には、信ずる価値を顧客に提示する行動に立たねばならない。
 誰も手を貸してはくれない。
どんなに自分に厳しい人間でも危急に至りては、最後の最後に、おのれの執着が捨てがたいという甘えがある。『誰も助けてはくれない』という覚悟に至れば、やるべきことは自ずから定まる。

よき助言者は自ら立つ覚悟に導く人導師だろう。たとえ総理大臣であっても、中小企業の経営者であっても、独自に自分は完成していると自称している状態ほど危険な時間帯は無い。

 昔の日本はトランジスターラジオに象徴される「安くて高品質なモノをつくる國」という価値創造の信念が明確だった。日本人の勤労の優位性を失ってしまったのではなく、円高に適応した結果、勤労が機械化され、アウトソーシング出来るようになり、昔の日本の価値創造くらいならば、一部を除いてどの國にも出来ることになったという結果にすぎない。誰も助けてはくれない状況にもかかわらず、皮肉なことに米国経済の回復を祈って米国債を買い続けているのは『誰も助けてはくれない』という覚悟の欠如がエリートに蔓延しているからだ。
 まさに良き導師がこの國の中枢に欠けている。



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