姫野カオルコさんの「昭和の犬」を読みました。私にとって初めての作家さんでしたが、昭和人間の私なので、題名にひかれて図書館で借りた本です。主人公の柏木イクは、長年シベリアで抑留されて帰国した父、鼎と母優子の一人娘として滋賀県に住む小学生だった。物語が小学生の頃のエピソードから始まる。長い兵役を経て遅く結婚した両親は、イクの祖父母と思われることもあった。鼎は、時々ものすごい剣幕で怒鳴るというより、咆哮するという形容がふさわしいほど怒りを爆発させ、イクは父が突然怒り出すことを「割れる」と言っていたが、理由もわからず割れる父と、イクの容姿を平然とけなし、へらへら笑う変わった母、優子との三人暮らしの家庭がとても嫌だった。イクは親から褒められたことのない子供だった。しかし、近所の大河内医院の明るい家庭や、学校などに居場所を見出すのだった。そんな状況下にあっても、イクは控えめながらしっかりした中高生に育ち、大学は東京のクリスチャンのメソジスト派の大学に進学した。やっと両親から離れることができたのだった。そして、卒業後は東京で就職した。父、鼎は犬を好み、どんな猛犬でも、てなづける不思議な能力を持っていたが、イクも犬が大好きで、イヌに愛されるのだった。この物語には犬が頻繁に出てきました。イクが成人後、高齢の父が倒れて亡くなり、母もパーキンソン病になり、介護などで、東京と滋賀を月に何度も往復するイクだったが、滋賀に帰る気はなく、東京で一人暮らしを続けていた。この物語はイクが50歳代になるまで描かれるが、普通に考えたら恵まれてると言えない境遇なのに、イクの人柄の良さと、「足るを知る」を地で行くような暮らしぶりが、いいなぁと思え、読後、しみじみしました。2014年第150回直木賞受賞作。イクの成育歴は著者の実体験とかなり重なるようです。お勧めです。
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