トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

蜜蜂と遠雷

2017-10-17 09:54:03 | 
恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読みました。芳ヶ江国際ピアノコンクールに出場した数多くの若きコンテスタント達の人間模様が描かれる。なかでも、かつて天才少女として名高くCDデビューもしていた永伝亜夜は、13歳のとき、彼女を音楽に導いた母親が亡くなり、その直後のコンサートを突然キャンセルした過去があり、表舞台から消えていた。20歳の現在、音大の学長であり、恩師でもある浜崎教授とその娘、奏の後押しにより、久しぶりにこの国際コンク-ルに出場することになっていた。音楽で生きて行けるのか自身に問いかけても答えがでないまま、コンサートに臨んだ亜夜は、子供の頃に出会ったマサルとコンサートで再会し、また名高い音楽家、ホフマンが送り込んできた16歳の天才ピアニスト、風間塵という少年のピアノに触発され、刺激を受け、徐々に自分の音楽に再び目覚める過程が丁寧に描かれている。亡き恩師、ホフマンとの約束、「音楽を外に連れ出す」ということを、風間塵は、亜夜となら実現できると思うのだった。クラシック音楽の本質、音楽とはどういうものかについても語られている珍しい作品だと思いました。1次、2次、3次の予選を勝ち残り、本戦に出場できたのは、はたして誰か。読んでのお楽しみです。本作は2017年1月の第156回直木賞受賞作です。2日で読み切りました。予約者が多い本ですので、今日、図書館に返します。
コメント (2)
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