道尾秀介 著
盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。楽器メーカーからの依頼でライバル社の調査を続けるうちに、冬絵の存在を知った。同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件が起きる。俺たちは否応なしに、その渦中に巻き込まれていった。
謎、そして…。ソウルと技巧が絶妙なハーモニーを奏でる長編ミステリ。
道尾氏と言えばちょっと寂しげな空気感の中で文学的な文字面を並べる作家さんだというイメージだったけど、これはエンターテイメント色強めなんですね。
でも「カラスの親指」もこんな感じだったっけか。
活字ならではのトリックが其処此処に混じり合っていて、なかなか心惹き付ける力のある一冊でした。
今現在のような深さのある文章ではないが、これはこれで私は好きです。
それにしても道尾氏が必ず入れてくるネタは、一度はどっかで使ってみたくなりますよね
例えば、「カラスの親指」の家族と指の話、「月の恋人」の線香花火の話、「鬼の足音」のコオロギの話、そして今回で言えばトランプや、あるいは犬が何故鼻が効くかという話等々。
彼の作品はもっと沢山読みたいね
ただ、同い年ってのがちょっと嫉妬しちゃうよね