トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

魚の棲む城

2020-03-20 22:30:29 | 
平岩弓枝さんの「魚の棲む城」を読みました。3月1日に牧之原市のいーらという会場で行われたコンサートは田沼意次の生誕300年記念コンサートだったので、会場で「魚の棲む城」の一部が朗読され、意次は後世伝えられたような賄賂政治を行った悪徳政治家では決してなく、相良藩主として名君だったとのこと。その時、興味を持ったことがきっかけで読みました。この小説は家重と家治の二人の将軍に仕え、両将軍の覚えめでたく、小禄の旗本から身を起こし、老中にまで上り詰めた意次が若年寄になった長男意知を殺された後、家治の死後、失脚して俸禄を召し上げられ、蟄居を命じられ、亡くなるまでを描いている。農民にだけ重税を強いるのではなく、幕府の財政再建のため商業を振興し、大商人からも税金を取ったり、印旛沼の干拓をしたり、蝦夷地での交易に目をつけて天領にすべく内偵させたり、蘭学を重んじ、蘭方医学を取り入れたり、将来を見据えた改革を推し進めようと努力したことがわかりました。稀に見る栄達を遂げた意次を妬み疎んじた御三家御三卿、とくに松平定信の私怨により失脚させられたということのようです。相良藩士の時築城を許された相良城は取り壊されましたが、意次が整備した田沼街道は今も残っています。私も良く通る道です。意次の恋模様などはフィクションと思いますが、歴女じゃなくても興味深く読めました。お薦めです。歴史は勝者の歴史で意図的に歪められたりするんでしょうね。
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