理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発現象観測技術研究チームの原田研上級研究員、大阪府立大学大学院工学研究科の森茂生教授、名城大学理工学部児玉哲司教授らの共同研究グループは、株式会社日立製作所研究開発グループと共同で、最先端の実験技術と新しく開発したV字型二重スリット[1]を用いて、「波動/粒子の二重性[2]」に関する実験を行い、電子の経路情報と干渉[3]の発現の関係を明らかにしました。
実験はホログラフィー電子顕微鏡を用いて、電子を一つずつ検出できるくらいに電子の数を少なくした低密度照射条件(0.015電子/画素/秒)で実験を行いました。その結果、下部電子線バイプリズムへの印加電圧が大きくなるに従い、V字型二重スリットの像が下側から重なり始め、中央部で重なり、スリット上部で重なった後、二つのスリット像が入れ替わりました(図4)。両スリットの像が重なった領域でのみ干渉縞が観察され、その前後の領域では干渉縞は観察されず、一様な電子分布となりました。