「新・御宿かわせみ」←以前のレビューはコチラ
平岩弓枝さん原作で、昭和48年から続いている。
江戸の情緒を見事に描いた作品に、ファンも多い、またファンの年代も幅広い。
タイトルに新と銘打つ作品から時代は明治へと移る。
江戸の頃のお話しで活躍した面々の子供らが、様々な事件を解決する。
「御宿かわせみ」の昔っからの主人公「神林東吾」は、現在行方不明中である。
明治に入る前に殆どの主要人物を、読者のあずかり知らぬ部分で殺してしまい、その子供達の活躍をツラ~と書いている「新・御宿かわせみ」であるが…どうせなら神林東吾も行方不明なぞと宙ぶらりんな状態ではなく、はっきりと死んだのなら死んだと明記して欲しいなっと思ってしまう(笑)
それとも、沈没した船から見事脱出し記憶を失い新たな家庭でも築いていて、ある日ひょっこりと現れるつもりなのだろうか?
それとも、沈没船唯一の生き残りが現れ、東吾の最後の雄姿を語り遺品でも持ってくるのであろうか? それとも…このままウヤムヤ状態で話は進み、そして…終わるのであろうか?
どちらに転ぶか解らぬヤジロベイのように、落ち着かない設定に読者も、登場人物たちも振り回されている感が拭えない。
さて、今回この「華族夫人の忘れ物」では、あまりにもアッサリと「神林麻太郎」の出生の秘密が暴露されてしまった(アハハハハ)
麻太郎は、東吾が酒に酔った勢いで出来てしまった子である。その後、妻の「るい」との間に娘の「千春」が生まれる。よって麻太郎と千春は異母兄弟である。
麻太郎の母親が亡くなってしまったので、彼を東吾の兄夫婦が引き取り嫡男とした。戸籍上は麻太郎と千春は従兄弟であるが、千春は自分と麻太郎には血の繋がりが無いと思い、淡いがそれでもハッキリと麻太郎へ恋心を抱いておった。
知らぬは「千春」ただ一人ってな状況であった。あまりにも切ない。
千春は取るものもとりあえず家を出るのだが…そこで事件に巻き込まれる。結局、兄の麻太郎、その友人の畝源太郎に助けられ大団円となる。
千春の心は晴れぬまま、お話しだけが終わってしまった。
これである。今までの「御宿かわせみ」で流れていた爽やかな風が凪いでいる。風が吹かないので思いだけが滞り、重苦しく溜まっているのだ。読んでいても気持ちが悪い(笑)
本当は、作者の平岩氏は何も書かずに「御宿かわせみ」を終わらせたかったのではないだろうか?
昔のお話しです。そりゃ登場人物の皆さんは既に鬼籍の人です。誰だって死んでしまうんです。それでもどうなったか知りたいと皆さんおっしゃる。だから書きました。
悩みの半分以上は解決なんぞしません。そりゃ、作家は本の世界では神様です。何でも出来ます。東吾を生き返らせることだって、何だって。でも、それをしちゃ、御宿かわせみじゃありません。皆さんだってそう思っているはず。違いますか?
