北朝鮮が弾道ミサイル2発発射=日本海に落下、800キロ飛行
[ソウル 16日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は16日、新型の「鉄道機動ミサイルシステム」の発射実験が15日に行われたと伝えた。ミサイルは800キロ飛行し、北朝鮮東岸沖の標的に命中したという。
日韓当局は15日、北朝鮮が同日に弾道ミサイルとみられるミサイル2発を発射したと発表していた。
KCNAによると、発射実験は今年に入って編成された鉄道機動ミサイル連隊が実施した。
実験に立ち会った朝鮮労働党政治局常務委員で党書記の朴正天氏は「鉄道機動ミサイルシステムは、脅威をもたらす勢力に対し同時に複数の大打撃を与える能力を持つ効率的な反撃手段になる」と述べたという。
国営メディアは、山に囲まれた場所で線路に停車した鉄道車両の屋根からミサイルが発射される場面の写真を公開した。
韓国は、北朝鮮中部の陽徳郡付近からミサイルが発射されたとしていた。
米国科学者連盟のアダム・マウント上級研究員は「鉄道機動ミサイルは比較的安価で信頼性が高い選択肢だ」とツイッターで指摘。ロシアが導入し、米国も検討した経緯があるとして、北朝鮮にとっては理にかなっていると述べた。
マウント氏らは、北朝鮮の限定的で信頼性の低い鉄道網が制約になるとみられるが、ミサイル発射前に追跡・破壊を目指す他国にとってはさらに難しくなるだろうとした。
KCNAは朴党書記の話として、現在は連隊規模の鉄道機動ミサイル部隊を近く旅団規模に拡大し、実戦に向けた訓練を行う計画だと伝えた。また同氏は、軍が同システムを全国に配備する戦術計画を策定すべきと述べた。
カーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ上級研究員はツイッターで、ミサイル運搬システムがこれほど多様なのは珍しいとし、「(特に資源の乏しい国にとっては)費用対効果が低く、よりスリムで垂直統合された部隊よりもはるかに運用が複雑だ」と記した。
また、より大型で核武装可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射システム開発の足掛かりになる可能性があると言及。さらに、北朝鮮の一部システムは「技術的なデモンストレーション」で、実際に配備されない可能性もあると指摘した。