風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

コンタクト

2008年02月29日 06時43分27秒 | エッセイ、随筆、小説
白く細い糸が
額あたりにちろちろと下りてきた。
私にピタッと収まる。
交信がはじまる。
明日は大事な用がいくつかあるし
まだ体への不安も拭いきれていない。
夢でいかがですか?と提案する。
体は休ませているが
脳や意識は起きている状態となんら変わりはなく
その方が深くお互いの無意識にまで手が伸びるので、と説明にあてた。


了承を得たとわかったのは
突然、全身の力がベッドに移行した瞬間で
ぎしぎしときしむ音がしばらく聴覚を出入りしたからだ。
そのうちしんと静まり返る夜や闇が
私を抱き抱えて
その白い糸が結ぶ領域の広がりに
感動すら覚えていった。


目前に現れたのは女性だ。
もうここにはいない。
けれど、私は彼女と話をする必要があって
彼女もまた、同じように考えていたのだろう、
思いの端を白い糸に手繰り
交信しようと考えてくれたのだから。


彼女は私をみるなり
『あなたの幸せのかたちは?』と聞くものだから
長い髪を無造作にぐしゃぐしゃやって
まだ私が小学生の頃、
体育館の端で緊張しながら
膝を抱えていた日を
なぜか思い出させていった。
幸せの意味など
これっぽっちも考えずにいた日々こそ
たぶん幸せと呼ぶ。
あれこれ思いを巡らせてみるのだが
言葉に変換しようとすると
指の間からこぼれ落ちる砂のように
うまく答えることができず、
その砂を拾う頃には
言葉の命はとうに耐えて
私を塞いでいくようにみえた。


うまく答えようなんてこれっぽっちも。
そこには作意も打算もなく
あるのは言葉とおりを探す意思だった。
虹が浮かんで
そこで雲の飴にしゃぶりついて下界を眺めると
ところどころ鼠色に変色した部分が
マグマみたいに溶けて
他の美しい色彩を飲み込んでいた。


『あれは何?』と女性へ尋ねると
『私が苦しめられてきた正体よ』と言った。
突然のめまいに見舞われたのか
彼女の顔が歪んでみえる。
気付かなかっただけか、
あたりに寂しさが漂って
私を寄せ付けようとはしない。


強さや聡明さや揺るぎない姿勢や自負や
女性特有の忍耐を兼ね備えて
彼女は彼女なりに生きていたと語る。
あの鼠色の物体にさえ巻き込まれなければね。


あれは私のかつての彼そのもの、
冷酷さや卑怯さ、
欲が前かがみになる人特有の貧しさや
仮面の下の正体は
紳士で穏やかな表情からはかけ離れていた。
かわいそうに、だから芯がいつまで経っても
できるはずもなく
けれど人間が生きる上では
それや希望がなければ
屍になってしまうのね。
息をしているだけ。
心臓が動いているだけ。
だから必死に動き回ったり
人にしがみつこうと躍起になるわ。


朝になる前にそろそろ行くわ。
自分の幸せのかたちがわからなければ
大切な存在にはたどり着けないわ。
何かを失っても
それに気づけない人も多い世の中において
あなたには大切なものを
守り通してほしいと思ったの。
いや、あなたたちが正解ね。


東の空が白みはじめたとき、
私と彼女のコンタクトは終わった。
白い糸が額から天井へ、
いつもと変わりない朝がはじまる。

沈黙の向こう

2008年02月28日 18時13分24秒 | エッセイ、随筆、小説
男の自尊心を傷つけるくらいのことは
朝飯前よ。
女に慣れていないと一言吐き捨てたなら
どんなに社会的地位がある男でも
すぐに崩れ落ちていくから。
いや、地位や肩書きがある人ほど
それがトラウマになるわ。
もう二度と女を抱けないくらいに
ずたずたに心は切り裂かれる。
見えない血がどくどくと流れて
次第に正気を失って
寿命よりもずいぶんとはやく
死に追いやることができるわ。


私の望みはそうしたことか?
一瞬、自問が脳裏を埋め尽くしたが
頭を2、3度左右に振って
そんなものはかき消していく。
情や躊躇などは
今の私には無縁だと
自分に言い聞かせるように。


東側の窓から白くて柔らかそうな雲が
音もなく流れていく光景を眺める。
それはまるで乳房のようだった。
つんと上を向いて
プライドが高く
孤高の香りを漂わせ
女の怖さを凝縮した
それは美しい置物のように
表情を変えずにいつでも微笑んでいる。


