原子炉事故で最近「半減期」を耳にする・・・
…….アイソトープの半減期とは何か? 何故、全減期ではいけないのか?
原子のうちあるものは不安定である。そうした原子は、独立した状態にあると遅かれ
早かれ、自然に変化しはじめる。エネルギーの高い原子、あるいはガンマ線光子がその
原子核から飛び出て、違った種類の原子になる(ある特定の原子は同位元素と呼ばれる)
不安定な原子が一定量一か所に集まっていると、粒子やガンマ線を四方に放射する。
そこでこういった原子は放射性を持つと云われるのである。
ある特定の放射性原子が、いつ変化を始めるかを知る方法はない。次の1秒以内に始める
かも知れないし、1年も変化しないかもしれないし、1兆年も変化しないかも知れない。
それ故、ある放射性原子の一生を測定することは出来ない・・・その間は全く変化しないからである。この『一生』はどんな数値でも持つことが可能で、それだけに原子の一生に
ついて語ることが無益になるのだ。
しかし、仮にある特定の放射性元素を一か所に集めたと仮定しょう。すると何時でもそのうちのある量は変化を始めるだろう。ある特定の原子一個については、どんなことをしたところで、何時変化を始めるかを知ることは出来なくても、非常に多くの・・・例えば
1兆もの原子の中のかなりの数がかなりの時間内に変化する、と云うことは予測できる。
要するにこれは統計の問題である。
ある特定の同位元素の原子がかなり大量にある場合には、任意の時の放射能を測定する事
は可能だし、将来のある時の放射能(崩壊する原子の数)を予測する事もできる。
そして、更に変化の起こる起こり方が判れば、扱う原子の数の如何に関わらずそこにある
原子全部の、例えば十分の一が変化するには、常に同じ時間がかかる事が判った。
これは十分の二であろうと、十七分の四であろうと、その他どんな割合でも全く変わらない。これが、我々がある特定の原子の『一生』について語ることをせず、その何分の一かが変化する時間を問題にする所以なのである。しかも分数の中で一番単純でわかりやすい
のは二分の一であり、そこである特定の同位元素の半分が変化する時間を問題にする訳で
ある。これがいわゆる半減期なのである。
もっと安定した同位元素の場合、その原子が変化を起こすことも少なく、従って観測を始めてから、例えば一時間以内に変化を始める原子の数も少ない事になる。つまり、その原子の半分が変化するにはよりな長い時間がかかると云うことになる。
云いかえれば、ある特定の同位元素の半減期が長ければ長いほどその原子は安定だし、
半減期が短ければそれだけ不安定だと云うことになる。
半減期の長いものにトリウム232があるが実際その半減期は140億年だ。逆に半減期の極端に短いものにヘリウム5の同位元素がありその半減期は凡そ一秒の1兆分の1の十億分の1である。