母がいなくなってから間もなく13年になろうとしている。
弟が病を得て以来、実家の始末も自分がいるうちにやらないと後が大変だと言って業者に頼んでいたが、一向に始まらないので、他の業者に頼んだ。
先の業者に話したのはコロナの流行以前のことだったのに、後回しにされて、他の業者に頼んでいいかと話をつけた。
今の業者に見積もりをもらうと、この方が金額も安かった上に仕事も早かった。早速着手してくれて、途中を見に行った。
表座敷の部分は、既に玄関から奥の部分を残し解体されていた。ナカエと呼ばれる通常使う居間部分は、まだ使うことがあるので残すようだ。
また、細かく打ち合わせがあるというので弟たちは話し合いに行った。
自分が育った家がなくなるのは寂しいが、このままにしていて、だんだん屋根が落ちたりするのを見るのはもっと辛い。
人がいなくなり、空き家になって数年たって屋根が落ち込みだんだん壊れていくのは、これまでも周辺で見ている。みっともないし他人事ながら、そんな放置された家は哀れを誘う。
弟は、己の生あるうちにと解体を決意したものだった。
解体の途中を見届けて、義妹と帰途についた。
回りに見える田んぼは色づいて刈り取りも始まっていた。
ではまた、そのうちお会いしましょう