西日を浴びたとき、
あの沈む緋色の太陽の先には
あの男が住んでいるマンションがあって
意思とは関係なく
私は愛したり殺したり
気分のまま、
気まぐれに弄ぶのだった。


愛撫する途端に
悲鳴のような声があたり一面に飛び散っていき
あと少しで唇が触れるというところで
突き放してやる。


馬鹿め、
快感はそれを引き伸ばした時間に比例してでしか
抑揚を引き出しに準備しないことも知らず。


そんなことも知らずに
私の連絡を待つ惨めな男がいて
電子メールが届くたびに
私はそれを読まずに削除する。
沈黙は音のない世界に
リズムやメロディーを奏でていき
感性の領域に作用して
そこに手を伸ばせられない者は
いつまでもお預けを食らうのだ。



※ある作品の読後感によって
つらつらと書いてみました。
愚文、ご了承を‥

アメリカへ行く

2008年02月28日 11時21分24秒 | エッセイ、随筆、小説
サンタモニカを中心に活動している
Dr.Sグループの友人へ連絡を入れる。
私の医療情報を電子メールで送り
日曜日に再度話をしようということで
今日のところは落ち着いた。


このグループについては
以前にも何度か触れたことがあるが
代表者は私の長年の友人で
アメリカ西海岸の医療に関して
東洋的な立場からアプローチをして
結果や業績を伸ばしている。
日本食ブームの先がけと言っても過言ではない
ウエストハリウッドからはじまり
レストランやカフェも手がけている。


日本人で関わっているのは私だけで
いつか仕事を一緒に行いたいと
思っていたものの
まさか自分の不調、
バランスを整えるために西へ向かうとは。


どんな理由ができても
遠回りしようとも
私はここで勉強しなければならないことが
あるらしい。
友人はなにも心配いらないから
私の身ひとつで
タクシーを拾うように
地下鉄に乗り込むように
飛行機に乗ってカリフォルニアまで来ればいい、
と言って陽気だ。


日本の医療などにほとほと疲れ果てた私は
唯川恵さんの本を読んで
人殺しと逃亡の物語を
自分の身の上に重ね合わせていた。
人を傷つけたり殺す予定はないが
この国に蔓延する不安について、
何気なく友人が繰り返す『心配いらない』との言葉が
温度差や人間の質や
可能性や希望を
奪うのかそれとも育てるのかの違いに
国の将来を重ね合わせてみてしまうと言ったら
すこし大げさだろうか。


また流れがシフトする。
さて、向かう方向性にようやく舵取りができたのか
自分の明日にわくわくドキドキして
読書中の殺人や逃亡の物語が
ラブストーリーに思えてくるから不思議だ。

ざらついた感触

2008年02月28日 09時17分22秒 | エッセイ、随筆、小説
いてもたってもいられなくなって。
知人が私の自宅近くにあるイタリアンレストランで
待っていると連絡をしてきたのは
夕方のことだった。


突然のことだし
私の腰の状態もまだ不安定なので
歩けるかどうかわからないから
もし行けそうなら顔を出します‥
期待しないで、と私は返信に宛てた。


それからだいぶ時間が経過してから
私は店へ向かった。
チョコレートがたっぷりとかかった
フレーバー系のコーヒーを注文して着座すると
多少事情を知っている知人は
彼は来ないのか?と尋ねた。
やっぱり不思議に思っていたのだろう。


うん‥と私。
下を向く。
接点を持つために
一緒に住むマンションを探すことに
執着を持ってしまい
本当になにが大切であるかが
わからなくなっているのだろうと知人は
彼を養護した。
けれど、私はざらついた感触でしかもはやなかった。
不信が募るばかりで
もう二度と感情を修復できそうにない。
次に会うときは、
もう二度とお会いしないと
伝えるだけだもの。
砂が血液の中に溜まるように
ざらついていくから。



私は店で一番高い赤ワインを注文して
知人に浴びるように飲ませる作戦に出た。
知人もそれならと言って
メニューにあるカルパッチョを全部、
パスタやチーズの盛り合わせなど片っ端から注文して、
料理はテーブルに乗らない品数が運ばれていた。


バブル?
私が聞くと
うん、再現中、と楽しそうに答えるものだから
だったらメニュー全部を注文して、
食べれないものは次回に、と。
ひとりできたときにでも
制覇できるだろうと言って
ランチで店を訪れても
お金を支払わなくて済むように
段どってくれた。


