沖縄・読谷村の残波岬の沖合2キロにある岩場に
潮干狩りをしていた13名が取り残されたとのTVニュースを見て
同じような事が昔あったのを思い出したので…綴ってみたいと思う
「釣り場にて」で紹介したように
昔、我が家の趣味の一つに「釣り」があった
北海道の数ある釣り場ポイントの中に「藻岩岬」という所がある。
岩礁の多い危険な釣り場ではあるが
ホッケ、アブラコ、クロゾイなどの大物と出会える
良い漁場でもあるのだ。
今は昔と違い色々と整備され、釣りもし易くなったと聞きおよんでいる
何時もの様に前日の夜中に我が家を出発し
明け方現地に到着した後に車の中で家族で仮眠を取る
この日は干潮時に歩いてポイントの岩場まで行く為に
前もって連絡しておいた漁師さんより干潮時刻と満潮時刻を聞き
朝も早くからトクナガ(胴の所まである長靴)を履いて
父・私・弟の三人は海をジャボジャボと渡って行った
継母は少し離れた所にある温泉宿で待機
(多分…現在の私であれば迷わず温泉を選んでいたであろう~笑)
トクナガを履いて海に入ると
水圧でブカブカしていた長靴が足に吸い付いてくる
当時小学5年生だった私のサイズにピッタリのトクナガなど無いので
大人用のトクナガを胸の所で縛り、手には竿を持ち
首からはクーラーボックスをぶら下げるという
何とも危なっかしい海渡りを強行していた(笑)
では5歳の弟は…と言うと、父の背中に背負われて
首には水筒、背中には弁当入りのリュックを背負っていた(笑)
そして父は…弟を背負いながら片手で竿を2本持ち
釣り用品の入ったバッグを斜めがけし
首から貴重品をぶら下げてサイズもピッタリのトクナガを履き
ジャブジャブと海を蹴散らす様に先頭を歩いていたのだ~
子供心に先を行く父の逞しい後ろ姿に感動を覚えたのもである
当時の私には1km程の行程だったように感じていたが…
今、目測で考えると…200m程度だったように思われる
(不確かな情報で申し訳ない)
到着した岩場は「トド岩」と呼ばれ遠くから見ると
トドが立ち上がったような形をしている
大きな岩場で、我が家族の様に歩いて渡って来た釣り人が沢山いた
実はこの日の釣果は悪かった
海は凪、風も無く、天候はピーカン
こういう日は魚も上昇した水温を嫌って海の底へ潜ってしまう
釣り師にとって…釣れないことほど暇なことはない
暖かくポカポカした日差しに我が家族は睡魔に襲われ…
爆睡してしまったのだ~!!!
ふと…肌寒さで目が覚めた満天は驚いた!
ナント!すぐ足元まで水が迫っていたのである~!
あわてて父と弟を起こし
周りを見ると…岩場に人影は居ない…←孤独な満天
小さな子供を連れていたので周りに迷惑がかからないよう
岩場のハジのくぼ地に身を潜めるように釣りをしていた我が家族は
他の釣り人からも見えなかったらしい…←途方に暮れる家族
真っ先に気を取り直した父は
私に指図を与えながら荷物をまとめ
満天の肩を両手でムンズと掴み、目をシッカリと見据えながら言ったのだ~
「オレはお前を守れない!お前が溺れても助けない!
お前を助けると3人共、命を失う危険性があるからだ!
いいか、自分の身は自分で守れ!
死にたくなかったら、ゆっくり歩け~!」
11歳の少女が始めて出合った人生の厳しさと、生きることの大変さであった~
日は沈みかけていた
来る時は腰より下であった水位が、今は胸のあたりまで来ている
空のクーラーボックスを浮き輪代わりに前に持ち
ゆっくりと、ひたすらゆっくりと父の背中を追った
足、腰、胸のあたりまで水圧でトクナガが体を締め付ける
遠くに人寂しい漁村の道路を照らす街路灯の灯りが見える
あそこまで、私はたどり着けるのであろうか~?っと思った時に
父が立ち止まり振り返った
「面白いな~アハハハハハハ」
そう言って、また前を向き歩いて行った…
後で考えてみれば…完全な満潮時なら…私は歩けなかった…
ソコソコ水位は上がっていたものの…
足が付くのだから…そうそう溺れるハズも無く…
釣果が悪かったのでボーっと過ごしてしまった休日に
最後に緊張感をあおって楽しんだだけでは…なかろうか~?
