公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『東京のゲニウス・ロキ地霊』鈴木博之

2017-12-01 19:51:00 | 今読んでる本
著者友人の藤森照信氏の文庫版のあとがき解説を批判してさらにちくま学芸文庫版の石山修武氏の解説がいい。勿論本文は非常に興味深い。

1988〜89年初出、1990年文藝春秋の本を2009年筑摩が文庫化したものの古書を読んでる。こういう本はどうしても埋もれてしまう。初出が学術誌でもない博報堂の広告という広報誌であるし、ある意味古典的な文献による援護のない、引用の極めて少ない独創の著作である。したがって著者の敢えて脚注と引用先を省いている。その孤立的性格はマキャベッリの君主論と同じである。

本文よりも白眉は地霊地籍地形は どうしても消えずに形になるというニューヨークマンハッタン島のビル意匠など興味深い著者の洞察が石山修武氏の解説にある。たとえ本書が埋もれても鈴木博之氏が天才であることは少し読めばわかる。

なるほど、思えば三井記念病院に東大医学部が新人医師を派遣するのは、神田和泉町の三井記念病院にお玉ヶ池の種痘所のゲニウス・ロキがあるからか。そこまではさすがの天才鈴木博之氏も気付くまいて。ゲニウス・ロキ不思議なことだね。一高と駒場の入れ替えがあったから東大教養が駒場にあり、本郷の隣地に農学部があるわけだ。ということは一高のゲニウス・ロキが農学部のどこかに蘇っているのかも知れない。

一方で駒場には山林の中のレストランとしてLever son Verre(ルヴェ・ソン・ヴェール)駒場が登場した。これは農学時代のゲニウス・ロキが蘇ったと見えることに著者は同意してくれるだろうか?いや、鈴木博之氏はもうこの世にはいないのだ。 鈴木 博之(1945年5月14日 - 2014年2月3日)は、日本の建築史家。位階は正四位。勲等は瑞宝中綬章。学位は工学博士(東京大学・1984年)。東京大学名誉教授。十分に評価されて名声のあった建築家だ。私が知らなかっただけです。



桑茶令などというものがあったとは、江戸は維新直後からずいぶんと空き家だらけで物騒な所があったらしい。官吏が住んだ所も次第に民間の地所となる中間形態が桑茶畑だったという。やがては事業家の手に地所が転移するが、こういう権威移動の歴史には過去何度もある。その中でも敗者の無念を踏まえ置かなければ上野周辺の理解できない。宮益坂の上に向かって左側もそういうところ、未だに皇族の泣き声が聴こえてきそう。


藤森 照信(ふじもり てるのぶ、1946年11月21日 - )は、日本の建築史家、建築家(工学博士)。東京大学名誉教授、東北芸術工科大学客員教授。東京都江戸東京博物館館長。専門は、日本近現代建築史、自然建築デザイン。日本建築学会の建築歴史・意匠委員会委員を歴任。路上観察学会*はメディアでも露出して有名。

* 1986年設立。学会を名乗っているが学会的運営をされていたわけではなく、実質的には筑摩書房の編集者松田哲夫の企画により赤瀬川原平を中心に据えた、文筆家・美術家・漫画家・特異な収集家を本の出版に合せてまとめた集団である。 「路上観察学会」は1986年に筑摩書房の本「路上観察学入門」の発売に合わせて東京一ツ橋の学士会館で結成発表会を行いマスコミ関係者を集めて質疑応答などをした。この時の様子は、参加したとり・みきが著書「愛のさかあがり」に、エッセイ漫画の形で書き残している。


石山 修武(いしやま おさむ、1944年4月1日 - )は日本の建築家。早稲田大学理工学部名誉教授。元東北大学非常勤講師。日本建築学会賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、吉田五十八賞など多数受賞。


『新国立競技場のデザインコンペで、旧知の安藤忠雄審査委員長らと共に、審査に加わった。その後の2013年の講演では「当選案のザハ案は、その技術的挑戦課題も含め、(丹下健三の)代々木体育館へのオマージュとも解釈でき、圧倒的に優れていた」と語った。最終審査(二次投票)の際に17番のザハ案を1位に選んだのは10名中4名(鈴木教授と安藤と利活用グループ都倉俊一と外国人審査委員1名の事前評価と)だった。』wiki

私はザハ案は嫌いだった。これははっきりしている。エイリアンの寄生虫。構造はまあそうだろう。でも代々木体育館を意識していた事実とゲニウス・ロキがどう関係するのだろう。感覚としてその真反対の異物、エイリアンの繭だった。
首相官邸設計の左右非対称も鈴木博之の進言によるものらしい。

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