『24時間テレビ』に寄せられたお金を着服したとして、日本テレビ系列・日本海テレビの幹部が懲戒解雇になりました。飲食やスロットに使ったとみられています。
『日本海テレビ』田口晃也会長:「24時間テレビへの寄付金という皆様の善意を着服したことは、この上なく悪質。言語道断な行為だと。本当に申し訳ございません」
懲戒解雇されたのは、鳥取市に本社を置く日本海テレビの田村昌宏経営戦略局長(53)です。
田口会長:「売上金など計1118万円余りを着服していたことが判明しました。このうち、264万円余りが24時間テレビに寄せられた寄付金。懲戒解雇処分とし、本日、鳥取警察署に被害を届け出ました」
着服に及んだのは、一度や二度ではありませんでした。
『日本海テレビ』西嶌一泰社長:「(24時間テレビ寄付金の)着服額でございますが、2014年に50万2400円、2015年に32万9000円、2016年に34万8800円」
その後も、毎年数十万円単位の着服を続け、去年、おととしはなかったものの…。
西嶌社長:「(寄付金が)コロナ禍で少なかったので、手を出さなかったというか、出しにくかったというか」
今年も再び、手を出していました。田村局長の不正が明らかになったきっかけは、税務調査が入るという連絡でした。
西嶌社長:「その税務調査でばれるのが、発覚するのが怖くなって、自ら会社のほうに申告してきたのが、そもそものきっかけです」
動機は詳しく話していないといいますが…。
西嶌社長:「周囲も含めて聞いておりますと、本人は後輩たちを連れてよく飲みに歩いていたと。単なる割り勘ではなくて、自分がかなり多めに負担していたと。スロットが好きだったとも申しております
こんなことも話しているそうです。
西嶌社長:「変な言い方なんですけど、自分の口座の残額が増えるのを見るのが好きだったと」
田村局長は事実関係を認め、約450万円を返還。残りも弁済する意思を示しているということです。
24時間テレビに寄せられた募金は、経費を差し引かず、全て環境保護や災害復興、高齢者の支援活動などに使われています。
24時間テレビを通して集められた寄付金によって、3年前に福祉施設に寄贈された福祉車両。日本海テレビの社員が直接施設を訪れ、贈呈されたものでした。
社会福祉施設の代表:「オプションつけて450~500万円ぐらいは行くんじゃないでしょうか。それを丸々贈呈していただけるので、大変助かりました。寝たきりから、走り回れる方、医療ケアが必要な方、たくさんいらっしゃいますけれども、一日一日が精一杯なんですよね。全国の皆様の温かい気持ちを、全く何も考えていないというか、自分のことしか考えていないというか。とにかく許せないですね」
その募金を集めるために、汗を流してきた人もいます。曹洞宗の因幡祖道会。2009年から、24時間テレビのために夏の暑いなか、托鉢で募金活動を行ってきました。
『因幡祖道会』千代西尾正見副会長:「年配の男女だったり、高校生だったり、色んな方が寄付してくれました。男子高校生が自転車に乗って通り過ぎようとしたけれども、引き返して、私の姿を見て、自転車から降りて募金してくれた。とても印象深い。ありがたかった。寄付していただく方の思いがそれぞれあって“いいことに使ってほしい”“社会福祉に使ってほしい”“困っている人を助けてください”色んな考えを我々がいったん預かって、きちんと使っていただけると思って託していました。人間それぞれ欲というのがあって、良い欲もあるんですけど、この度のことは残念至極だと思っています」
日本海テレビは田口会長が辞任、西嶌社長は3カ月分の給与を返上すると明らかにしました。
西嶌社長:「私ども責任を持って浄財をお預かりする立場であり、公共の電波を使わせていただいている公共性の高い会社。にもかかわらず、こうした不正を長年、見落としてきた経営トップの責任は極めて重大だと考えています」
24時間テレビを制作・放送する日本テレビは「寄付金の着服は断じて許されることではなく、今回の事案は誠に遺憾です。心よりおわび申し上げます」とコメントしています。
千代西尾副会長:「人はどうしても道に外れたことをすることもあるので(本人に)弁済する考えがおありのようですので、反省して、使われたお金を戻していただければなと思います」
◆10年間金庫から…着服の手口は
日本海テレビでは募金終了後、金融機関に運ぶまでの間、本社の一室にある金庫で、集めた寄付金を保管。その金庫の鍵を持っていたのは、経理部長ともう1人だけで、金庫の場所もこの2人だけが知っていました。田村元局長は、2014年に経理部次長、2017年に経理部長に昇進していて、金庫のカギを持っていました。元局長は、周囲の目を盗んで寄付金の紙幣や貨幣を持ち出し、自分の銀行口座に入金していたということです。
(Q.誰かが気付くことはできなかったのでしょうか)
寄付金の総額は、金融機関で勘定することになっていました。途中で誰かが現金を抜き取っていたとしても、いくらあったのか、確認することはできない状況だったとみられます。今回、数十円単位まで、着服の金額が判明したのは、田村元局長が、普段から現金を自らの口座に頻繁に出し入れしていたため、そうした記録なども参考にしたということです。
西嶌社長は「本人を信用してしまっていた。経理部幹部であっても、複数人で扱うことをもっと徹底させたり、運搬から勘定に至るまで、外部委託することも検討するべきだった」としています。西嶌社長は、来年の募金活動について「やりたいと強く思っているが、やり方などについては、様々な意見も勘案したうえでとなるかもしれない」としています。
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