満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

彼方から 作:ひかわきょうこ

2009-03-13 | 漫画紹介

私にしては…大変珍しく…
「ド・ストライクな少女漫画」の紹介である(笑)

むかし、むかし…1970年代の終わりころから、80年代にかけ
少女漫画は黄金期を迎えておった
その頃、現れた大御所たちに混じって、彼女は作品を発表していたのだが
記憶をたどれば…彼女は初期のころは、
私には近寄りがたいほどの「恋愛漫画」を描いていたと思う(笑)

その彼女が、90年代に入り
このようなSFファンタジーの世界を描いていたとは知らんかった
本人が病気をしたらしく、完結までに12年の歳月がかかってしまったそうだが
一気に読んでも12年の歳月を感じさせない勢いがあった

それに、可愛らしい絵柄とは対象的に
作者自身が病気で苦しんだ時代を乗り越えた強さを持った人なので
数々のセリフの中に、愛と勇気と力が秘められており
とても素晴らしい作品に仕上がっていた

「ひかわきょうこ:インタビュー」

女子高校生の「ノリコ」は、何時も自分を待っている「別の世界」があるような
そんな気がしてならなかった。
そんな気持ちを誰かに言っても、夢見がちな少女にありがちな「妄想癖」と
片付けられるのがオチであった

どころが…その妄想が、現実となって目の前に現れたのである

ある日の学校帰りに、ノリコは友人数人とともに爆弾事件に巻き込まれてしまう
ところが友人達は全員助かったのだが…
ノリコ一人が忽然と姿を消してしまったのである
女子高生として生活していたこの世界で、ノリコは行方不明者となってしまった

その頃ノリコは爆弾の衝撃で、日頃感じていた別の世界へと飛ばされていた

普通、物語で異世界へ飛ばされた話を書く場合
ま、作者の便宜上、言葉は何故か通じるように設定されている作品が多い
が、この作品。
あろうことか「言葉は通じない」という、ごくマトモな設定を行使している
よって異世界へ飛ばされてから「渡り戦士のイザーク」と出会い
数々の人々と会うごとに言葉・風習などを覚えながらの旅が続く

絵柄の可愛らしさから…
つい、クヨクヨとスグに泣く「女子(オナゴ)」を想像してしまうが
このノリコ君。体力はないのだが心は強い

この異世界には、古くからの言い伝えがあった
闇の権化「天上鬼」と、それを目覚めさせる「目覚め」がこの世に現れた時
世界は闇に包まれ、崩壊するであろう…っと。

外の世界から来た「ノリコ」が「目覚め」
この異世界で初めてノリコと出会った「イザーク」が「天上鬼」
果たして、本当に二人は出会ってはいけなかったのか?
闇とは外から襲ってくるものなのか?
本当の闇とは人の内側に芽生えるものではないのか?

古くからの言い伝えに縛られない人々の心が一致団結したとき
「目覚め」は目覚め、何かが生まれる

エエ~お話でやんした。うん。久々感動した(笑)


いつも、何かの役に立ちたくって生きているんだよ
今、自分たちが生きているこの世界のために
この世界に生きる色んなものに対して、自分を生かして何かの役に立ちたい
そして役立てるとわかったら…不思議だね。
生きる力が湧いて出てくるんだよ
ありがとうって受け入れることも、それもまた力になれることなんだよ


このセリフ。病気療養中に作者が感じた言葉なんだと思う。
だから、漫画の枠を超えて心に深く突き刺さった

病気療養中は、誰かの手を借りなければ生きられない
やりたい事も出来ないもどかしさ…
でも、こうして病気と闘っている自分の姿を通して
誰かが勇気をもらっているかもしれない
そう感じたら…「よし、ガンバロウ!」と生きる力が湧いてくる

沢山の人が助けてくれて、手伝ってくれている
申し訳ないっという気持ちを「ありがとう」という言葉で返したとき
「よし、元気になろう!」と力が湧いてくる

そんな心を主人公の「ノリコ」の行動一つ一つに感じる
本当に素敵な作品でした

この漫画も、ブログ友の「くまちゃん」にお借りしたのだ
ところで、くまちゃん。元気かの~~~(笑)

素敵な漫画を「ありがとう」

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