グローブ座を出ると初夏の青空が広がっていました。
ヴァレンティンとモリーナも澄んだ空気と眩しい光を味わう事が出来たのだろうか・・・と思うのでした。
ネタバレになるので続きに書きます。
今、マリオクラベルを聞きながら書いています。
グローブ座に入ると、スペイン語?で歌われている音楽が流れていました。
その選曲が素晴らしく、なんとも自然に「蜘蛛女のキス」の世界へ誘ってくれました。
「俺節」を見た二日後に「蜘蛛女のキス」
俺節も大事にしたいし、蜘蛛女のキスも真っ新な気持ちで臨みたい。
そう思って、借りていた映画のDVDを見て気持ちをリセットしていましたが、そんな事をしなくても良かったのかもしれません。
音楽だけでも世界観がジワっと伝わって来ましたが・・・
暗転してからが、すごかった!
暗転してから数分間、ずっと真っ暗なまま。その暗闇の中でモリーナが語るのです。
数分間の間でしょうか。
とうとうと話すモリーナ。
しばらくして大きな声を出してくるヴァレンティン。
獄中でモリーナが語る映画のお話が冒頭でありました。
真っ暗な劇場の座席が映画館のシートになったかのように、目の前に映画のワンシーンが浮んで来る様でした。
舞台のネタバレを避ける日々でしたが、蜘蛛女のキスに関しては映画だけは見ていました。
馴染みの無い世界の話なので、予習をしておこうと思ったからです。
映画と今回の舞台は演出が違ってくるだろうし、映画を見るのは問題無いと思ったからです。
個人的には映画を見て行って正解だったと感じました。
理解力の乏しいオツムですので、予備知識があって良かったと思えました。
大倉さんの生の声は実に心地好くグローブ座に響いていました。
とにかく声がいい!
いつもの低音とは違って、舞台の発声だったのでしょうか。
少し鼻声に聞こえたのは私だけでしょうか。
照明に照らされたのは牢獄の中。
ステージ上方に天窓の様に開けられた所に鉄格子がはめられていて、そこから灯りが落ちているのでステージ上には鉄格子の影が映り、囲われているようにみえるのです。
わーすごい!
冒頭の演出も驚いたし、この照明にも感動しました。
こんな風に見せるのかっ!とあっという間に舞台の虜でした。
あらすじは調べていただくとして、
セットの転換が無く、基本二人だけの時間が流れます。
二人の声のトーンや細かい表情や仕草に集中する事が出来ました。
モリーナの映画のお話はとても長いのですが、いっけいさんが本当にトランスジェンダーのモリーナに見えるので、優しいお姉さんの話をヴァレンティンと一緒に聞いているようでした。
モリーナの抱える現状を表現する繊細なお芝居は素晴らしかったです。
目線の送り方とか指先の使い方、足の指先までしっかり神経が行き届いていました。
ヴァレンティンは若き革命家。
勝手なイメージで革命家というのは、もう少し身体も神経も図太いのかな?と想像していました。
大倉さんのヴァレンティンは、その心中に抱く志と熱い情熱を、美しい外見で隠しているようでした。
とにかく美しい。ビジュアルが美しい。ヒゲが生えていても服が汚れていても、それでも隠せない美しさ。
荒廃した刑務所の牢獄の中で語られるモリーナの映画の話は、二人にとっても唯一の楽しみだったのかな。
前半のヴァレンティンの言葉と、後半の言葉や仕草には違いがあって、リーナとの心の距離が縮まったのが分かるようでした。
時々声を荒げて言い争う二人でしたが、その時の大倉さんは迫力があって二階席の私もビクビクしながら見ていました。
ヴァレンティンがモリーナに優しく接していると「モリーナ、良かったね」と心の中で呟きました。
心の距離が縮まった二人は、身も心も距離を縮める事になったのです。
あら、まあ( *´艸`)
物語りの流れで、このシーンがあったからこそ、モリーナが出所する際に二人の間で交わされた約束が意味のある、重い物であったと思わせてくれました。
最後のシーンはとても印象的でした。
お互いの今後を想像して話すという所。
モリーナのこれからを話すヴァレンティン。
話が進むにつれて、目が赤くなり涙が溜まってゆきます。
同士の今後を慮って涙するヴァレンティン。
ヴァレンティンのこれからを話すモリーナ。
少女の様に輝く瞳で笑顔で明るく、
革命家の未来を誇らしげに語っています。
このシーンは本当に素晴らしかったです。
会場からはすすり泣く声があちこちから聞こえていました。
難しいと思っていたお話でしたが、時折みせるモリーナのお茶目な言動や、やんちゃなヴァレンティンの姿に親近感も覚え、物語に引き込まれて、あっという間の時間でした。
私の席からは、大倉さんが横たわるベッドを足元から見る感じでした。
鼻が高い!
そして、普段はあまり見る事の無い「端の穴」をよーく見られました。
あはははははは。
無造作な感じの髪形がセクシーでした。
多くの時間を古めかしく見える「おパンツ一丁」で演技する大倉さん。
粗相をしてしまい、舞台上でお着換えするシーンもありました。
もちろん!衣装のおパンツの下にはアンダーウエアをお召しになっていたことでしょう。
ふふっ
ワキの毛が薄いと公言されていますが、スネちゃまも薄めですね。
太ももは白く、二の腕はむっちり( *´艸`)
役作りの為に減量したようで、上半身裸になると、ほっそーーーーーー!と言いたくなりました。
普段のキャラクターとのギャップが激しくかったな。
一度目のカーテンコールはクールな感じでした。二度目はにっこり笑顔で登場して、最後は二本指をコメカミの辺りで振っていました。
はー、かっこよかった。
カーテンコールの時って、拍手はいっぱいしたいし、表情も見たいしでいつもお忙しの私です。
とてもいい舞台でした。