小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

ひがしやまささめさくらあるはんぶらぶら~桜遠征其の二

2007-04-06 14:58:27 | 身のまわり
時々行かせてもらえる関西取材出張。今回は桜の時期とあって、仕事を終えた夕方、帰りの新幹線まで少し花見をと京都駅で降りる。

といってよく知らない土地ゆえ、どこに行ったらいいかも知れず。京都、桜で思い出したのは谷崎『細雪』で姉妹が季節の花に遊ぶシーン。とはいえ、それすらどこだったか確かでないので、ではと駅ビルで前に行った三省堂を探すが食品売り場に出てしまい、時間がもったいないので京都タワー内書店で新潮文庫のページを繰り、姉妹が最後に取っておく京都で一番が平安神宮ということ、ほかに円山公園などの単語を仕入れる。

というわけで平安神宮方面の100系バスに乗車。渋滞はあっても、市内観光には普段の街の風景も楽しめるバスがいい。外国人やらガイドブックを抱えたかつてのアンノン族のごときOL風やら30年前に実際そうであったような花のついた帽子のマダムやらといっしょくたに運ばれて行き、途中、清水寺、八坂神社でどっと降りるのでいくらか不安になりつつ、ここはたとえ後悔する結果になっても目的地は変えない決心で平安神宮に向かう。それにしてもどっと人が降りても、また、ごいと乗って来るのがさすが世界的な観光地。と思う間に巨大な赤い鳥居が見えて平安神宮に着く。

それは五時前くらいで、苑内見学は五時半までという。今からで大丈夫ですか、ええ三〇分もあれば、花はどうですか、部分的にですが三分咲きにはということで600円はどうかとも思ったが、まあ谷崎がいうのならと入場。けれどこれはきっと本からでなく、一部みただけの市川崑版の映画とはずいぶん印象が違う。蒔岡姉妹の頭上にあったのは豪華絢爛に拡張する桜だったのだが、神宮の桜はこれが満開だったとしても凝縮するような感じがあり、池とか菖蒲とか、そういう周囲との関係でこそ美しいもののような気がした。または、谷崎の頃とは桜そのものが違ってしまっているのか、それとも美の基準が変わったのかも。
そうはいっても、左近の桜と各建築物の配置などは、高校の頃、何もわからぬまま感じた法隆寺の企みと同種のおおらかさを思う。

と、平安神宮を後にしたのが五時半頃。「平安神宮」と書かれた石碑の前で信号待ち、と、多分娘さんか上品なマダムをデジカメに写す初老の人に、「いっしょに撮りましょうか」と声をかけるも、本当に嬉しそうにお礼の言葉を重ねつつのノーサンキューもまたいいもの。
さくらさくら、ひとのこころにひかりともす。

で、人のあふれるバス乗り場。時間がもったいない、ではと、道中計画した八坂神社付近まで歩くことにする。
歩きは人間の速度だ。想定としてどこの店で夕食を食べようかと目星を着けてはいたけど、バスからは気づかなんだ林食堂なる店が気になり、ラーメンは順延でビールとすうどんを頼む。どうってことないがうまい。おおきにと、ビールを頼んだのにお茶を気にするおばちゃんの心遣いが嬉しい。

ちょい酔い心軽い歩みで、目にとまったのは信三郎なる頒布屋。しっかりしたつくりと、東山文化を思わせるシンプルなデザインがすばらしい。こうした和ものクロスオーバーはどんどん広がってほしいが、ちょっと高いので見送り。

古都をずんずん歩いて、とうとう知恩院から円山公園に。
よくは知らぬが、屋台もたくさん出ているところを見ると花見の名所らしい。たけのこ焼きというのに興味を持ったが、まあいいやとスルー。ちょうど標準語のおばさん集団が、上野公園みたいなもんじゃない、そうよねというのは、まったく同じことを思っていただけに安心する。があがあ集まった発泡酒の箱や、宴始まる前から毛布に包まって座り寝の若者がいるのも関東とそう違わない。