私がケラケラと笑っていると
体調が悪くてもこの勢いなのだから
元気なときは想像がつかない、と
知人は独り言を装って
舌を出して笑った。
なにしろ健康が一番だから
元気になれよ。
自分に正直になれと言われて
私は目頭が熱くなって
窓外に視線を移した。
車のヘッドライトが白く光って
眩しくて目をぎゅっと瞑る。
一筋の涙が線を描く。


ちょうどそのとき、
携帯はメール受信を知らせるために
ぶるぶると震えていた。
彼からのものだった。
私は一層ざらついた感触を深めて
ため息を漏らして
顔がひきつっていくのが自分でもよくわかった。


今日は六本木の仕事先へ行きました。
体調が悪いとだけ聞いていますと言ってあるので
ご安心ください。
体調が一番なので
よくなったらメールください‥


行動をなぞると本音にぶちあたる。
それはどうやっても
ごまかしようがない。
なにも伝わっていないのだと思うと
私の方が情けなくなった。


男たちは皆多忙を極めている。
後悔したくないと言って
会いにくる知人もいれば
10年来の思いだと言いながら
自分の保身、ありばいをつくるために
飲み歩く男も。
ざらついた感触を
もうどうすることも出来そうにない。
返信はしない。

後悔という凝り

2008年02月27日 13時55分15秒 | エッセイ、随筆、小説
ただ通り過ぎてくれるのを
待つしかないのですが、
彼らと友達になった以上は
仲良くなりたいと思っています。
それは不意に降る
今夜の雨に似ているかもしれません。
いつどこで雨にあたるかわかりませんが
それが針を刺すような痛みの伴わない
優しいものであって欲しいと
ただ祈るばかりなのです。


友人から困惑を隠せないといった連絡が入ったので
私は満喫しています、と
それは強がりでも嘘でも
その場をしのぐためのものではなくて
本当にそう思っているから
満喫しています、と伝えたことがあった。


交通事故後遺症は思いの他長引いて
痛みや発作に見舞われるたびに
嬉しい、または苦しい出来事の向かう先には
言葉のキャンバスに思いの端くれをぶつけている
自分と必ず遭遇した。


ただし、今回ばかりは言えなかった。
病気や痛みを満喫しているなどとは。
けれど、なかなか状況を理解してくれない相手へ
説明をするのも
それを求めるのも嫌気がさして
こんなときに相手の本性、
つまり、言葉と行動の間にある距離感を計るのは
すごく悲しくて寂しいことだと
感じてしまうのだった。
ならば、正直知らずにいた方が
お互いのためだった、と。
タクシーを飛ばせば15分もかからず
私の自宅にも病院にも到着する。
けれど、来なかった。
おそらく、来ようともしていなかった。


真夜中に携帯がぶるぶると震えて
その受信を知らせるたびに
人間の業の深さや残酷さをみてしまうようで
私は携帯を壁に投げつけたり
毛布で頭を覆ったりして
それが近づいてこないことを
ただ祈るしかなかったのだった。


後悔の念を抱くのは
おそらく向こう側なのだろうが
今にして思えば
周囲の人の態度がこの事態を予測していたように
思えて仕方ないことが今は多い。


開放してください。
休ませてください。
そこまで言葉にしなければ
そこまで言葉にしたところで
本意を理解できないとは
悲しくて寂しいことですね。

生きていくことの意味

2008年02月27日 09時56分06秒 | エッセイ、随筆、小説
僕は逃げませんから、と告白された夜
なぜか私のまわりだけ風が収まって
桜が咲く光景が目前に広がり
心の置き所はこんな場所なのだろうと
漠然と思うのだった。


ここには安心が当然のように根付いていて
受け身でしか人とは接しない。
しかも、誰もが大人で
誰もが余計な言葉を必要としていず
おそらく生きるステージや階級が
同じ人たちの集まりで
下界の蟻が体中を這うような
不快さに脅かされる心配もなさそうだった。


真夜中に届いた電子メール、
返事がこないので心配だ、と記されていても
そこに他者を思う気持ちは不在だった。


今日、私の仕事先へ顔を出す際に
どのように説明をすれば‥と書かれていたが
その本心は違うと感じた。
ゲームみたいだと思った。
まして、まだマンションを見に行く日程が‥と
末尾に記されていたので
私は携帯を壁に投げつけた。
画面が割れて
ロッジのような木の壁が
そこだけ凹んでいる。


