コンビニでバイト中のジョンとトムのところにピストルを持った強盗がやってきた。
「おい!さっさと有り金を全部出しやがれ!」
ピストルを押し付ける強盗に恐怖のあまりヘナヘナと腰砕けるトム。
一方、ジョンは身動き一つせず、静かにボソッとつぶやいた。
「…そいつはニセモノだ」
ピストルのことがばれた強盗は慌てて店を出て行き、結局何も取られずに済んだのだった。
事件を知った店長が急いで店に駆けつけ、ジョンを褒め称えた。
「凄いじゃないかジョン!ピストルを見分けることができたのも凄いが、何よりもずっと
落ち着いた態度でいられたことが感心だ。いや~君がうちの店員で本当によかったよ!」
「ありがとうございます、店長」
「ところで、本当のところやっぱり君も怖かったんじゃなかったのかね?
何せモデルガンとはいえ強盗に入られた訳だし」
「いえ、何も怖くありませんでした」
「本当に?」
「ええ、本当です」
ジョンは言い切った。
仕事が終わって酒場でくつろぐジョンとトムの二人。
「ジョン、確かにおまえは大した奴だが、あの時はカッコつけずにホントのこと言ってたら
よかったんじゃねえか?」
「何の話だよ」
「さっきの店長の質問さ。『ホントは怖くて怖くてションベンちびりそうでしたよ。
もうこの店で働いていく自信もなくなりました』ぐらいのことを言ってりゃ、ひょっとしたら
同情されて見舞手当ぐらいポンと出してくれたかもしれないぜ」
「まさか。だって実際怖くなかったし。それにホントのことなんて口が裂けても言えねえよ」
「何でだよ?」
「じゃあお前、居眠りしててバットマンが買い物に来た夢を見ていました、なんて言えるか?」
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