産経抄(産經新聞)には斉昭が牛肉好きだったと書かれている。
本当かどうか出典の根拠がどこに由来するか不明だ。
個人的に産經新聞の青旗のスタンスを評価するが、産経抄とはそういうコラムだから、正確性は便所の落書きをやや上回る程度としかおもっていない。愛読者には申し訳ないが、そういう側面が無ければ新聞は売れない。
しかし牛肉が原因でその産地彦根藩の井伊直弼の禁欲的牛肉統制を恨んだことを桜田門外の変の理由に関係して、今このときに説明する必然性があるのか、単なる歴史の『もし』に茶化しにされてたまるかと思う。産経の青旗スタンスも所詮その程度のもの。
桜田門外の変は一連の出来事から評価しなければ本当の事がわからない。水戸藩は1800人近い人材を幕末から明治にかけて失っている。変は斉昭の主導した変でも、私怨で起した乱でもない。
江戸城が無血開城されるまでに流された血を忘れるような便所の落書きは、たとえそれが本物の落書きでも茶化しのネタとする非礼を許す事が出来ない。
2010.12.3 03:13産経抄
表向き肉食が禁じられていた江戸時代に、彦根藩だけは牛肉生産が認められていた。将軍家などへ献上していた記録が残っている。それを誰よりも楽しみにしていたのが、牛肉が大好物だった水戸藩主の徳川斉昭だ。
▼ところが仏教信仰の篤(あつ)い井伊直弼が彦根藩主となると、生産を禁止する。斉昭が何度頼んでも、直弼はすげなく断ったという(『牛肉と日本人』吉田忠著)。
▼水戸浪士によって直弼が暗殺された「桜田門外の変」の原因は、斉昭の食べ物の恨み、なんてことはもちろんない。ただ、幕府の大老として開国を推し進めた直弼と攘夷(じょうい)を唱えて激しく対立した斉昭が、牛肉をめぐっては、まったく逆の立場だったとは興味深い。
▼環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加をめぐる論議が、政府内で本格的に始まった。アジア太平洋圏で起こっている自由化への大きなうねりに背を向けていては、貿易立国の日本の将来はない。もっとも農林族議員たちの、絶対阻止の決意は固いようだ。
▼自らの内閣を「奇兵隊内閣」と名付けた菅直人首相は今回、「平成の開国」と打ち上げた。それほど歴史好きなら、小紙連載の「幕末から学ぶ現在」にぜひ、目を通してほしい。筆者の山内昌之東大教授は、旧幕臣の福地桜痴の言葉を引いて直弼を批判していた。
▼ もし直弼にまことの開国の「卓識」があれば、自ら上京して開国と鎖国の得失を天皇の前で堂々と弁じていただろう、と。斉昭も開国によって、米国産牛肉がたらふく食べられると知ったら、攘夷にあれほど固執しなかったかもしれない。あくまで妄想だが。首相には直弼を反面教師にして、国民の前で堂々とTPPを弁じてほしいものだ。
【菅政権考】皇室への敬愛欠く「蛤(はまぐり)の変」 (1/3ページ)
2010.12.4 07:00
民主党の中井洽(ひろし)衆院予算委員長(68)が11月29日の議会開設120年記念式典で、秋篠宮ご夫妻に対し「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか」と非礼な発言をした問題で、衆院へ懲罰動議が出る事態となった。皇室への理解と敬愛の念が不十分な言動は、残念ながら中井氏以外の政治家にも時に見受けられる。特に、民主党が中井氏の非礼な発言を頑(かたく)なに否定し、擁護に走ったことは相当な問題だ。何事にも責任をとらない党の体質が、皇族にかかわる問題でも現れてしまった。礼節こそが、人と禽獣(きんじゅう)を区別するものではなかったか。日本の政治家の劣化はいつやむのだろうか。
◇礼節わきまえず
「この国会は『蛤(はまぐり)の変』で終わることに。情けない」
中井氏への懲罰動議が出た1日夜、公明党幹部はこう嘆いた。
ベテラン議員の中井氏は、名前の「洽(ひろし)」が難読で、「蛤」に似ているため、政界では「なかい・はまぐり」というニックネームがついている。ある意味大物の証明なのだが、これと、幕末の1864年に会津・薩摩両藩と長州藩が京都御所をめぐって戦った「蛤御門の変」をもじっての嘆きだ。
新党改革の舛添要一代表(62)は2日、「天下国家の大きな所から議論すべきで、(式典での中井氏の)やじや(逢沢一郎自民党国対委員長(56)の)携帯電話の音が国会会期末の争点になる(ことで懲罰合戦になった)のは、日本が終わった感じがする」と語った。
その通りだが、厳粛であるべき国会の式典での、皇族への非礼な言動を等閑視していいことにはならない。
「辞譲(じじょう)の心は礼の端(たん)なり」(「孟子」)
