オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

神野山

2022年01月20日 | 日記


 関西に越してきて最初の冬に訪れた奈良県山添村にある神野山へ再訪した.2018年の12月のことだったから,もう3年も前になる.3年前と違って,とにかく冷え込みが強く,寒くて仕方がない.天狗様のいる駐車場にオートバイを停めて,目指すは神野山の山頂だ.



 標高620メートルの神野山の麓には,奇岩や巨岩が川の流れのように堆積した鍋倉渓と言う場所がある.3年振りに見る鍋倉渓だけれど,巨石の大河は迫力満点だ.しかし,この不思議な光景の要因はよくわかっていないらしい.民話では,伊賀の天狗と神野山の天狗が喧嘩して,巨石を投げ合ったためだと言われている.



 天気はあいにくの曇り空で,時折,雲の合間から青空が見えるが,今にも雪が降ってきそうな寒い日だった.カメラを片手に神野山を登り始めて,しばらくしても一向に体は暖まってこない.バッグに付けてあるキーホルダーの温度計は4℃を示していた.



 山頂に向かって登り始めていくと,次第に巨岩の数は減っていくが,岩ひとつひとつの大きさは増していくように思われた.そして,麓の真っ黒だった巨石と違って,岩の表面はきれいなモスグリーンの苔で覆われていく.3年前の記憶がフラッシュバックして蘇ってくるようだった.



 本当になんでこのような巨岩が,川の流れのように山の斜面に堆積しているのか,不思議で仕方がない.この巨岩は深成岩から成ることがわかっているらしいが,神野山付近一帯は花崗岩ばかりだそうだ.そういうことから,天狗の喧嘩説もあれば,古代人が築いた構造物だという説もあるらしい.



 結局,3年前に訪れた時とおなじで,鍋倉渓の不思議に変わりはなかった.とはいえ,コロナ禍になって体を鍛え始めた効果もあって,辛かったはずの上りの山道は,あまり大したことのないように感じた.さあ,山頂まであと一息だ.



 最後の登り道を一気に駆け上がり,疲れることもなく,神野山山頂の展望台までたどり着くことができた.山頂は,風を遮るものが何ひとつなくて,嵐のような強風が吹き荒れていた.展望台に上ると,風の勢いは最高潮になって,風で体がもっていかれそうになり,カメラのピント合わせにさえ支障が出る始末だった.



 この神野山山頂の展望台からは,大和高原の風景を360度見渡すことができる.天気はいまいちだったけれど,真冬ならではの寒々とした大和大地の景観が広がっていた.

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