、記念写真に納まる丸紅の次期社長に決まった大本晶之常務執行役員(右)と会長
に就く柿木真澄社長(27日、東京都千代田区)
丸紅は27日、大本晶之常務執行役員(55)が2025年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。柿木真澄社長(67)は代表権のある会長に就任する。
穀物集荷・販売大手の米ガビロン穀物事業の売却など構造改革にめどを付け、安定成長への道筋を付けたと判断した。社長交代は19年以来6年ぶりとなる。
大本氏は取締役や専務執行役員など14人抜きでの社長就任となる。同日、都内の本社で開いた記者会見で柿木社長は起用の理由について「若いが能力も覚悟もある。
ギアチェンジしてさらに良い景色、高みを目指したい」と述べた。大本氏は「当社はこれから新しい成長のステージに入る。社員、役員、事業会社と一体で高みに上がるという強い意志でまい進したい」と意欲を語った。
25年6月予定の株主総会で取締役に選任された後に大本氏は代表権を持つ予定だ。柿木氏は代表権のない会長になり、国分文也会長は名誉顧問に就く。
大本氏はコンサル会社に一度転職した異色の経歴を持つ。転職前はコスタリカや中国、トルコなどでの発電事業の開発・経営に携わるなど、主に電力分野で経験を積んだ。
復職後も電力やエネルギー分野に関わったが、柿木社長が就任した19年に次世代事業開発本部の初代本部長となった。
以降、一貫して新事業領域の創出を担ってきた。日本の化粧品やエストニアの次世代蓄電池への出資参画などで実績がある。
丸紅が13年に買収したガビロンは業績が穀物価格に左右され、米中貿易摩擦などによる穀物輸出量の減少でのれんや固定資産の減損損失を繰り返し計上。
20年3月期に過去最大の最終赤字を計上する一因となった。柿木社長は23年3月期に全株式を売却するなど、事業構造改革を推進した。
資源価格の高騰という追い風で得た資金を生活関連など非資源分野に厚く振り向けることで成長の種まきもしてきた。
みずほリース株の買い増しや米国の自動車管理事業への投資などだ。
市況に左右されづらい事業構造を整えたことで、25年3月期の連結業績は純利益が4800億円の見込みと、19年3月期比で2倍に成長した。
株価は27日の終値で2271円50銭と、19年の柿木社長就任後から約3倍に増えた。
ただ、連結純利益1兆円の事業規模を固めつつある三菱商事や三井物産など同業他社とはなお2倍に近い開きがある。
電力や金属資源などに続く新たな収益の柱の確立が必要だ。大本氏は次期社長として柿木社長時代に種をまいた事業を花開かせ、丸紅を飛躍させることが最大の経営課題となる。
おおもと・まさゆき 1992年(平4年)早大商卒、丸紅入社。06年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、07年丸紅再入社。24年から現職。愛媛県出身。
日経が先駆けて報じた最新のニュース(特報とイブニングスクープ)をまとめました。
日経記事2024.11.27より引用