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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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[でs]キー入力まわりのおさらい

2017-12-12 | 別口入力にまつわる諸問題

過去記事「です」「である」「でした」 別口入力するのか
においては、[でs]キーもまだなかった頃だったのでいろいろと迷走して丁寧の助動詞「です」の入力方針策定に難儀しておりましたが、
7月の基本コンセプトの改定で晴れて[でs]キーを設置することができたのでようやく筋道が見えてきたところです。
記事中にわずかにではありますが「です」(丁寧な断定)からの接続可能品詞について触れられているところもありましたがここで本記事では各活用からつながる言い回しや助詞への接続などを今一度再確認してみたいと思います。

<[でs]各活用形への派生とその入力キー>

                主な派生と入力キー
【未然形】でしょ        [でs]ょ・[でs]ょう
【連用形】でし         [でs]た
【終止形】です         [でs](終端)・[でs]ね・[でs]けれど
【連体形】(です)       [でs][の][で]・[でs][の][に]
【仮定形】○・・・無し
【命令形】○・・・無し

【否定形】ではありません    [で][は]ありません
【否定過去】でなかった     [で]なかった
【テ形】 でして        [でs][て]
【タリ形】でしたり       [でs]たり
【タラ形】でしたら       [でs]たら

※[]内は別口入力

列挙したそれぞれに補足説明を加えますと、
・「でしょう」には助動詞「う」がついて推量、想像、見識者の意見、労いなどをあらわしますが、その縮約系ともいえる「でしょ」になると確認、押しつけの機能をもつものに用法が限られていくといった現象がみられます。
「でしょ」となることによって実質終助詞のようにはたらき、文末に置かれて「か」を含む終助詞がつかないといった性質があります。(参考:「「だろう」 の意味と働き: 助動詞から終助詞まで」一橋大学・三枝令子 2003)
ここでの解説では便宜的に未然形からの派生としましたが厳密な文法定義では「でしょ」がどういう位置づけにあるのかは私の見識が至らず明確ではありません。
ただ別口入力の用として未然形「でしょ」の部分を派生原点と定め小文字の「ょ」の入力とセットで[でs]という不定語素からのつらなりとしてあらわしてみたというだけで、表記面での都合上によるものです。
「でしょう」に関して言えば「でしょうか」「でしょうね」等終助詞との連結はみられます。

・終止形「です」は終端以外にも終助詞「ね」「よ」がついたり、接続助詞「けれど」「けど」がついたりもします(表)
さらには[でs][か]・[でs][が]等の別口入力要素との接続もあり入力を受け次第「です」が確定されていきます。
重要な事ですが不定語素「でs」のデフォルト値はほぼ「です」と言ってよく、「でしょ」「でした」「でして」「でしたり」「でしたら」にならないパターンは(別口要素でなくべたのかな要素であったとしても)原則「です」として解釈されます。

・さらに終助詞「です」には引用の助詞「と」との接続もあります。引用ならば、どこから切り出そうと引用でくくれるので当然「です」からの接続もありますね。

・連体形「です」は、助詞「のに」「ので」などに連なる場合にだけ用いられる…と各種解説には書かれていましたが一部の形式名詞「こと」「もの」につく例もみられます。ただし文字通り体言として接続するというばかりでなく、「--ですこと」「--ですもの」のように半ば終助詞化したものもあるのでこの辺の境界は難しいところです。

・「でして」の使われる場面は「お互いに利益があるから条約なりなんなり結ぶわけでして」…のような文章などがあてはまるかと思いますが、
「マッサージ器強さ弱でして」のような文では叙述要素は「です」ではなく「して(ほしい)」なのであり、その連用修飾語は「弱で」があたるので「です」ではなく別口要素[で]の機能する文章です。誤解されやすいので注意が必要です。

・そもそも「です」には断定の助動詞「だ」の丁寧形「です」と形容動詞の活用語尾「だ」の敬体としての「です」両方に別口入力を使用していけますが、形容動詞の各活用の時だけ使われない表現があるので注意が必要です。
(例)
<形容動詞の連体形に接続するとき>
×静かです時
○静かな時。
↓敬体にするには
静かな時でしたら。

<形容動詞の連体形に接続>
×静かですので
○静かなので
↓「です」にしたいときは終止形接続の「から」に換える。
○静かですから。

※上記のように言い方を少し軌道修正したうえでの表現が正規のものですが、別口入力の性質上「静かです時」のように不自然な文章も理屈上は入力できてしまいます。この辺はユーザーに委ねられているのでIME変換から直接影響ある作用は考えられてはいません。

・最後に再度確認ですが、別口入力[でs]のあとに「た」で始まる語が続くと「でした○○」以下とつづくよう解釈される振る舞いが固定されており(「です多分」などができない)それを回避するために後置シフトをいったん解除をするための措置として、
「です多分」を[でs]→[○R]→たぶん …のように入力して、後続語句との間に[○R]をはさんで「です」の部分を確定させます。
・同様にまれではありますが「でし」(主に終端を想定)の部分を確定させるためには [でs][×r] …という操作で「でし」を確定させます。


以上で別口入力[でs]の入力に関しての定義事項・注意事項を説明してきましたがご理解いただけたでしょうか。
特に不定語素確定のために[○R][×r]キーが突如必要になるなど初めての方には多少戸惑われるルールかもしれません。
しかし[でs]に後続するべたのかな文字の入力の場合と明確に区別するために[でs]操作のあとには同じく別口入力の[]キーから接続キーを充てて機能的に別系統にしなければなりませんし、
各種別口入力キー[]の中から最も適しているキーとして[○R][×r]を選んだのも熟慮の結果ですので重ね重ねそこはご理解していただきところです。

…結構な難産でしたが、これで頻出入力ワード「です」まわりの入力利便性が整って理に適った設計になっていれば良いかと思います。

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