弟に書類を届けに行ったついでに、出石明治館で開かれている『絢爛 永楽館歌舞伎衣装展』を見に行った。
今住んでいる私の実家はそんなに遠くないのだが、連れ合いの車のナンバーは県外だ。なので、観光客のふりをして散策する。
連れ合いは「水色の建物だ」と言うのだが、Googleマップで見てもイマイチ場所がよくわからず、前にも停めたことがある駐車場に車を置いて歩いた。
「ここからだと、たくさん歩かなあかんのでは?」
「おんぶしてあげるから大丈夫」
「ホントだな?」
私をおんぶしたら、たぶん連れ合いは3歩で潰れる。
駐車場には、1台だけだが観光バスが停まっていた。もう夕方だったので、観光客はもう少し早い時間に、城崎温泉に移動したのかもしれない。
温泉かぁ。乳癌サバイバーの私には、もはや温泉の大浴場とか露天風呂は、ハードルが棒高跳び並みに高い。
明治館はそこそこ遠かった。これはおんぶかなと思っていたら、本当に連れ合いが言った通りの、きれいな水色の建物が見えた。
本物の観光客らしい女性が、明治館の女性職員さんと何か話をしておられたが、「また来ます」と言って帰っていかれた。
何でだかよくわからないが、イオンカードを持っていたので、入館料が割引きになった。
そんなに数は多くなかったが、歌舞伎衣装が展示されていた。写真撮影は禁止ということで、ここには載せられないけれど、藤原紀香さんのブログとかには写真が出ていたと思うので、ネット検索すれば見られると思う。
絢爛、というか重そうだった。もしかしたら、見た目より軽いのかもしれないが、触れないのでわからない。ポスターの写真にもあるように、竜や鶴などの他に、もちろん私の大好きな亀の模様の入った衣装もあった。
以前見た古い掛け軸に描かれていた亀には、兎みたいな大きな耳があってびっくりしたのだが、歌舞伎衣装の亀にも、やっぱり兎並みのサイズの耳が描かれていた。
せっかくの豪華絢爛な衣装だのに、私の頭の中は、亀のでかい耳のことでいっぱいになってしまった。
隣りの展示室を見ようとしたら、連れ合いが何か言っている。どうやら、展示室の中に蝶が入っているらしい。そんなこと言われても、今は折りたたみの捕虫網は持って来ていない(いつもぶら下げている鞄の中に入っている)。
展示室の中に入ってみたら、大きなカラスアゲハが窓のところにいた。翅がかなり傷んでいる。連れ合いにパンフレットとかを渡して、そーっと捕まえようとしたが、蝶はふわふわと逃げた。
元気な蝶だと捕虫網無しでは捕まえられないけれど、けっこう弱っていたので、何回目かにようやく捕獲に成功し、建物の外にお連れして放した。良かった。
この日の昼間、裏庭のクロガネモチの木の下で、蜘蛛の糸に絡まってぶら下がっているアマガエルを見つけたのだが、彼(彼女?)はもう死んでいた。そっと蜘蛛の糸を切ってそのまま草の上に置く。
朝、温室の窓を開けに行った時に、何かがぶら下がっているなと気づいてはいたのだが、てっきり葉っぱだと思い込んでいたのだ。
アマガエルには申し訳ないことをした。いや、蜘蛛にしてみたら迷惑な話かもしれないのだけれど。
でもまあ、カラスアゲハは外にお連れすることができたので、ちょっと気持ちが楽になったような気がした。