そんな感覚をヒシヒシと感じてしまった。
読者に媚びない作家の本を読むと、正直疲れる。でも、それだからこそ、御宿かわせみだとも言えよう。なら…最後まで付き合おうか・・私も好きモノじゃの~(笑)
盗賊一味に襲われた麻生家は、当主の宗太郎と娘の花世だけが生き残った。先にも述べたがこの「新・御宿かわせみ」では、殆どの主要人物、特に壮年部が何かしらの形で亡くなっている。生き残りメンバーは「麻生宗太郎」と主人公だった神林東吾の兄「神林通之進」とその妻「神林香苗」そして東吾の妻「神林るい」である。
多分、平岩氏は練りに練ってこのメンバーを残したのであろう。そんな気がしてならない。
だからこの先きっと、なんらかの形で残されたメンバーが大きな波と対峙し、またその波に次世代の子供達が真っ向勝負を仕掛けるような、そんな雰囲気を感じてしまう。
大きな波とは、麻生家の一家惨殺事件ではなかろうか・・・。
この「花世の立春」では、その麻生家の「花世」が結婚した。
お相手は、麻生家の事件を追っていて賊に殺された南町奉行所同心「畝源三郎」の息子である「畝源太郎」であった。明治になったから結婚出来た二人である。そうでなければ身分が違い過ぎ、この恋は成就しなかったであろう。
元将軍家御典医であった天野家の長男として生まれ、その後旗本の麻生家に婿入りした医師「宗太郎」の娘「花世」は、世が世ならお姫様である。下級武士である同心の家に嫁入りなど出来る身分ではない。時代が変わったことと、花世自身が新しい物事を吸収する柔軟な心を持った娘だから叶った祝言だと言える。
現に、婿である源太郎、一生の不覚か…花世に逆プロポーズされてしまった(笑)
花世は、元々がお姫様育ちだった事と、英語の勉強、及び文明開化をスポンジのように吸収することに前向きで、当時の女性としては最先端を突っ走っていた。
そんな訳で、源太郎の嫁になるために必要な「掃除」「洗濯」「料理」の知識がまるでない。そんな花世の先走り行動を、御宿かわせみのお馴染みのメンバーが暖かく見守るのである。
でも…花世の言った立春までは、7日しか無かった。相変わらず突っ走る花世である(笑)
この話はテンポも良く、平岩氏ならではの筆さばきで読んでいても楽しかった。が…やっぱり花世の花嫁姿を亡くなってしまった色んな人に見て欲しかったし、もっと立派な祝言も挙げてやりたかったというような思いが華やかさにブレーキとなる。
手放しで何につけても楽しめない重さがあるな~。
一日も早く、麻生家の事件が解決し、東吾の消息も解るといいなと思う。それが解決しないと何時までも薄く霧が立ち込め、本当に息苦しい~~(笑)
※今回は携帯から読まれている方もいらっしゃるようなので…改行をあまり入れずに小説風に書いてみた。だが、これではPCからは読み辛いか…(笑)
あちらを立てればコチラが立たずだの(アハハハハハ)
そっか・・平岩氏もあちらを立てればコチラが立たずの状態なのかな~(私と平岩氏では余りにレベルが違うが、フとそう思った…笑)
ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)
平岩弓枝さん原作で、昭和48年から続いている。
江戸の情緒を見事に描いた作品に、ファンも多い、またファンの年代も幅広い。
タイトルに新と銘打つ作品から時代は明治へと移る。
江戸の頃のお話しで活躍した面々の子供らが、様々な事件を解決する。
「御宿かわせみ」の昔っからの主人公「神林東吾」は、現在行方不明中である。
明治に入る前に殆どの主要人物を、読者のあずかり知らぬ部分で殺してしまい、その子供達の活躍をツラ~と書いている「新・御宿かわせみ」であるが…どうせなら神林東吾も行方不明なぞと宙ぶらりんな状態ではなく、はっきりと死んだのなら死んだと明記して欲しいなっと思ってしまう(笑)
それとも、沈没した船から見事脱出し記憶を失い新たな家庭でも築いていて、ある日ひょっこりと現れるつもりなのだろうか?
それとも、沈没船唯一の生き残りが現れ、東吾の最後の雄姿を語り遺品でも持ってくるのであろうか? それとも…このままウヤムヤ状態で話は進み、そして…終わるのであろうか?
どちらに転ぶか解らぬヤジロベイのように、落ち着かない設定に読者も、登場人物たちも振り回されている感が拭えない。
さて、今回この「華族夫人の忘れ物」では、あまりにもアッサリと「神林麻太郎」の出生の秘密が暴露されてしまった(アハハハハ)
麻太郎は、東吾が酒に酔った勢いで出来てしまった子である。その後、妻の「るい」との間に娘の「千春」が生まれる。よって麻太郎と千春は異母兄弟である。
麻太郎の母親が亡くなってしまったので、彼を東吾の兄夫婦が引き取り嫡男とした。戸籍上は麻太郎と千春は従兄弟であるが、千春は自分と麻太郎には血の繋がりが無いと思い、淡いがそれでもハッキリと麻太郎へ恋心を抱いておった。
知らぬは「千春」ただ一人ってな状況であった。あまりにも切ない。
千春は取るものもとりあえず家を出るのだが…そこで事件に巻き込まれる。結局、兄の麻太郎、その友人の畝源太郎に助けられ大団円となる。
千春の心は晴れぬまま、お話しだけが終わってしまった。
これである。今までの「御宿かわせみ」で流れていた爽やかな風が凪いでいる。風が吹かないので思いだけが滞り、重苦しく溜まっているのだ。読んでいても気持ちが悪い(笑)
本当は、作者の平岩氏は何も書かずに「御宿かわせみ」を終わらせたかったのではないだろうか?
