灯台守が打ち上げられた女性を助け、愛を育み、生まれた息子。
夫と息子の安全のため、女性・・・アトランティスの女王は海へと戻り、33年の時が過ぎ。
海の平和を守るヒーロー、アクアマンとなったアーサー・カリー。
彼にもたらされたのは、彼の異父弟である今のアトランティス王・オームによる
海底から海を汚す地上への宣戦布告、という知らせでした。
地上と海の平和を守るため、アーサーは真の王の証・トライデントを求める冒険へ・・・
果たしてアーサーは、海と地上の戦争を阻止することはできるのか?
「水中」を舞台にしたキャラクターの扱いは、何故かマイナー、という印象があります。
アメリカンコミックの世界においても、マーベルのサブマリナーははじめはほぼ悪役扱いでした。
(マーベルの歴史における二人目の「超人」なのですが)
そして今回のDCのアクアマンも、長い歴史を持つものの、どこかマイナー扱いというか
ギャグにされることも多い扱い、であったことも確かです。
そんな側面もあって、映画化発表の際には
正直「アクアマンの単体映画?大丈夫なの?」と思っていました。
・・・「ジャスティス・リーグ」でその姿とキャラクターを見るまでは。
ジェイソン・モモアの鍛え抜かれた肉体と厳ついながらも人懐っこい表情、
それは深海の水圧にも、敵の刃にも耐える説得力に満ち溢れた外見であり
豪快でいながら内に繊細なものを秘めたその内面も表現されていたわけですが
今作ではさらにそのキャラクターの魅力を引き出しつつも、
前作を見ていない方でも大丈夫(前作に触れるのは台詞一言だけ!)な親切設計と
5分以上喋っていたら敵が攻めてくる、とも言われるテンポのいい展開、
原作「アトランティスの進撃」を下敷きにしながらも
オーシャンマスターとブラックマンタという二人のヴィランを魅力的に描き
(特にブラックマンタの描かれ方は巧いと思いました)
ビジュアル面でも美しい深海世界や、アクアマンとメラが巡る世界各国の風景、
海に住む種族やクリーチャーたちの造形もとても魅力的でございました。
どうしても「シリーズを追う」ことが前提となってしまっている上に
作品を重ねる毎に「重厚」で「シリアス」な展開が評価されるアメコミ映画の現状。
そこに「明るく」「楽しく」「パワフル」であり、
かといってストーリーにはきちんと「芯」は通っている、という快作。
同じDCの4月公開の「シャザム!」や、3月公開のアニメ「スパイダーバース」とともに
アメコミ映画の世界に触れるのにぴったりな一作、と言えそうです。