古の中国の聖人はよい言葉を残してくれた。へりくだって譲る心が礼の芽生えである-という意味だ。議員が席に座りたいからといって、両陛下を起立してお待ちになっていた秋篠宮ご夫妻に暴言を吐くのは、実に対照的だ。
1日の参院議院運営委員会理事会で、自民党理事は、中井氏には発言以外にも不適切な振る舞いがあったと報告した。
「中井氏は、天皇皇后両陛下、秋篠宮同妃両殿下のお迎えに際しても、一人(モーニング姿ではなく)平服で、お迎え前にもポケットに手を入れ、周りの民主党委員長と雑談していた。秋篠宮同妃両殿下の議場ご入場の際も1人着席のまま、数秒後に立つ対応だった…」
中井氏は1日、発言について「隣の人としゃべっただけ。『(着席されるよう)宮様に伝えていないのかね』と言った」と、秋篠宮ご夫妻を気遣ったのだと主張した。しかし、問題発言を耳にしたと語る議員は、水野賢一・みんなの党幹事長代理(44)ら何人もいる。
◇終始無関心な菅首相
尖閣ビデオ映像の流出には烈火のごとく怒った菅直人首相(64)も、中井氏の問題には何の関心も示さない。さすが、国旗国歌法の衆院採決で反対しただけはある。
平成21年11月に天皇陛下ご臨席で開かれた「ご在位20年記念式典」の最中に、当時、副総理兼財務相だった菅首相が「首を何度も何度もこっくりこっくりとし、居眠りをしていた」(自民党の木村太郎衆院議員(45)の質問主意書)疑惑が指摘されたこともあった。このときの政府答弁書は居眠りを否定も肯定もしていない…。
小沢一郎元代表(68)も、昨年、天皇陛下の中国要人とのご会見を強引に実現した。
礼節をわきまえない人たちが「政治主導」など行っていいものか。民主党にも「式次第がそう(=ご着席)なっていたからといって、秋篠宮様が天皇皇后両陛下を立ってお待ちになる判断をされたのだから、僕ら(国会議員)も従わないといけない」(参院幹部)との常識ある議員もいるが、執行部では少数派だ。
他にも議員の劣化の例があると明らかにしたのは皮肉にも中井氏だった。釈明の際、「僕が言うと怒られるが、秋篠宮さまが(議場に)お入りになってから遅刻した奴が10数人いたぞ」と語ったのだ。
また、議会開設記念式典に出席しなかった国会議員は共産党の15人を含め、全体の半数近い330人超に及んだ。
このようなことが、「日本国の象徴」と明治以来の議会政治の歩みをないがしろにすると思わないのだから、事は深刻だ。 (政治部 榊(さかき)原(ばら)智(さとし))
本当かどうか出典の根拠がどこに由来するか不明だ。
個人的に産經新聞の青旗のスタンスを評価するが、産経抄とはそういうコラムだから、正確性は便所の落書きをやや上回る程度としかおもっていない。愛読者には申し訳ないが、そういう側面が無ければ新聞は売れない。
しかし牛肉が原因でその産地彦根藩の井伊直弼の禁欲的牛肉統制を恨んだことを桜田門外の変の理由に関係して、今このときに説明する必然性があるのか、単なる歴史の『もし』に茶化しにされてたまるかと思う。産経の青旗スタンスも所詮その程度のもの。
桜田門外の変は一連の出来事から評価しなければ本当の事がわからない。水戸藩は1800人近い人材を幕末から明治にかけて失っている。変は斉昭の主導した変でも、私怨で起した乱でもない。
江戸城が無血開城されるまでに流された血を忘れるような便所の落書きは、たとえそれが本物の落書きでも茶化しのネタとする非礼を許す事が出来ない。
2010.12.3 03:13産経抄
表向き肉食が禁じられていた江戸時代に、彦根藩だけは牛肉生産が認められていた。将軍家などへ献上していた記録が残っている。それを誰よりも楽しみにしていたのが、牛肉が大好物だった水戸藩主の徳川斉昭だ。
▼ところが仏教信仰の篤(あつ)い井伊直弼が彦根藩主となると、生産を禁止する。斉昭が何度頼んでも、直弼はすげなく断ったという(『牛肉と日本人』吉田忠著)。
▼水戸浪士によって直弼が暗殺された「桜田門外の変」の原因は、斉昭の食べ物の恨み、なんてことはもちろんない。ただ、幕府の大老として開国を推し進めた直弼と攘夷(じょうい)を唱えて激しく対立した斉昭が、牛肉をめぐっては、まったく逆の立場だったとは興味深い。
▼環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加をめぐる論議が、政府内で本格的に始まった。アジア太平洋圏で起こっている自由化への大きなうねりに背を向けていては、貿易立国の日本の将来はない。もっとも農林族議員たちの、絶対阻止の決意は固いようだ。
▼自らの内閣を「奇兵隊内閣」と名付けた菅直人首相は今回、「平成の開国」と打ち上げた。それほど歴史好きなら、小紙連載の「幕末から学ぶ現在」にぜひ、目を通してほしい。筆者の山内昌之東大教授は、旧幕臣の福地桜痴の言葉を引いて直弼を批判していた。
