公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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真空のエネルギー

2021-08-07 15:54:00 | 防衛力

2021年8月6日
理化学研究所
東京大学
熱と量子の揺らぎを発現する深層学習モデルを発見
-「富岳」などにより自然界の根源的なシミュレーションが加速-
理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター計算物質科学研究チームの野村悠祐研究員、開拓研究本部Nori理論量子物理研究室の吉岡信行客員研究員(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻助教)、フランコ・ノリ主任研究員の研究チームは、深層学習モデル[1]を用いることで、熱および量子的な揺らぎの双方が内在する現象を、精密かつ高速に計算できることを発見しました。
本研究成果は、未知の量子多体現象の解明や高効率な量子デバイスの開発などに貢献すると期待できます。
熱で活性化された粒子の運動が揺らぐ効果と、量子系特有の量子もつれ[2]による揺らぎ[3]の効果を調べることは、いずれも物理の根源的な課題です。特に、量子力学の法則に従う多粒子系(量子多体系)における両者の働きを調べることは、物理学における最大級の難問の一つといえます。
今回、研究チームは、機械学習[1]において活用されている深層学習モデルが、さまざまな関数系を柔軟に記述する表現能力を持つことに着目し、量子多体系の有限温度[4]状態を計算する新たなアルゴリズムを開発しました。そして、世界最先端の演算性能を持つスーパーコンピュータ「富岳」[5]などを用いて、本手法が高い精度と効率を両立することを実証しました。
本研究は、科学雑誌『Physical Review Letters』のオンライン版(8月4日付)に掲載されました。
量子もつれと揺らぎは真空のエネルギーの証明につながる。今年は理研の当たり年

2021年8月13日
理化学研究所
豊田理化学研究所
早稲田大学
機械学習手法により物理の難問「量子スピン液体」を解明
-スーパーコンピュータ「富岳」も用いた最先端の計算により実現-
理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター計算物質科学研究チームの野村悠祐研究員と豊田理化学研究所/早稲田大学理工学術院総合研究所の今田正俊フェロー/上級研究員・研究院教授の共同研究チームは、機械学習[1]を用いた世界で類を見ない高精度手法により、幾何学的フラストレーションのある量子スピン系[2]の解析を行いました。そして、スピンの向きが絶対零度でも整列せずに、量子力学的に揺らぐ「量子スピン液体[3]」相を発見・確証し、存在領域を特定しました。
本研究成果は、量子スピン液体中でスピンが分裂して生じる「スピノン[4]」の性質を解き明かし、これを量子計算への応用につなげるとともに、現実物質で量子スピン液体を実現するための有用な指針を与えるものと期待できます。
今回、共同研究チームは、機械学習分野で用いられる人工ニューラルネットワーク[1]の一種である制限ボルツマンマシン[5]と物理分野で用いられる強力な関数を組み合わせて、スピン間の高度な量子もつれ[3]を学習させる手法を構築しました。スーパーコンピュータ「富岳」などでこの手法を用いた大規模計算を行い、2次元正方格子上のフラストレーションのある量子スピン模型を世界最高レベルの精度で解析した結果、フラストレーションが強くなる領域において、量子スピン液体相の存在の確証を得ました。さらに、実現した量子スピン液体相の励起構造も調べ、通常のスピンの励起が分裂し、分裂した粒子が独立した粒子のように振る舞う分数化という現象を捉えました。
本研究は、オンライン科学雑誌『Physical Review X』(8月12日付)に掲載されます。


スピノン
量子スピン液体状態においては、通常の磁性体のスピン励起とは異なり、スピンがあたかも二つに分裂したような励起が発現すると考えられている。スピンが二つに分裂し、それらが、あたかも独立した粒子のように振る舞うとき、その粒子をスピノンと呼ぶ。通常のスピン励起とは異なる量子もつれの特性が量子コンピュータにおける量子計算などに有用と考えられている。



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