梶井基次郎だったかなあ。『櫻の樹の下には』という小説に、「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる」という文章が出てくる。って、そこしか知らないのだが、きょうは桃の木の下に屍体を埋めた。
(この後、画像注意)
いこいの杜のスタッフさんが窓の外を指差されたので見てみると。
なんてこと! 君は誰? もしかしてウグイス?
いこいの杜にはとても大きな窓がある。きっと、そのガラス窓にうつった空を本当の空だと思ったのだ。
気絶してるだけならいいのだけれど。外に出て触れてみるが、動かない。小鳥をそっとハンカチの上に乗せ、店の中に戻る。
ハンカチでふんわりと包んで、カフェオレを飲みながら様子をみる。やっぱり動く気配はない。
とてもきれい小鳥だ。うちに連れて帰って埋葬することにした。でも、万が一のことがあってはいけないので、 さらにしばらく様子をみる。
ウグイスかなと思うのだけれど、実家には梅の木はない。桃の木だけど我慢してね。
桃の木の下にけっこう深い穴を掘り、穴の底に桃の花を敷き詰めて、ハンカチにくるんだまま小鳥を穴に入れて、また桃の花を上からまき散らした。
そっと土をかけて、手を合わす。かわいそうに。急に死んでしまって、きっとびっくりしたよね。でも、もう大丈夫。天国の空を思いきり飛び回るんだよ。
あ、私も樹木葬にしてもらうことになってるから、この小鳥みたいに木の下に(遺灰を、だけど)埋めてもらうんだよなあ。
屍体は、桃の木の下にも埋まっている。
きっと今頃はあちらの世界で元気に飛び回っていると思います。
ただ、この小鳥さんにはご家族がおられなかったのかどうかが気がかりです。連絡の手段もないですけど。