ふざけるな、と思った。
体が思うようにならないだけでも
絶望の淵にすぐさま突き落とされるのに
そこに追い打ちをかけるように
私が最も嫌悪する事態を次々巻き起こしていく。
生き方を問われていることも知らず
取り返しのつかない行動を
惨めにも繰り返していくばかりだ。
そろそろ男として熟してもいいだろう。
まして、苦労をしてきたというなら
他者へ想像を馳せる行為は
決して難しいことではないはずだ。
それが身になり
血や骨や肉になっている場合に限り。


僕は逃げませんから。
いつでも連絡してください。
この余裕がなければ
長い時間を共にしようなどとは
私には思えないのだ。


仕事先や今後のビジネスについて
今話さなければ成立しないのであれば
他をあたってください。
私を開放してください。
静かなる怒りを込めて
返信に宛てた。

イシュター

2008年02月26日 23時51分55秒 | エッセイ、随筆、小説
バビロニアの母紳、
戦いの女神であるイシュターは
様々な顔を持つ神です。
体に痛みが走ったときにも
それを癒してくれます。
一貫しているのは
人間に対する優しさと慈愛の心です。


イシュターは金星と縁が深く
金星そのものの具像化であるとする説もあります。
官能美を隠そうとしないので
原理主義者からは嫌われ
拒絶されるのも事実です。


イシュターとコンタクトを取ったとき
私の脳裏には
多くの蟻が這い回っている中に
自分の姿が浮かびました。
イシュターはおそらく、
低次元の想念が地を這う虫に等しいものであると
知らせたかったのでしょう。
足に這い上がってくれば確かに不快ですが
そうでない限りは無害です。


そしてイシュターは
わたしの頭を頭上から
射し込む光で包みました。
まるで光のシャワーを浴びているような状態です。


足元を這い回っていた蟻は
光が当たっている場所には入ってこれません。
まるで逆さに伏せたコップの表面を
登ろうとするように
少し登っては落ちるのを
繰り返していました。


そして、わたしの耳に声が聞こえました。
あなたの体を光のローブで包ませてください。
わたしは常にあなたと一緒にいて
必要なときに必要なことを行います。
すべての職業の中で最も尊いのは
明るい光で影を消しさり
英知を輝かせることです。
誤解しないでください。
わたしがここにいる理由は
痛みや苦しみ、そして悲しみを和らげ
取り除くためなのです。


ある本を読んでいたら
上記言葉が書かれていた。
同様の説得に近い内容を
実は今日されたばかりだった。
符号は私たちのすぐそばにいて
必然を引き出していく。
笑いがこみ上げてくる。

チャラ子の相手

2008年02月26日 23時30分20秒 | エッセイ、随筆、小説
どうするのよ、と娘が口を尖らせて言う。
どうするもなにもない、
自然の成り行きで‥と私がテレビを珍しくみていて
その邪魔をするなといいたげな目つきで
娘を威嚇すると
今度は父が一階の居間にやってきた。


つべこべ言わずに
ばーちゃんの作った弁当を
有り難く持っていけ、と怒鳴る。
けれど、優しく。
あんな言い方じゃ女子高生の思うツボだ。
おやじ頑張れと心の中でエールをおくる。
フレーフレーおやじ!と。


今朝、空気の重さに耐えかねていた私に
救援を求めたのは父で
孫娘に嫌われたくないせいか、
娘の機嫌を損なう恐れのあることは
常に私の口を使う。
早一週間近くになるだろうか、
娘が生まれてからお弁当を作れない事態は初めてのことで
家族全員が困惑しているのに
娘だけが私をチャラ子と呼んで
だから、体調が悪くなるのだと言われたとき
丸めた新聞紙やグーや
肩たたきの棒で
頭をばかすか殴ってやった。
すこしは痛い目に遭えと言わんばかりにだ。


これ以上頭が悪くなったら可哀想だけど仕方ない。
娘はそんなことなど気にもとめずに
チャラ子はなんて答えるのだ?と
私の取り巻きを楽しんでいる。
ふざけるな、
おまえはチャラ子の血をひいているのだよ。
いつどこで、それが優位にたつかわからないと
ひとしきり暴れると
チャラ子は楽しそうな人生だなぁ~と
しみじみ言う。


