《シトクロム酸化酵素単離精製するため、通常使われていた界面活性剤に代えて、Amphipol と呼ばれる両親媒性のポリマーを用いることにより酵素を単量体と 2 量体それぞれの状態で安定化させることに成功しました。その結果、単量体と 2 量体の酵素活性を厳密に比較することができるようになり、単量体の方が高い活性を示すことが明らかになりました。すなわち、単量体は酵素の「活性型」であり、2 量体は活性化するための「待機型」である可能性があります。》
シトクロム酸化酵素の単量体の結晶化にも成功している。
この図を見ると電子伝達系とATP合成は直接リンクしていない。プロトン放出から分岐して酸素を最終的受容分子にして余剰電子を取り出している。プロトン濃度勾配をATP合成のエネルギーに使う分子ダム型構造が多くの生物のエネルギー通貨流通の基礎:プロトン型生物と言うべき。
引用元
まず、マトリックス内でNADHやFADH2が酸化されると高エネルギーの電子を放出します。
NADH → NAD+ + H+ + 2e–
FADH2 → FAD + 2H+ + 2e–
ミトコンドリア内膜には複数の電子伝達タンパク複合体によって形成される電子伝達鎖が埋め込まれていて、放出された電子を受け取ります。
受け取られた電子は電子伝達鎖内を移動しながら少しずつエネルギーを放出します。その際に放出されたエネルギーを利用して、電子伝達タンパク複合体がマトリックス内のH+を膜間腔へと汲み出します。
H+を膜間腔へと汲み出し続けると、マトリックスと膜間腔のあいだにH+の濃度勾配が形成されます。
すると、H+は濃度勾配にしたがってATP合成酵素を通って膜間腔からマトリックス内に流れ込んで元に戻ります。このとき、H+が通り抜けたことでATP合成酵素内のタービンが回転し、ADPとPi(無機リン酸)からATPが合成されます。
電子伝達鎖内を移動しきった電子は最終的にH+およびO2と反応してH2Oになります。
O2 + 4H+ + 4e– → 2H2O
反応の概要は、NADHやFADHといった補酵素の酸化と、それによる酸素分子(O2)の水分子(H2O)への還元である。反応式は
ADP
+
P
i
+
H
+
⟶
ATP
+
H
2
O
,
{\displaystyle {\ce {{ADP}+{P_{i}}+H^{+}->{ATP}+H2O\ ,}}}
Δ
G
∘
=
+ 30.5 kJ mol
−
1
{\displaystyle \Delta G^{\circ }={\mbox{+ 30.5 kJ mol}}^{-1}}
であり、ATPシンターゼによって触媒される。ミトコンドリアの内膜とマトリックスに生じた水素イオンの濃度勾配のエネルギーを使って、ATP合成酵素によってADPをリン酸化してATPができる。
真核細胞内のミトコンドリア内膜の他に原核細胞の形質膜にも見られる反応でもある。ミッチェルの提唱した化学浸透圧説での反応機構が最も有力で、次に仮説されたように、電子伝達系によって膜の内外にプロトンの電気化学ポテンシャル差が形成され、これを利用してATP合成酵素(F0F1)が駆動し直接ATPを合成するとされる。脱共役剤は電子伝達系の反応とATP合成の反応の共役を阻害するもので、これを添加することにより電子伝達系が行われても酸化的リン酸化はおこらない。
シトクロム酸化酵素の単量体の結晶化にも成功している。
この図を見ると電子伝達系とATP合成は直接リンクしていない。プロトン放出から分岐して酸素を最終的受容分子にして余剰電子を取り出している。プロトン濃度勾配をATP合成のエネルギーに使う分子ダム型構造が多くの生物のエネルギー通貨流通の基礎:プロトン型生物と言うべき。
引用元
まず、マトリックス内でNADHやFADH2が酸化されると高エネルギーの電子を放出します。
NADH → NAD+ + H+ + 2e–
FADH2 → FAD + 2H+ + 2e–
ミトコンドリア内膜には複数の電子伝達タンパク複合体によって形成される電子伝達鎖が埋め込まれていて、放出された電子を受け取ります。
受け取られた電子は電子伝達鎖内を移動しながら少しずつエネルギーを放出します。その際に放出されたエネルギーを利用して、電子伝達タンパク複合体がマトリックス内のH+を膜間腔へと汲み出します。
H+を膜間腔へと汲み出し続けると、マトリックスと膜間腔のあいだにH+の濃度勾配が形成されます。
すると、H+は濃度勾配にしたがってATP合成酵素を通って膜間腔からマトリックス内に流れ込んで元に戻ります。このとき、H+が通り抜けたことでATP合成酵素内のタービンが回転し、ADPとPi(無機リン酸)からATPが合成されます。
電子伝達鎖内を移動しきった電子は最終的にH+およびO2と反応してH2Oになります。
O2 + 4H+ + 4e– → 2H2O
反応の概要は、NADHやFADHといった補酵素の酸化と、それによる酸素分子(O2)の水分子(H2O)への還元である。反応式は
ADP
+
P
i
+
H
+
⟶
ATP
+
H
2
O
,
{\displaystyle {\ce {{ADP}+{P_{i}}+H^{+}->{ATP}+H2O\ ,}}}
Δ
G
∘
=
+ 30.5 kJ mol
−
1
{\displaystyle \Delta G^{\circ }={\mbox{+ 30.5 kJ mol}}^{-1}}
であり、ATPシンターゼによって触媒される。ミトコンドリアの内膜とマトリックスに生じた水素イオンの濃度勾配のエネルギーを使って、ATP合成酵素によってADPをリン酸化してATPができる。
真核細胞内のミトコンドリア内膜の他に原核細胞の形質膜にも見られる反応でもある。ミッチェルの提唱した化学浸透圧説での反応機構が最も有力で、次に仮説されたように、電子伝達系によって膜の内外にプロトンの電気化学ポテンシャル差が形成され、これを利用してATP合成酵素(F0F1)が駆動し直接ATPを合成するとされる。脱共役剤は電子伝達系の反応とATP合成の反応の共役を阻害するもので、これを添加することにより電子伝達系が行われても酸化的リン酸化はおこらない。