監督・脚本はダンカン・ジョーンズ
なんと、デヴィッド・ボウイの息子だそうだ。
デヴィッド・ボウイといえばイギリスのロックスターだが、俳優としても名を馳せ
「地球に落ちてきた男」「戦場のメリークリスマス」など出演作は多数ある。
■あらすじ
サムは月で採取されるエネルギーを採掘するため、たった一人で作業している。
契約は3年。地球との直接交信はダメ。唯一の話相手はロボットのガーティ。
衛星通信施設の故障により、唯一の楽しみである妻とのテレビ電話も交信不能状態。
なので過去に録画した映像を何度も繰り返し見ている。
孤独だ。実に孤独なのだ。
でも、それもあと2週間で終了する。もう少しの我慢。
そんな時に…サムは外で採掘中に事故を起こしてしまう。
孤独のせいか、精神的なストレスのせいか、
最近体調が悪く、幻影やら幻聴に悩まされていたサムは
採掘現場で操作ミスを起こし、気を失ってしまったのである。
気が付くとベットで目が覚めたサムは、そこに自分と同じサムが居るのを見る。
自分と同じ顔、同じ姿形。少しだけ性格は違うが、自分と同じとしか思えない。
これは夢か、現実か?
作りは「2001年宇宙の旅」のような雰囲気。
ちょっとレトロな作りなのだが、公開は2009年である。
■感想…ネタバレあり
私が初めて自分のコピーなる話と出会ったのは、「パーマン」で、ある(笑)
パーマンが世界平和のために活躍している時に学校へ行ってくれるロボット
「コピーロボット」がソレであった。
鼻のボタンを押した人間と同じ姿形となるロボットで性格までも同じになる。
学校へ行ってもらえるなら「私も欲しい!」と思ったもんだ。
だが自分の嫌な仕事だけ押しつけられるかと言えば…そうでもない。
宿題もサボるし、お八つは率先して食べてしまう。
つまり自分と同じということは、自分ならするであろうことをする訳だ(笑)
この映画でも自分と同じ姿の人間が現れる。
感の良い方はお気づきだろうと思うが、クローンである。
クローン人間の場合は、コピーロボットと違い性格に多少の違いが現れる。
自分と同じ遺伝子を持っては居るが、厳密に言えば自分と同じだとは言いきれない。
似たような感受性を持っているが対応に微妙な差が出る可能性がある。
それだけ人間は複雑なのだと言える。
目の前に宿題とお八つがある。
宿題を置いておいてお八つから食べる自分も居れば
宿題を片付けてからお八つを食べる自分も居るし
宿題をやりながらお八つを食べる自分も居るのだ(笑)
その時の雰囲気や気持ちの違いでどのような結果が出るかは解らん。
この映画はそれをとても巧く利用して作っていると思う。
製作費はあの低予算作品の第9地区の1/6
確かに予算は掛けてないな~と思わせるセットではあるが
それも「なるほど」と思わせる設定があるので気にならない。
先に「自分が楽をしたいがためのクローン人間」の話をしたが
この映画は「会社が人件費を削るために作ったクローン人間」の話となる。
とても現実的だ。
クローンは3年で死んでしまう設定となっており
記憶は3年前の記憶を埋め込まれている。
クローン同士が出会わなければ、メビウスの輪状態で働き続けるのだ。
クローンは生まれてすぐに「あと3年で地球へ帰れる」と思いつつ働く
先が見えているのでそれなりに一生懸命に働く。
でも地球へ帰る前に遺伝子に組み込まれた病気で死ぬ。
「ああ、あと少しで仕事が完了し地球へ帰れたのに…」と思いつつ。
一人が死ぬと次のクローンが生まれ、何事も無かったかのように3年過ごす。
会社は人件費を支払わずに永遠に作業員を確保出来るっちゅー話となっている。
だが侮るなかれ。こういう企業や軍隊がソコに目を付けたからこそ
技術の発展が見られたとも言えるのだ。
妖怪だらけの我が社の会長が聞いたら…泣いて喜びそうな設定じゃ(アハハハハ)
「人件費なし。最低限の衣食住の提供だけで一生懸命に働く人材を確保」
「設定は自由。3年未満で心臓発作の遺伝子操作可能」
「満了後には自由と多額収入有と記憶操作するので良く働きます」
な~んて広告が出ていたら飛びつくかもしれんの。
というわけで、最初はショボイ?と思いつつ見始めた映画だが
終わってみればとても面白かった。
ちょっと刺激が欲しい方にお勧めの映画である。
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