(幽体離脱)
ある商家の旦那が、お妾(めかけ)さんを、こっそり囲っておりましたが、そのうちに本妻にバレてしまいました。
角が生えるかと思ったら、なかなか物わかりのいいおかみさんで、
「いいんですよ、男はそのくらいの甲斐性がなければ、
大きな仕事なんぞはできやしませんよ。
そのかわりにね、向こうに熱あげたら、承知しませんからね」
てんで半分公認になり、男ぁ両方をうまく牛耳っております。
本宅で本妻を抱いております。その床の中で、
「ねえ、あなた・・・」
「なんだい」
「あなたの体はこっちにあっても、心はきっと向こうにあるんでしょうねえ・・・」
「馬鹿なことを言っちゃァいけない。心も体も今はこっちだ」
「あしたはどうなの?」
「うん、心だけこっちへ置いといて、体は向こうへ行こう」
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