外国へも行って、いろんな人と会って
経験も積めて
おまけに恋もたくさんして
こないだは救急車にまで。
みていて飽きないよ、だとさ。
恐るべし、チャラ子の娘。


なぜ娘が私をチャラ子と呼ぶのかというと
恋多きだからで
男がマンションうんぬんと言い出したことを
相談したのがそもそもきっかけとなった。
ちゃんと断るんだぞ、とか
シナリオを書いてあげるからメールで送れなどと
偉そうに私へ指示するのが
気に入ってしまったようで
いつも私の顔をみるとにやにやして
チャラ子の相手はできないといいながら
楽しそうな表情を浮かべて
目を輝かせている。


さて、チャラ子は‥というと
検察や医療や体調などの対応がまず先で
マンションを見に行く余裕などないに等しい。
すごく有り難い話なのだろうが
心身に負荷をかけるつもりがないので
やっぱり無視を決め込むことに。


チャラ子は恋が成就できない星の下に
生まれているのか?
なにはともあれ
出版社社長はたくさん恋をしろと言った。
だから、私は私でいこう!

静謐な優しさ

2008年02月26日 19時38分57秒 | エッセイ、随筆、小説
すこし休ませてください、と
私は夢の中でも言っていた。
そこは墓を連想させる部屋で
彼とマンションを探しているのだろう、
不動産屋と思わしき人物もいる。


墓にはまだ入りたくないと思って
必死に抵抗する私。
自宅に金をかけて設計したからか、
部屋が狭くなることや
日当たりや風の通りなど
条件があがるなら検討するが
そうではない場合は
休ませてくださいと連呼している。
自宅から離れたくないと理由を並べる。


我ながら痛々しい夢をみるものだと思っていたら
携帯は着信を知らせ、
それは検察からのものだった。


年に数回、
今日のように眠くて仕方ないときがあって、
それは体が疲れているということではなく、
夢によって私に『ナニカ』を
知らせるためなのだ。


眠ると当然のように夢をみて
それがまたリアルで
物事の本質を突き、
私がどのように動けばよいかを教える。
思考力がいくら低下しようとも
夢見の内容は私を護る。
私を導く。
私を危険から遠ざけてくれる。


優しい火が全身をなぞるように
肌上を行き来しながら
一見あり得ないと思われるようなこと、
たとえば、火が魂を冷却していく課程は
異常な喉の乾きを引き起こして
やがて鎮火させる。
もしも、ここに相手がある場合は
気をつけないとならないのだが
鎮火を阻止する行動が継続するときにかぎり
相手を燃やしてしまう。
それは自滅を意味している。


相手を燃やすとは
自分が行っている行為で
私を苦しめていると気付かない場合、
そのエネルギーは私へ向かっているとは
愚かな錯覚に過ぎず、
自分を燃焼させる源と判断されて
痛い目に遭う出来事を引き寄せてしまうのだ。
正しい思いでないと
そこに猶予は与えられない。
自然にはもうそれを許す余裕はなくて
自然の一部である私たちも
その流れに逆らうことは
誰もできないのだから。


墓にはまだ入りたくないとなぜ私が思ったか。
ここでいう墓とは
自由であるか否かを指している。
優しさとは他者を縛る行為ではなく
枷を取り付け、
自分の思いとおりにさせるための
壷でも闇でも業の漂流地でもない。
優しさとは他者を包み込む行為であって
魂が喜ぶ場所でなければならない。

向こう側のルール

2008年02月26日 13時22分24秒 | エッセイ、随筆、小説
どうしても‥‥と言う。
個性が強い人としかご縁持てないのが
あなたの性分であり
こちら側に生きる定めなのですよ、と。



あちら側のルールとやらは
めちゃくちゃで
常識などなく
相手を傷つけることしかないのだ、と。


人間を見抜く術を持ち得ないばかりに
こちら側の人間の迫力に押され
それと戦おうとする時点で
負けている。
それは無茶や無謀ということ。
自分をわきまえていれば
そもそもあちら側からこちら側へ
船を向かわせているでしょうし。
召命に気付かないなど
言語道断、
だから足元を掬われてしまうまで
過ちを繰り返す。


そろそろ起動修正時期ですよ。
私や私たちの出番、
関わった人たちの流れ、
精神的余力が
北から南へ風がかわるときに
すこしだけ気だるさを誘因して
人を問うのでしょう。