時は田沼意次の賄賂時代から松平定信に政権が移り
四角四面でキッチリした松平さんの政治よりも
「田沼のドロ沼が懐かしいの~」ってなアノ時代である
「赤鬼奉行」の主人公は根岸肥前守鎮衛(ねぎしひぜんのかみしずもり)
実在の人物である
彼は下級御家人の安生家の三男として生まれた
長男・次男は大事にされるが三男なんぞは何処の家庭でも行き場がない
そんな時代であった
そんな折、たまたま同じく下級御家人の根岸家当主が
30代の若さで子もなく病に倒れたので
主人公である鎮衛は根岸家の御家人株を購入し
根岸家の当主となったのである
江戸も末期となると御家人株すら売りに出ておったのだ
三男として生まれた気安さもあって
放蕩三昧の生活をしており
種々相場に手を出し儲けた金で御家人株を買ったらしい
豪胆・沈着で剣の腕も立ち数字にも強い
根岸家の当主となりスグに勘定所に入所する
元々才覚のあった人なのでトントンと出世し
佐渡奉行を経て勘定奉行の役職まで上り詰め
下級御家人が旗本に出世したのである
さらに引退年齢過ぎの62歳にして「南町奉行」に大抜擢される
ココからこの物語は始まるのである
テレビでお馴染みの南町奉行の役職ではあるが
あの有名な長谷川平蔵ですら希望したがなれなかった職である
しかも…大変な激務なので年寄りは体力的にも、もって3年が限度であった
それを根岸は62歳から80歳まで18年間も名奉行として名を馳せた
彼のアダナ「赤鬼」の言われは
若かりし頃、放蕩三昧な生活を送っておった時に
左上腕から肩にかけて「大耳な赤鬼」の刺青を入れたので
「赤鬼」もしくは「大耳」っと呼ばれて居たらしい
遠山の金さんの話も彼を参考に作られたと聞く
根岸肥前守鎮衛が現在でも有名なのは
名奉行っという偉業よりも
あの江戸時代の不思議な出来事を纏めた
「耳袋」の著者としての方がピンと来る方も多いと思う
「耳袋」は佐渡奉行になった頃から書き始め、六冊程ある
見たいっと言った者には閲覧自由で人気があったらしい
現在でもTV放映されたり
作家「宮部みゆき」などが作中取り上げたりしている(霊言お初シリーズ)
この「赤鬼奉行」っという小説の中では
「耳袋」とは別に「秘帖耳袋」という本も根岸は書いている
但しコチラは「耳袋」に書けない裏の真実が記されているので
誰にも閲覧させたことはない
この小説では「秘帖耳袋」に記載される話が中心となっている
「耳袋」に書かれている話は怪談めいた話が多いが
根岸は若い頃、放蕩三昧な生活を送っていたわりには
相場で儲けた金を貯め御家人株を購入するなど
現実重視の大地にしっかり根を張った人物であるからして
「怪談話の裏」を探るのが好きであった
「あやかし」を目くらましに利用し
その裏で真実行われている人間の所業を探り出すのである
広く世間から不思議な話を集めては
「んっ?これは・・・」っと思った話を調べてみる
ウワサの出所を探り
「あやかし」を見たと言う者から話を聞き
その裏にうごめくモノの正体を探るのである
とは言え全ての不思議な出来事の裏に人間の所業がある訳ではない
そういう出来事に出会うと根岸は大層喜ぶので
怪談話が好きな子供心を持った還暦過ぎのオジサンでもある
60を超えている根岸の手足となって動くのは
根岸家で剣の腕とノンビリした人柄をかって召抱えた坂巻弥三郎と
南町奉行所の同心を奉行直属に引っ張って来た栗田十左衛門の二人である
ここいら辺は水戸黄門の助さん格さんに似た動きをしている
長谷川平蔵の英断と遠山の金さんの人情とを持ち
大岡越前ばりの名裁きで水戸黄門の助さん格さんを手足に使い
江戸の町の難事件を解決していくお話なのである
時代劇好きにはたまらんの~(笑)
ボーっとした頭にもスラスラと入る
しかも印字が大きい! ココはポイントが高い(アハハハハハ)
前回の仙台への旅行にて
行き帰りの新幹線の中で3冊一気に読み終えた
旅や通勤のお供にはピッタリな本である~