昔のお話しです。そりゃ登場人物の皆さんは既に鬼籍の人です。誰だって死んでしまうんです。それでもどうなったか知りたいと皆さんおっしゃる。だから書きました。
悩みの半分以上は解決なんぞしません。そりゃ、作家は本の世界では神様です。何でも出来ます。東吾を生き返らせることだって、何だって。でも、それをしちゃ、御宿かわせみじゃありません。皆さんだってそう思っているはず。違いますか?
そんな感覚をヒシヒシと感じてしまった。
読者に媚びない作家の本を読むと、正直疲れる。でも、それだからこそ、御宿かわせみだとも言えよう。なら…最後まで付き合おうか・・私も好きモノじゃの~(笑)
盗賊一味に襲われた麻生家は、当主の宗太郎と娘の花世だけが生き残った。先にも述べたがこの「新・御宿かわせみ」では、殆どの主要人物、特に壮年部が何かしらの形で亡くなっている。生き残りメンバーは「麻生宗太郎」と主人公だった神林東吾の兄「神林通之進」とその妻「神林香苗」そして東吾の妻「神林るい」である。
多分、平岩氏は練りに練ってこのメンバーを残したのであろう。そんな気がしてならない。
だからこの先きっと、なんらかの形で残されたメンバーが大きな波と対峙し、またその波に次世代の子供達が真っ向勝負を仕掛けるような、そんな雰囲気を感じてしまう。
大きな波とは、麻生家の一家惨殺事件ではなかろうか・・・。
この「花世の立春」では、その麻生家の「花世」が結婚した。
お相手は、麻生家の事件を追っていて賊に殺された南町奉行所同心「畝源三郎」の息子である「畝源太郎」であった。明治になったから結婚出来た二人である。そうでなければ身分が違い過ぎ、この恋は成就しなかったであろう。
元将軍家御典医であった天野家の長男として生まれ、その後旗本の麻生家に婿入りした医師「宗太郎」の娘「花世」は、世が世ならお姫様である。下級武士である同心の家に嫁入りなど出来る身分ではない。時代が変わったことと、花世自身が新しい物事を吸収する柔軟な心を持った娘だから叶った祝言だと言える。
現に、婿である源太郎、一生の不覚か…花世に逆プロポーズされてしまった(笑)
花世は、元々がお姫様育ちだった事と、英語の勉強、及び文明開化をスポンジのように吸収することに前向きで、当時の女性としては最先端を突っ走っていた。
そんな訳で、源太郎の嫁になるために必要な「掃除」「洗濯」「料理」の知識がまるでない。そんな花世の先走り行動を、御宿かわせみのお馴染みのメンバーが暖かく見守るのである。
でも…花世の言った立春までは、7日しか無かった。相変わらず突っ走る花世である(笑)
この話はテンポも良く、平岩氏ならではの筆さばきで読んでいても楽しかった。が…やっぱり花世の花嫁姿を亡くなってしまった色んな人に見て欲しかったし、もっと立派な祝言も挙げてやりたかったというような思いが華やかさにブレーキとなる。
手放しで何につけても楽しめない重さがあるな~。
一日も早く、麻生家の事件が解決し、東吾の消息も解るといいなと思う。それが解決しないと何時までも薄く霧が立ち込め、本当に息苦しい~~(笑)
※今回は携帯から読まれている方もいらっしゃるようなので…改行をあまり入れずに小説風に書いてみた。だが、これではPCからは読み辛いか…(笑)
あちらを立てればコチラが立たずだの(アハハハハハ)
そっか・・平岩氏もあちらを立てればコチラが立たずの状態なのかな~(私と平岩氏では余りにレベルが違うが、フとそう思った…笑)
ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)