公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

株の公開

2013-01-06 23:10:56 | 今読んでる本
『人間尊重の出光には人が中心となって、資本、法規、組織が手段として使われる。われわれは人が働いて働いて働き抜いて事業をつくりこれを発展させる。これに応じて後から組織も出来、規則もできる。儲けた利益は全部社内に保留されて蓄積資本となる。いかなる場合も人が先であり主である。こうして事業が大きくなり発展して行くことが誰でも希望する理想であると思う。これに反して会社をつくり、資本を募り、組織をつくり、規則をつくり、この組織の中に新会社に雇われたる人々があてはめられるのが、普通の会社の設立の方法である。人による出立と、金による出立との根本の相違である。

 出光創業の資本は諸君承知のとおり日田翁の恩恵の金である。その後儲けた蓄積資本と銀行の借入金とであって、その他資本家より借入金はない。その理由は、人が先に先んずるという私の思想は、趣旨としては誰でもが賛成するが、実際には資本家には理解されないからである。
。。。(略)。。。
 この意味において出光が個人経営とか株式組織とかいうことは、全然枝葉末節の問題となる。

 株式公開は大衆の資金を集め大衆と結ぶ常識的の方法であるが、出光の場合は根本的の問題が起こる。みながせっかく儲けた社内蓄積資本は高率配当となって外部に出て、月給生活の私は配当を取ることとなり、はじめて私有財産ができて資本家と急変する。労使の関係がはっきりと浮かび上がってくる。見ようによっては四十年来の深淵の破壊であり、出光の堕落とも言いうる。世の変遷はこの変化も甘受せねばならぬから、諸君はその弊害を最小限に留めることに努力せねばならぬ。』

 しかしこの訓辞から55年後の2006年に出光は株式公開した。

 良い本が出たので読んで見ようかと思う。
出光興産の自己革新 (一橋大学日本企業研究センター研究叢書 4)
「2兆円クラブ」からの脱出
バブル崩壊後,2兆円を超える有利子負債を抱えていた大企業,日産自動車・ダイエー・出光興産のうち,他企業・政府等から支援を受けずに自力回復を果たしたのは出光のみ。その過程で,どのような施策が,いかにして進められ,会社はどう変わっていったのか。
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