某・北の国では、人民は飢えと圧政に苦しみ、その一部は死を賭して国外に脱出する道を選ぶ。
彼らは金を取って脱出を手引きする闇業者、いわゆる「渡し屋」を頼る。
いま、一人の男が渡し屋の助けで無事、国外脱出に成功した。
報酬を手渡しながら彼は渡し屋に尋ねた。
「ところで俺は、この国でさしあたってどこに寝泊りし、どうやって食ったらいいんだろう? 身分を示す
ものがないからまともには働けないし…… あんた、そこは面倒見てくれないのか」
「甘えるなよ」渡し屋は冷淡だった。
「おれの仕事はここまで。それともあんた、職と家を見つけてやる分の金が払えるのかね」
男はもう無一文だった。去り行く渡し屋の背中を眺めながら、彼はぼんやり呟いた。
「なるほど、勉強にはなったな…… 専制と共産主義の国じゃ、俺たちは自由に生きることが出来なかった。
だが、自由と資本主義の国じゃ、俺たちはどこでも好きなところで野垂れ死にしていいってわけだ」
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