ではと、そそくさと円山公園からさらに南下。こっちは、今に輪をかけて何も知らなかった高校生の修学旅行でも来た清水寺に来た。25年の間には世界遺産の本の原稿を書いたこともあって、少しは知っていることもあるが時間はないので駆け足訪問。
サーチライトに驚きつつ坂を上がり、近道という茶わん坂を。途中、小学生の兄弟風が走っていて、もうだめ心臓が飛び出しそうだとかいっていたが、ああいう何のためかわからぬ無謀さも観光地ならでは。
あまり人がいないなと思いつつ焼き物など見て上がると、北関東者には親しい伊香保のような石段。つい上ってみると、おお、こっちがメインだった清水坂に出る。
そうだ、ここは修学旅行でも来た。夜も更けたのに外国人含めた観光客でいっぱい。漬物試食だの、いつか買いたいと思っていた扇子など物色し清水へ。夜間参拝400円は高くないけどもう7時過ぎ。8時半の新幹線に乗らないとねこどものところに帰れない。ここはスルーで、帰りに小風呂敷、干支でもあるうさぎ柄の1枚550円を買ってしまったが何に使うのだろう。
京都タワーがきれいねという観光客に、そうかあの悪名高い施設もまんざらでもないなと思いつつ坂を下り、そのタワーに向かって急いだ。

と、途中でトイレにも行きたくなり、腹もへってきたのでいよいよお約束のラーメン。五条通りで目についたラーメン藤というので、ビール+餃子+ラーメンの黄金トリオを味わう。これはなかなかだった。
会計を済ませ駅まではどのくらいかかりますかと問うと、地下鉄に乗った方がよろしいで、歩いたら? 二、三十分かかります、ときき、近くの駅に入ったらそれは間違うなといわれた京阪の方で、遠くに見える京都タワー目指して歩くことにする。夜風はやさし。

タワーも近づき、駅周辺は歩き慣れているから、ここは東本願寺ではと裏通りを歩くと、門のところに大きなはいいろねこ。誰が置いたかカリカリフードを食べるに、おお、元気かと声をかけると、たぶんそういうことはないはずだがやつからみて4時の方向に平行移動。心配するな、こっちは旅の関東ものだ、家にねこもたくさんおる、といいながら去るとまたカリカリ。ねこは種の観念が強いというが、うちのねこのことはどう思っているのだろう。

さて、駅に着きみやげ少し買い、のぞみに乗る。ビールを買ってたらあやうく間に合わないところだった。ビール1Lとともに、往路で少し読み始めた茨木のり子『詩のこころを読む』があまりに典雅で、新横浜を前に読みきってしまう。知らなかった詩人も何人か覚えたけど、最後の方の一編のアルハンブラ、現地音に従ってアランブラ宮殿の詩に思いをよせる。

高崎線は籠原止まりで寒く、携帯の電池切れたと緑電話使っていたレディとともに階段で風除け。深谷駅の桜は平安京よりずっと盛りで、家に帰ってねこどこどもにゃあにゃあに、おおおめえら、こっちは今日は上洛したのだぞ、あっちのねこはなぜかお寺の裏にあるカリカリ食べてるんだぞといっても、やつらキャネットカリカリばかりで耳貸さず、それもまた四月。

(というわけで、吉祥寺編と似通った内容。どこに行っても同じようなことしてます。Phは平安神宮左近の桜から夕陽。こんなことなら携帯代えてから行けばよかったと少し後悔。BGMはけっこう春らしい、the delgados "universal audio")
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2 コメント

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京都の桜 (Aki)
2007-04-06 23:51:01
満開にはもう少しですね。
京都御苑は満開だったんですけどね。
それに合わせて、京都御所の一般公開もしてるくらいですから。
あと、円山公園には大きな枝垂れ桜がライトアップされてませんでした?その桜までの道中、かがり火でライトアップ(?)されてる桜も堪能できるのですよ。

それにしても、平安神宮から円山公園、そして京都駅までとよく歩かれたのですね。すごい
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そうですか、御所ですか (カロンタンのエサやり人)
2007-04-07 13:32:28
コメントありがとうございます。Akiさんにとってはホームグラウンドですね。
そうですか御所。同じ京都でもけっこう違うわけですか。確かに平安神宮より円山公園の方が花は盛りでしたね。
円山公園の枝垂れ桜。なんかこう別格という感じで、こういうのも桜に失礼かとも思いますが、怪獣のような迫力さえありました。
歩くのはけっこう強い方で、バス待ってる時間があれば歩いちゃいます。
そう、今度京都に行く時は、Akiさんにきけばいいわけですね。その時はぜひ、よろしくお願いします。
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