▼ もし直弼にまことの開国の「卓識」があれば、自ら上京して開国と鎖国の得失を天皇の前で堂々と弁じていただろう、と。斉昭も開国によって、米国産牛肉がたらふく食べられると知ったら、攘夷にあれほど固執しなかったかもしれない。あくまで妄想だが。首相には直弼を反面教師にして、国民の前で堂々とTPPを弁じてほしいものだ。
【菅政権考】皇室への敬愛欠く「蛤(はまぐり)の変」 (1/3ページ)
2010.12.4 07:00
民主党の中井洽(ひろし)衆院予算委員長(68)が11月29日の議会開設120年記念式典で、秋篠宮ご夫妻に対し「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか」と非礼な発言をした問題で、衆院へ懲罰動議が出る事態となった。皇室への理解と敬愛の念が不十分な言動は、残念ながら中井氏以外の政治家にも時に見受けられる。特に、民主党が中井氏の非礼な発言を頑(かたく)なに否定し、擁護に走ったことは相当な問題だ。何事にも責任をとらない党の体質が、皇族にかかわる問題でも現れてしまった。礼節こそが、人と禽獣(きんじゅう)を区別するものではなかったか。日本の政治家の劣化はいつやむのだろうか。
◇礼節わきまえず
「この国会は『蛤(はまぐり)の変』で終わることに。情けない」
中井氏への懲罰動議が出た1日夜、公明党幹部はこう嘆いた。
ベテラン議員の中井氏は、名前の「洽(ひろし)」が難読で、「蛤」に似ているため、政界では「なかい・はまぐり」というニックネームがついている。ある意味大物の証明なのだが、これと、幕末の1864年に会津・薩摩両藩と長州藩が京都御所をめぐって戦った「蛤御門の変」をもじっての嘆きだ。
新党改革の舛添要一代表(62)は2日、「天下国家の大きな所から議論すべきで、(式典での中井氏の)やじや(逢沢一郎自民党国対委員長(56)の)携帯電話の音が国会会期末の争点になる(ことで懲罰合戦になった)のは、日本が終わった感じがする」と語った。
その通りだが、厳粛であるべき国会の式典での、皇族への非礼な言動を等閑視していいことにはならない。
「辞譲(じじょう)の心は礼の端(たん)なり」(「孟子」)
古の中国の聖人はよい言葉を残してくれた。へりくだって譲る心が礼の芽生えである-という意味だ。議員が席に座りたいからといって、両陛下を起立してお待ちになっていた秋篠宮ご夫妻に暴言を吐くのは、実に対照的だ。
1日の参院議院運営委員会理事会で、自民党理事は、中井氏には発言以外にも不適切な振る舞いがあったと報告した。
「中井氏は、天皇皇后両陛下、秋篠宮同妃両殿下のお迎えに際しても、一人(モーニング姿ではなく)平服で、お迎え前にもポケットに手を入れ、周りの民主党委員長と雑談していた。秋篠宮同妃両殿下の議場ご入場の際も1人着席のまま、数秒後に立つ対応だった…」
中井氏は1日、発言について「隣の人としゃべっただけ。『(着席されるよう)宮様に伝えていないのかね』と言った」と、秋篠宮ご夫妻を気遣ったのだと主張した。しかし、問題発言を耳にしたと語る議員は、水野賢一・みんなの党幹事長代理(44)ら何人もいる。
◇終始無関心な菅首相
尖閣ビデオ映像の流出には烈火のごとく怒った菅直人首相(64)も、中井氏の問題には何の関心も示さない。さすが、国旗国歌法の衆院採決で反対しただけはある。
平成21年11月に天皇陛下ご臨席で開かれた「ご在位20年記念式典」の最中に、当時、副総理兼財務相だった菅首相が「首を何度も何度もこっくりこっくりとし、居眠りをしていた」(自民党の木村太郎衆院議員(45)の質問主意書)疑惑が指摘されたこともあった。このときの政府答弁書は居眠りを否定も肯定もしていない…。
小沢一郎元代表(68)も、昨年、天皇陛下の中国要人とのご会見を強引に実現した。
礼節をわきまえない人たちが「政治主導」など行っていいものか。民主党にも「式次第がそう(=ご着席)なっていたからといって、秋篠宮様が天皇皇后両陛下を立ってお待ちになる判断をされたのだから、僕ら(国会議員)も従わないといけない」(参院幹部)との常識ある議員もいるが、執行部では少数派だ。
他にも議員の劣化の例があると明らかにしたのは皮肉にも中井氏だった。釈明の際、「僕が言うと怒られるが、秋篠宮さまが(議場に)お入りになってから遅刻した奴が10数人いたぞ」と語ったのだ。
また、議会開設記念式典に出席しなかった国会議員は共産党の15人を含め、全体の半数近い330人超に及んだ。
このようなことが、「日本国の象徴」と明治以来の議会政治の歩みをないがしろにすると思わないのだから、事は深刻だ。 (政治部 榊(さかき)原(ばら)智(さとし))