おかげさまで…あれから40年近い月日が経過しているが…
今でも一つ一つの光景が鮮明に脳裏に焼きついている
恐怖と共に~
潮干狩りをしていた13名が取り残されたとのTVニュースを見て
同じような事が昔あったのを思い出したので…綴ってみたいと思う
「釣り場にて」で紹介したように
昔、我が家の趣味の一つに「釣り」があった
北海道の数ある釣り場ポイントの中に「藻岩岬」という所がある。
岩礁の多い危険な釣り場ではあるが
ホッケ、アブラコ、クロゾイなどの大物と出会える
良い漁場でもあるのだ。
今は昔と違い色々と整備され、釣りもし易くなったと聞きおよんでいる
何時もの様に前日の夜中に我が家を出発し
明け方現地に到着した後に車の中で家族で仮眠を取る
この日は干潮時に歩いてポイントの岩場まで行く為に
前もって連絡しておいた漁師さんより干潮時刻と満潮時刻を聞き
朝も早くからトクナガ(胴の所まである長靴)を履いて
父・私・弟の三人は海をジャボジャボと渡って行った
継母は少し離れた所にある温泉宿で待機
(多分…現在の私であれば迷わず温泉を選んでいたであろう~笑)
トクナガを履いて海に入ると
水圧でブカブカしていた長靴が足に吸い付いてくる
当時小学5年生だった私のサイズにピッタリのトクナガなど無いので
大人用のトクナガを胸の所で縛り、手には竿を持ち
首からはクーラーボックスをぶら下げるという
何とも危なっかしい海渡りを強行していた(笑)
では5歳の弟は…と言うと、父の背中に背負われて
首には水筒、背中には弁当入りのリュックを背負っていた(笑)
そして父は…弟を背負いながら片手で竿を2本持ち
釣り用品の入ったバッグを斜めがけし
首から貴重品をぶら下げてサイズもピッタリのトクナガを履き
ジャブジャブと海を蹴散らす様に先頭を歩いていたのだ~
子供心に先を行く父の逞しい後ろ姿に感動を覚えたのもである
当時の私には1km程の行程だったように感じていたが…
今、目測で考えると…200m程度だったように思われる
(不確かな情報で申し訳ない)
到着した岩場は「トド岩」と呼ばれ遠くから見ると
トドが立ち上がったような形をしている
大きな岩場で、我が家族の様に歩いて渡って来た釣り人が沢山いた
実はこの日の釣果は悪かった
海は凪、風も無く、天候はピーカン
こういう日は魚も上昇した水温を嫌って海の底へ潜ってしまう
釣り師にとって…釣れないことほど暇なことはない
暖かくポカポカした日差しに我が家族は睡魔に襲われ…
爆睡してしまったのだ~!!!
ふと…肌寒さで目が覚めた満天は驚いた!
ナント!すぐ足元まで水が迫っていたのである~!
あわてて父と弟を起こし
周りを見ると…岩場に人影は居ない…←孤独な満天
小さな子供を連れていたので周りに迷惑がかからないよう
岩場のハジのくぼ地に身を潜めるように釣りをしていた我が家族は
他の釣り人からも見えなかったらしい…←途方に暮れる家族
真っ先に気を取り直した父は
私に指図を与えながら荷物をまとめ
満天の肩を両手でムンズと掴み、目をシッカリと見据えながら言ったのだ~
「オレはお前を守れない!お前が溺れても助けない!
お前を助けると3人共、命を失う危険性があるからだ!
いいか、自分の身は自分で守れ!
死にたくなかったら、ゆっくり歩け~!」
11歳の少女が始めて出合った人生の厳しさと、生きることの大変さであった~
日は沈みかけていた
来る時は腰より下であった水位が、今は胸のあたりまで来ている
空のクーラーボックスを浮き輪代わりに前に持ち
ゆっくりと、ひたすらゆっくりと父の背中を追った
足、腰、胸のあたりまで水圧でトクナガが体を締め付ける
遠くに人寂しい漁村の道路を照らす街路灯の灯りが見える
あそこまで、私はたどり着けるのであろうか~?っと思った時に
父が立ち止まり振り返った
「面白いな~アハハハハハハ」
そう言って、また前を向き歩いて行った…
後で考えてみれば…完全な満潮時なら…私は歩けなかった…
ソコソコ水位は上がっていたものの…
足が付くのだから…そうそう溺れるハズも無く…
釣果が悪かったのでボーっと過ごしてしまった休日に
最後に緊張感をあおって楽しんだだけでは…なかろうか~?
おかげさまで…あれから40年近い月日が経過しているが…
今でも一つ一つの光景が鮮明に脳裏に焼きついている
恐怖と共に~