公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

価値創造を決定するインターフェース

2011-03-09 19:34:00 | ドラッカー
 事業の成長を考える時につい売り上げの事を考えると思う。しかし売上の躍動力の本質<顧客層が顧客層を殖やしてゆく動的構造>から考えると、意外な創作が見えてくる。商品の躍動に必要な属性は、顧客層間のコミュニケーション性が一番上位にくる。品質はコミュニケーションによって運ばれる。

 万国共通のコミュニケーションは、音楽と数字。顧客層の創造に寄与するコミュニケーションは、いづれもモビィリティが伴う。音楽と数字は持ち歩く事が出来る。どちらも伴わない曖昧な物は映像。ただ、映像を個人が創り、持ち歩く事が出来る時代になって来て世の中が変わって来た。

 <モビィリティのあるコミュニケーション>は、商品の属性を運ぶ時に強力な営業ツールになる。伝統的に通常は人間が行う。人間が行うリアルインタフェース(セールストーク)とネット上のインタフェースが混在している現実の中、どのインタフェースを顧客が選択するかこれが価値創造を決定する。
 価値創造は、同時に、売りて側と買い手側の間の価格の創造であるが、それを決定するのは商品自身ではなく、インタフェースである。商品自身に価格の手掛かりが無い新規な商品にはコミュニケーションを決定するインタフェースが何であるか観察しなければならない。いつどこで誰がどのような顧客に、どんな必要があって何故伝達するのか。これをマーケティングでは、『リアルタイム・オファリング』というらしいが、要は営業である。多くは失敗作に近いが最近はこれをITC自動化するサービスもある。

価値創造を伴うインタフェース創造がイノベーションである。日本人の不得意なところは、モノのレヴェルの価値を価値を伝達する顧客層のインタフェース創造のレヴェルに結びつけることにある。日本人の業績で唯一記憶に残る成功はウォークマンの発明と普及だろう。
 iPodやアイフォーンの白いイアフォーンコードではその効果がよく研究され、目立つだけではなく、モビィリティのあるコミュニケーション発信として製品デザインに活かされている。

FaceBookのマーク・ザッカーバーグではないが、全ての産業とりわけサービスがソーシャル的切り口をもつようになる。それは間違いなくやってくる。なぜならば、モビィリティのあるコミュニケーションは、営業セールスそのものであるし、コミュニケーションを決定するものが信用と呼ばれてきたインターフェースだから。

「純粋のメーカーではやっていけないということだ。流通力をもつナレッジ・カンパニー(知識を基盤とする会社)にならなければならない。製造の力では、製品を差別化しきれない。」
  ドラッカー「爆発するインターネットの世界」より


 まえからここの<流通力をもつナレッジ・カンパニー>という日本語がどうもしっくりこない。
 価値創造を伴う<顧客層間インタフェースを持つ会社>というふうに実体的論で表現した方がよろしいのではと思う。ここに知的創造のチャンスが転がっている。

 従って消滅しゆくインタフェース、機能しないインタフェースに乗っかっていては、ベンチャーがいくら良いものを創り出しても価値創造は生じない。キャズムとは、モビィリティのあるコミュニケーションによって乗り越えなければならないが、キャズムの乗り越えは、インタフェースとして機能する知識創造を通じた信用創造なしには実現しない。巷間言われる暗黙知の共有などで飛躍できるものではない。

塩野七生bot (@ShionoNanamibot)
11/03/05 2:16
真の保守主義者とは、新しい物に反対なのではなく、「新しいものに対する無条件の支持」という「無知」に加担したくないだけなのだ。(「サイレント・マイノリティ」)http://goo.gl/MoriN
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分へのご褒美度 | トップ | 生のパンダは見た事無い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。