金曜夜。
仕事を終えたあと 急いで上野に向かったのは 東京の桜がついに満開となったからだ。
毎年のように 桜が咲くと上野に来ているが やはり今年も上野の桜が見たくなった。
西郷どんが立つ丘から 上野広小路を行き交う車や人の流れをぼんやり眺めていると すぐにS君がやって来た。彼はフットワークが軽く、いつどこへだって飛んでくる。思いつきで行動する僕にとってはありがたい存在だ。
つまみと缶チューハイを買い、上野の桜並木へと向かった。
並木沿いは例年通り すごい数の花見客で各々ブルーシートを広げ、輪になって座り、浴びるように酒を飲んでいた。
ここにいる大半の人は花見を口実に、ただ酒を飲みにきたのだろうなと思う。まぁ…僕らだって 缶チューハイを片手に歩いてるのだから 全くもって同類だなとも思った。
電球の光でライトアップされた桜は薄いピンク色ではなく オレンジ色に見え、影となる部分は灰色やかすんだ紫色に見えた。
そこへカメラマンたちが交互に放つ フラッシュの光が辺りをパッと明るくし、桜が白い事を気づかせてくれた。
上野公園を歩ききり、湯島近くまできた。
散歩の達人(サンポマスター)であるS君は夜の東京を散歩しないかと提案した。一瞬「明日も仕事だし…」と思ったが 酒が入り判断能力の鈍った僕は勢いにまかせ その提案にのった…
すでに缶チューハイは三本め、空には かすかにぼやけた月が雲ひとつない暗闇に浮かんでいた…
つづく
仕事を終えたあと 急いで上野に向かったのは 東京の桜がついに満開となったからだ。
毎年のように 桜が咲くと上野に来ているが やはり今年も上野の桜が見たくなった。
西郷どんが立つ丘から 上野広小路を行き交う車や人の流れをぼんやり眺めていると すぐにS君がやって来た。彼はフットワークが軽く、いつどこへだって飛んでくる。思いつきで行動する僕にとってはありがたい存在だ。
つまみと缶チューハイを買い、上野の桜並木へと向かった。
並木沿いは例年通り すごい数の花見客で各々ブルーシートを広げ、輪になって座り、浴びるように酒を飲んでいた。
ここにいる大半の人は花見を口実に、ただ酒を飲みにきたのだろうなと思う。まぁ…僕らだって 缶チューハイを片手に歩いてるのだから 全くもって同類だなとも思った。
電球の光でライトアップされた桜は薄いピンク色ではなく オレンジ色に見え、影となる部分は灰色やかすんだ紫色に見えた。
そこへカメラマンたちが交互に放つ フラッシュの光が辺りをパッと明るくし、桜が白い事を気づかせてくれた。
上野公園を歩ききり、湯島近くまできた。
散歩の達人(サンポマスター)であるS君は夜の東京を散歩しないかと提案した。一瞬「明日も仕事だし…」と思ったが 酒が入り判断能力の鈍った僕は勢いにまかせ その提案にのった…
すでに缶チューハイは三本め、空には かすかにぼやけた月が雲ひとつない暗闇に浮かんでいた…
つづく