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「願い事には気をつけろ」という警句の実例?むしろ米露同盟の見えない一歩を隠せということ

2018-12-26 14:31:14 | イランおよびトルコ シリア

2018 年 12 月 26 日 14:13 JST 更新<button class="eng-tab-btn" data-english-sbid="SB11083153787237564370404585021221278478684" data-tg-off="原文 (英語)" data-tg-on="日本語に戻る"></button>

【イスタンブール】シリア東部から米軍を撤退させるというドナルド・トランプ大統領の突然の決定は、この地域がトルコ軍の支配下に変容することを意味する。これはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領にとって、期待をはるかに上回る出来事だ。

 一方、これはエルドアン氏にとって「願い事には気をつけろ」という警句の実例になってしまう可能性もある。

 米国の支援を受けるシリア国内のクルド人勢力からトルコが手に入れようと画策していた南部国境沿いの地域は、もっと控えめな範囲だった。しかし今や、トルコはシリア国内の石油資源に恵まれた広大な地域の保護管轄権を手中にし、シリア国内で中心的役割を担う勢力となるかもしれない。

 米国からしばしば非難の対象、経済制裁の対象にさえされてきたトルコだが、その立場はシリアやその他地域におけるパートナーへと変わりつつある。そしてエルドアン氏はすでに、地域での主導権を握るという自らの野望の正当性が米政府によって認められたと考えている。トランプ氏は、エルドアン氏からの2019年のトルコ訪問の要請さえも受け入れている。

 ワシントンのタハリール中東政策研究所(TIMEP)のシリア問題専門家、ハッサン・ハッサン氏は「米国とトルコが互いにパートナーとして協力し始めれば、この地域でのゲームの図式が変わる」と指摘。「米国がイランに対して何か行動を起こしたいと考えた場合、中東でのパートナーが必要だ。その相手はサウジアラビアではなくトルコだ」と語った。

 トルコは北大西洋条約機構(NATO)第2の規模の軍隊と、高度な外交・情報組織を持つ。それを考えれば、トランプ氏が中東での同盟国の第1選択肢としていたサウジアラビアよりも、影響力を行使するための大きな能力を備えているのは確かだ。反体制派記者ジャマル・カショギ氏の殺害によって米国内や中東地域でサウジのイメージが損なわれた今では、なおさらそうだと言える。この殺害事件は、現在でも米議会の対サウジ制裁を加速させる可能性がある。

シリア北部マンビジに配備されている米軍部隊
シリア北部マンビジに配備されている米軍部隊PHOTO: US ARMY/REUTERS

 しかし、シリアでの勢力拡大は、今年起きた通貨危機の影響を脱したばかりのトルコを新たなリスク、そして、おおむね予測不能なリスクの時代に引き込む。トルコはクルド系勢力との対立に加え、過激派組織「イスラム国(IS)」への同調者が残るシリアのスンニ派アラブ人地域でも戦わなければならなくなる公算が大きい。

 トルコの元駐モスル総領事で、2014年にISの人質になった無党派の国会議員、オズトゥルク・ユルマズ氏は、「米国が全面撤退し、トルコが全ての地域を引き継ぐよう要請されたら負担が大きすぎるだろう。米国でさえ、全てを自分たちで管理することができなかった。トルコ軍を支援する地元勢力が必要になるだろうし、他の国がトルコを援助することも必要となるだろう」と話す。

 

 実際、トルコは米国が明け渡す地域の一部のみを引き受け、ラッカやそれ以南の場所など、最も厄介な地域はそのままにすることで、ロシアおよびシリア政府と合意せざるを得ないかもしれない。エルドアン氏は25日、近いうちにロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会い、トランプ氏の決断によって生じる結果への対処について話し合う予定だと述べた。

 イスタンブールにあるアルトゥンバシュ大学のアフメット・カシム・ハン教授は、「それは明らかにトルコ側が望んでいたことを超えている」と指摘。そのうえで「だが、どこまで深入りし、どの程度の期間を費やすのかは、依然としてトルコの権限だ」と付け加えた。

