今日も ゆっくりできました
昨夜は 100歳のジャーナリストのドキュメントを見ていたら
夜中の1時
でも昼前には起きたよ
いい天気!
夜のうちに干してあった洗濯物を 外に出し
今日は のんびり 小説書いてました
ようやく 話のタイトルが決まって
「緑の指と 魔女の糸」に決まりました
新キャラ登場 イラストも 娘に描いて貰ったので
(ひと型 命ちゃん15才時のイラストです)
下に下げときますので 読みたい方のみどうぞ
庭の木が 染まり始めました
秋の野花
今夜は … 豚ロースの大根巻き 焼きサーモンバターソース
納豆と塩辛の小鉢 豆腐と油揚げの味噌汁 ヨーグルトデザート
明日は カメラのお仕事です。
緑の指と 魔女の糸 「棄つ(ふてつ)もの」
神は、生まれる。
ひととは違った、変わった形態で。
その日が近づいていることを、察することができたとき、
それは激しい衝撃だったけど、自分だけの秘密にした。
そして、神や妖の勉強をして、ある日、
私は、自分の未来に希望を抱いたのだ。
私が探し求めていた神は、沼の神。
神々しい景色、というものがある。
ひとは、容易にそれは感ずることができるだろう。
大抵、そこには小さな神がいる。
そして、神の世代交代も、ひっそりと行われている。
沼を囲む樹木たちが、とにかく猛々しくも美しく、
沼の水は、恐ろしいほどに澄んで、
多くの動物たちが、その恩恵を受け生きている。
その沼を見つけた時、自然に涙が溢れた。
紅葉の季節。
でも、あまりにも 粛然 と存在する小さな沼なので、
紅葉目当ての、人の姿もなかった。
沼を囲う樹木のひとつが、不思議な光を放っていて、
その洞に、シルクのような光沢のある純白の卵があった。
数日通って観察しているうちに、ついに卵が洞から転がり出て、動き出した。
卵が白い光を放って、人型となる。
白い衣を羽織った、白いひと、いや、神が、するりと衣を地に落す。
そして、沼に入り消えていった。
私は、神が残した衣の元に走りよる。
衣が僅かに動いて、鳴き声がした。
「キュン … キュン … 」
神が脱ぎ捨てた衣から生まれる妖が、「棄つもの」だ。
神の、へその緒に宿る儚い存在。
生みおとされれば、そのまま消えてしまう。
消える間際に、神の一部であった証を残すかのように、
この自然のなかに、小さな奇跡を残すのだ。
私が、子供の頃からずっと探していたもの。
ふてつもの。
消えてしまう前に、契約を交わし、寿命を与え、生かす。
「私と、契約を」
私は、衣から現れて震えている、小さな白いきつねを抱き上げた。
「汝の名は、命(みこと)。我は、汝に、10年の生涯と高徳を与えしもの、紫」
我が一族を縛る忌まわしき契約の解体に、協同願えるか。
私は、指を噛んで血を出すと、それを白キツネに舐めさせた。
「私は、貴方に、愛をあげる。一緒に生きて」
それが、もうひとりの家族となる、命との出会いだった。
家で待っていると、いつものように、凛と夏ちゃんが帰ってきた。
命を見るなり、奇声を上げるふたり。
「猫ちゃんがいる!」
と、凛が云えば、
「狸だよ!」と、夏ちゃん。
「キツネです」と、私が云った。
「白いキツネ? 神様なの?」
「私たちにとっては、神様のようなものね」
そこで、私はハッとした。夏ちゃんには見えるはずのない命。
「夏ちゃん、この子が見えるの?」
「うん。狸に見える」
「そうじゃなくって…」
私は、途中で吹き出してしまった。「この子、妖よ。普通は見えないわ」
「ええ!? 俺、妖が見えるの? えええ!? 凛ちゃんも見えてるの?」
「どうやらそのようね」
このアパートに引っ越ししてきて、2年が経っていた。
凜は、七字家の血を受け継ぎ、妖や霊魂が見えるようになった5才。
ほぼ一日一緒に行動している夏ちゃんに、影響が及んでしまったようだ。
「大事な話をするわ。ふたりとも 、よく聞いてね」
二人は、いずまいを正した。
「この子は、みこと。男の子で、やがては人型に変化する妖です」
「ひとに、なるの?」
「そう。今日から私たちの家族。
私は、この子に大切なお願いをしたの。そのために、命を10年間、生かさなければなりません」
「10年くらい、余裕で生きるでしょ」
凜が命をみやりながら云う。
「この子にとって、生きることは死ぬことより難しいの。
身体は弱く、絶望させたら死んでしまう」
「寂しいと死んじゃうウサギさんみたいに?」
と、夏ちゃん。
「ウサギさん以下です。とにかく、生命力が、極端に弱いの。その子を10年間生かすことは、
並大抵のことじゃないのよ。本当は、死んでしまうために生まれてきたような子だから。
私が、生きる意味と目的と、名を与えた。責任を持って、接してあげなきゃならないのね」
「…大切なお願いって? 契約を結んだのですか」
凜が少し元気をなくした。この子は、契約の恐ろしさを理解しつつある。
「なんのための契約ですか? 」
「それは、貴女たちがもう少し大きくなったら、ちゃんと説明します」
その時、命が、小さなくしゃみをした。
「ああ、秋風が寒いのかしらね」
「温めなきゃ!」
凜が、ガバッと立ち上がると、自分のストールを持ってきた。
「夏ちゃん、窓を閉めて。命、大丈夫? 寒くない? 食べたいものはない?」
「食べ物は人間と一緒で大丈夫よ。でも、添加物や刺激物は与えないでね」
「蜂蜜ミルクは?」
「OKよ」
ふたりは、早速ミルクを温め、命に差し出した。
おいしそうにミルクを飲みほした命は、嬉しかったのか、
何故か、凛ではなく、夏ちゃんに飛びかかった。
「こいつ、超モフモフ! かわいい!!」
「なんで夏ちゃんばかり? 私の方にもおいで? 命ったら!」
やきもちを焼く凜がかわいかった。
10年。
それは容易いことではない。
長すぎたかしら。 …ううん。私だって、そんなには持たないかも知れない。
10年たったら、凜は15才。
一人でも、生きていける。きっと、生きていける。
だから、10年。頑張って、命 。お願いね、 命。
それは、森が赤や黄金に染まって、
気持ちのよい風の吹く、美しい季節の、
とある、出会いの物語。