松野博一官房長官は10日、「死刑(執行)のはんこを押す地味な役職」などの失言があった葉梨康弘法相と首相官邸で会い、厳重に注意した。葉梨氏は面会後、記者団に「(松野氏に)法務省の職務を軽んじるような印象を与えたとすれば、率直におわびを申し上げると伝えた」と述べた。松野氏は「軽率な言動はないように」と注意したという。葉梨氏は「言動には慎重を期し、職責をまっとうしたい」と辞任を否定した。発言については「一部を切り取られた」として撤回する考えがないことを示した。
葉梨氏は9日夜、東京都内で開かれた自民党衆院議員のパーティーであいさつした際、法相の職務について「朝、死刑のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職」と発言。「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題に抱きつかれてしまい、問題解決に取り組まないといけない。私の顔もいくらかテレビに出るようになった」とも語った。
法務行政トップで、死刑執行命令の権限を持つ立場としての今回の発言に、批判が強まっていた。
葉梨法相はこう言っていた
◇葉梨氏が紙を読み上げる
法相を務めている衆院議員の葉梨康弘です。私の宏池会(岸田派)の同志でもある武井さんの「みらいを創る会」ですか、ぜひ激励の言葉をということで喜んで参上させていただきました。
法相になり3カ月になりますが、だいたい法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職なんですが、今回はなぜか旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題に抱きつかれてしまいました。ただ抱きつかれたというよりは、一生懸命その問題解決に取り組まないといけないということで、私の顔もいくらかテレビに出るようになったということでございます。
武井さんの話だが、先ほど来、いろいろな方から話があるが、コロナ禍になる前は、宏池会の中でもいろいろ飲み会とかやっていました。非常に明るい、お酒を飲む声もでかいが、歌う声もでかい。「日野の2トン」とかたくさん歌って、非常に明るいという印象があります。もう一つは地元に対する情熱と、国政を何とかしていかなければいけないという危機感があります。多分、外務政務官、副外相も希望してなったと思うが、法務省と外務省は似たようなところがあります。
三つくらい申し上げたい。一つは、今回のロシアとウクライナの関係で外務省が前面に出て、いろいろな仕事をしていただいています。その下支えのような形だけれども、ウクライナの難民を受け入れているのが法務省。ロシアの戦争犯罪について国際的な連携を図るのも法務省です。11月28日、29日には法相の会合としては初めてG7(主要7カ国)の法相会合がベルリンで開かれる。一つは、ロシアのウクライナ問題への対応ということでも共通点があります。もう一つは、国の根幹をなすという意味では、非常に大事なことだと思います。外交、それから法務省は憲法を具現化する、理念を具現化する、そういう行政です。ちょっと難しくなりますが、そんなことをやっている。国の屋台骨を支えるという意味では、外務省と法務省は似たようなところがあって、それをしっかり希望されて、副外相になられたことは、やっぱり国士だなと大いに感じるわけです。
三つ目の共通点ですが、外務省と法務省、票とお金に縁がない。副外相になっても全然お金がもうからない。法相になってもお金は集まらない、なかなか票も入らない。となってまいりますと、しっかりと良い仕事を武井さんにしてもらうためには、今日お集まりの方々が、物心両面で支えていただかないと、私も支えていただきたいというのが本音ですが、なかなか日本の国を良くすることはできない。今日お集まりの方々、本当に皆さんがお支えだ。この武井俊輔というナイスガイをしっかりと支えていただくよう心からお願いを申し上げ、私からのあいさつとさせていただきます。本日は本当にありがとうございます。
葉梨法相が死刑執行に関する職務を軽視するかのような発言をした問題を巡り、政府・与党からは10日、葉梨氏の責任を問う厳しい声が相次いだ。葉梨氏は一時、発言の撤回を拒んだため、批判はさらに拡大した。野党各党は辞任や更迭を求めている。