 一方でトランプ氏は、エルドアン氏がシリアでISの「いかなる残党も排除する」ことを約束したとツイートした。これは、イランないしロシアではなく、トルコがISの残党を排除する責任を負うというトランプ氏の期待を示す。

 
シリア東部を支配するクルド人組織「人民防衛隊(YPG)」
シリア東部を支配するクルド人組織「人民防衛隊(YPG)」 PHOTO: DELIL SOULEIMAN/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES

 明らかになりつつある米国の中東政策の再編を阻みかねない潜在的な落とし穴はたくさんある。最大の未知数は、現在シリア東部を支配するクルド人組織「人民防衛隊(YPG)」が、向こう数週間でどう出てくるかだ。彼らはトルコ軍以外の誰かが米軍に取って代わることを望んでいる。

 トルコはクルド労働者党(PKK)の関連組織であるYPGを自らの存在に関わる敵だとみている。PKKはトルコ東部で数十年にわたり分離独立戦争を仕掛けており、トルコ政府からも米政府からもテロ組織に指定されている。エルドアン氏はここ数日、クルド人支配地域に沿ったシリアとの国境付近に送り込む軍部隊と戦車の数を増やしている。

 トルコのクルド系政党・国民民主主義党(HDP)の名誉党首エルトゥールル・カーキュ氏は、米軍撤退が直ちにシリア国内のクルド人地域にトルコが侵攻する道を開くことにはならないと指摘。「ユーフラテス川東部において得たした政治的、社会的成果の維持」を目指しているクルド人勢力にとって、ロシアやイラン、およびシリア政権が「彼らとシリアの将来に関して交渉する上で新たな対話者となった」と語る。

 シリア駐留米軍は2014年以来、ISに対する共通の戦いでクルド系兵士との絆を強めており、YPGを同盟組織、戦友と見なすようになった。このことがトランプ大統領のシリア撤退決定に際し、ジム・マティス国防長官、IS掃討戦で有志連合の調整を担ってきたブレット・マクガーク大統領特使が辞任した理由の一つだった。

 今回の方針転換の裏側にあるのは、米国とトルコの劇的な関係改善だ。

 

 トルコの元外交官でイスタンブールのシンクタンクEDAMのシナン・ユルゲン氏は、「米軍撤退は、米国によるYPG支援という2国間関係で最も深刻な対立要因を排除することになる」と指摘。「このことが関係を著しく改善させ、トルコ国内に広がっている反米感情は沈静化する」との見通しを示した。

 恐らく別の予期せぬ結果としては、トルコの進めていたロシアやイランとの関係改善の動きが米軍撤退によって大きく後退する可能性がある。ロシアやイランへのトルコの接近は、バラク・オバマ前政権時代から最近のトランプ大統領に至るまで米国がトルコに行ってきた冷遇に対するトルコ政府の対抗措置だった。

 エルドアン政権での外相経験を持つヤシャル・ヤキス氏は、「トルコとイランやロシアの協力は便宜上のものだ。シリアに関する彼らの利害関係は時折しか一致しない」と語った。


エルドアン一族は犯罪一族だからまともに考えていてはいけない。米国がイランを封じ込めるその裏ではしっかり一族は取引している。許容されたファミリービジネス(犯罪)の範囲を超えない限り、イランとの関係は黙認されるだろう。根本的にはヒズボッラーやフーシーに力を与えない経済封鎖が必要なのであって、そこがイスラエルが飲める唯一のトルコ容認の枠組みと言える。これによって、この時点でイスラエルがシリア回廊を欲張らなければ中東戦争は解決したといってもいい。故にトルコに好きなだけシリアイラク領内のクルド人軍を相当させて、隙間を埋めさせるようにして米軍(地上軍)は撤退する。トランプ大統領の目的は非OPEC産油国トルコを誕生させコントロールし原油価格を下げさせることにある。トルコはイランに寄生しながらイランキラーになる。

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