私の叔父さんは画家だった。一時期、家族と一緒にうちの実家のすぐそばで暮らしていた。4年前に亡くなったのだが、亡くなる少し前に会いに行ったとき、私が昔からずっと好きだと言っていた鳥の絵を、私にくれると約束してくれた。
そして、先日、叔父さんの奥さんが亡くなった。とても明るくて元気な人で、よくうちの実家に柿の葉寿司を送ってくれた。私と電話で長話をしたりもしていた。
お葬式にも行ったのにまだ実感がない。とても進行の早い病気で、病院に行ったときにはすでに手術もできない状態だったらしい。
いとこ(その叔母さんの息子)から電話があって、叔父さんの鳥の絵を送ってくれると言われたときは、正直言って驚いた。その時点では私はまだぜんぜん、叔母さんの病気のことがよくわかっていなかった。
電話でいとこに「もうそんなに長くないかもしれない」と言われたが、「???」という状態だった。電話でその本人の叔母さんとも話した。確かに声に力がなかったけれど、まさかそんなすぐに亡くなるなどと思いもしなかった。
叔母さんはホームに入所するということだったが、落ち着いたらまた連絡するからということだったので、のんきに連絡を待っていた。なんてバカなんだろう、私は。大切な叔父さんの絵を送ってくれるなんて、それはもうどういうことなのか、ちょっと考えればわかるじゃないか。
叔父さんも叔母さんもクリスチャンなので、お葬式は教会だった。小さな教会で、オルガンに合わせてみんなで賛美歌を歌う。牧師様が『球根の中には』というのは叔母さんの好きな賛美歌だと話してくださった。
叔父さんとの最後のお別れのときと同じように、叔母さんにも「私もそのうち行くから、スケッチをするのにいい場所を探しておいて」と頼んだ。行けるかな、私。うっかり地獄に行かないように気をつけねばな。
今頃、叔父さんは天国のきれいな丘の上にイーゼルを立てて、絵を描いているのだろう。そして、そのそばには叔母さんがいて「パパ、そこはもっとこういう感じ」とか言っているかもしれない。仲良しだったからな。きっとあちらの世界で、今はとても幸せなんだろうなと思う。
この絵は鷺なのだそうだ。ずっと昔から好きな鳥の絵だったのに、鷺だということは、今回初めて知った。でも、どんな画家のどんな絵よりも、私はこの絵が一番好きだ。昔からずーっと好きだった。
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