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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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三属性変換は万能ではない

2016-10-06 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
三属性変換は便利な考え方ですが使い分けたい同音異義語のタイプによって期待できる変換に向き・不向きがあってその役割というか位置づけを今一度確認する必要があると思います。
例えば<加算・貸さん・可算>のような同音異義語ですと

加算…属性ロ(用言全般・サ変名詞)
貸さん…通常変換で対応(貸さん・見せん・飛べんなどの語は文法的派生であって意味属性を区別する三属性変換の受け持つ諸事ではない)
可算…属性ハ(第三の属性);「可」は可能を意味する接頭語

のように使い分けることができます。また同様に<子安・肥やす>のような例だと

子安…属性イ(地名・人名)いわゆる名詞
肥やす…属性ロ(用言全般)

のようになります。これらは割と意味概念の違うカテゴリ間での三属性の使い分けですのである意味典型的であり、三属性変換の意図するところでありうまく機能してくれるであろうという腹積もりがあります。
(もちろん長文や連文節変換のプロセスの通常変換ではある程度はおまかせで変換されるのが期待されるでしょうから個別的に三属性変換の出番となって使い分けが必要となる場面は少ないのかもしれませんが、短いセンテンスなどで役に立ったり誤変換修正過程で素早く候補を出すのに重宝することを狙いとしております)


これらの例とは対照的に<撮る・執る・捕る・取る・採る・摂る>や<聴く・聞く>などのような微妙にニュアンスの違う動詞の場合は三属性変換で使い分けるのは難しく、無理にこじつけて属性を分けようと思っていてもうまくいきません。
これは早い段階で断っておこうと思っていたのですが、三属性変換はかゆい所に手が届き微妙な同音異義語の使い分けがすらすらできる…などというような甘い期待を抱かせてしまった向きが少しあるかと思いますが、これは全くの誤解で単に意味属性の本質的に異なる語句の大ざっぱな使い分けで効力を発するものだというだけの話であり、面倒な難題がこれでスッキリ解決できるという類のものではないということです。

紛らわしいのは三属性の変換で<書く/欠く>や<決心/結審>のように単に属性ロ(用言全般)のときと属性ハ(第三の属性・通機的)のときのように一部特殊な場合において動詞やサ変名詞の使い分けを提案しつつ試みているケースがあることです。
これがボタンの掛け違いで曲解されて動詞の同音異義語の問題を解決できるものだという印象を与えているという図式が浮かび上がってきます。ですので誤解をされないよう注意深く紐解いてこちらの意図を理解してもらうため更なる説明していきたいと思います。

「通機的」なる判断基準をもって同音異義語を使い分けようとする試みは三属性変換のものの見方である「語句の意味概念情報を構文解析時だけでなく候補選択場面においても活かそう」という意味で地平を広げてくれますし、
動詞の属性を属性ロ(用言全般)だけに押し込めてしまうのをよしとせず、せっかくある「第三の属性」を利用して特徴的な意味を持つ動詞を別個汲み上げれば動詞全般の候補選択時においてもきめ細かいポテンシャルを発揮すると思います。
「通機的」の定義するところの詳細な輪郭はまだぼんやりとしていますが人間や生き物の通常範疇の動作や自然現象・物理現象の様態描写的な表現は属性ロの用言全般のくくりで分類し、通機的という特徴的な表現で定義される属性ハの語句は言語表現としてなじむかどうかはわかりませんがトポロジカルに違う、デジタルな構造・論理の変化をあらわす属性だということができます。(例えば「断つ」や「撒く」のように)
この感覚は前述の<聴く・聞く>の使い分けよりも意味・表記上の混乱が少ない(辛うじて)かと思いますし失敗するリスクも比較して少ないアプローチだと思います。何より抽象的ではありますが通底した分類感覚が存在しそうに思えるところが良いところだと思います。


長々と講釈を垂れて結論が遅くなってしまいましたが、三属性変換の真に意図するところは「典型的な三属性の分類ケースでは活用できるが、微妙なニュアンスの使い分けは用例変換に任せればよい」ということであまり前面に立たず用例変換のテリトリーには立ち入らないように機能するのが余計な干渉を起こさず良いのではないかと思っております。
<測る・量る・計る>などの違いは書く人の美意識だとか感覚差などによる個人個人の使いようがあると思うので、無理にユーザーに言語感覚を押し付けようというのは適当でないはずです。
用例変換の眼目はペンタクラスタキーボード特有のものではなく昨今の一般的なIMEでも培われている技術なのでまずは通常変換のプロセスでうまく機能すること目指していけばよいですし、三属性変換で仲立ちした意味情報も何らかの形で用例変換・AI変換に役立てればいいと思います。

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