これほどまでに優しさに満ちた手を私はかつて知らない。
それはマシュマロのようにほわほわとしていて、砂糖菓子のようにいい匂いがする。
先生、どうしたら先生みたいに優しさに満ちた手になれますか?
ううん、手だけじゃくて、存在そのものが神様みたいにキラキラしています。
影にまで色がついていて、不可能がなく、さぁて、治して差し上げましょうね、と言って、
魔法すら使えそうな印象です。
先生、図星でしょう?
本当に偶然にして出会ったのがはり師の先生だった。
電話をしたところ、3時間後の予約が取れたので、また自宅からの交通の便もよいという後押し、
ささとと身支度を整え、治療院へ向かった。
そこで先生の優しい手を知ってしまったのだ。
治すという表現を僕は使いません。
体内の気や血の流れを整えることで、
結果、自然治癒力によって今の問題を修復できるお手伝いができたら・・・と思います。
頭寒足熱ならぬ、頭熱足冷状態なので、まずは体の内側の、
上半身、特に頭内に集まってしまう熱をさげるところからはじめましょう。
優しい手が私のこめかみあたりを擽る。
本当に優しくて、その優しさがとても控えめで心地よい。
私もあのような先生の手になれるのだろうか。
本当の優しさを知ってしまった気がする。
本物が目前でにこにこと笑って、
1日や2日でなれると思いなさるな、と暗黙のメッセージを届けてくるようだ。