■報道に不満
「職務を軽んじている印象を与える発言であるとの報道がある。おわび申し上げるとともに撤回する」
10日の参院法務委員会の冒頭、葉梨氏はこう陳謝し、前夜の発言を撤回した。
その約2時間前には、松野官房長官が首相官邸に葉梨氏を呼び、発言について厳重注意した。しかし、葉梨氏は記者団に撤回の意思を問われると、「今のところ、そういう考えはない。真意を説明していく」と話した。
その際、9日の発言をまとめた紙を読み上げ、「一部切り取られたことがあったとしても、誤った印象を与えるようなことは気をつけていかなければならない」と報道に不満をにじませた。「ちょっと(紙が)読めないんだよ」と、ICレコーダーを差し出した記者の手を払いのける場面もあった。
葉梨氏が参院法務委での撤回に応じたのは、事態を重くみた自民党の茂木幹事長らが撤回を助言したためだ。もっとも、葉梨氏は問題となった発言のうち、「法務省は票とお金に縁がない」とした部分の撤回は拒んだ。葉梨氏は参院法務委で、「政治資金を集めづらい」という趣旨だと説明。「(法務省以外で)企業とのお付き合いがある役所は、たくさんある」とも記者団に語った。
■岸田派所属
葉梨氏は、岸田首相が率いる岸田派に所属している。自民の遠藤総務会長は10日のグループ会合で、「みんなで岸田政権を支えようという時に、肝心の宏池会(岸田派)で発言があったのは不愉快だ」と憤った。
死刑に関する発言を巡っては、公明党の斉藤国土交通相は参院国交委員会で、「命の重さと法の厳正さの象徴である法相として覚悟に欠ける」と突き放した。
自民の閣僚経験者は「反省の色が見えず、開き直りともいえる態度を取っており、政権への打撃は計り知れない」と苦言を呈した。
葉梨氏は法相として、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)問題の被害者救済を担当している。政府・与党は、高額寄付の被害防止や被害者救済などを図る新たな法案を今国会に提出するため、与野党協議を進めているが、影響を懸念する声も出ている。
立憲民主党の安住淳国会対策委員長は10日の党会合で、「法相を続けるのは無理だ。(11日からの)外遊前に首相は決断すべきだ」と指摘した。国民民主党の榛葉幹事長も「反省だけで済むのか」と記者団に語り、辞任を促した。
■総務相・復興相は「カネ」
岸田内閣の閣僚を巡っては、「政治とカネ」の問題も相次いでいる。
寺田総務相は、自身の後援会の政治資金収支報告書を巡り、異なる店舗で発行された「寺田稔」宛ての領収書11枚の筆跡が酷似しており、偽造したとの疑いが出ている。別の後援会でも、寺田氏からの借入金600万円の返済を収支報告書に記載していないことが判明するなど、報告書の訂正や、釈明に追われている。
秋葉復興相も、自身の政治団体が親族に支払っていた地元事務所の賃料について、確定申告が行われていなかったことが明らかになった。
地元の選挙区だが、失言ととらえられるのは残念です。死刑業務報告に絡めてマスコミの扱いを揶揄しただけです。揶揄する(対象をからかって面白おかしく扱うこと、皮肉めいた批判によって嘲笑的に扱うこと)ことさえも許さない社会では失言となるらしい。死刑を嘲笑したのでもなければ、業務を蔑んでいるわけでもない。どちらかといえば統一教会一色の業務背景をマスコミのおかげと揶揄したのですが、それが官房長官にも注意される触れてはいけない組み合わせだったのでしょう。マスコミ様に気をつかえとの仰せです。
受け。集金。に悩みすぎたのかな。
田中が、「総務会長」と言うときは、これは、いまひとつ実力者としては物足りない、まだ入閣は無理だ、という意味であった。 「政調会長」と言うときは、有力閣僚、つまり、大蔵大臣、通産大臣ができる器という意味であった。「政調会長」は、政権与党の政策、予算を把握しているわけだから偉い、という論法である。 田中が、宰相になるには大蔵と「合わせて一本」と考える党三役は、幹事長でなければならない。他の二役では、首相には器量不足という認識があった。(幹事長秘録 田中角榮が最も幸せだった幹事長時代 より)